それにはまず韓国に対する「中国傾斜」の疑念を急いで払拭(ふっしょく)しなければならない。かといって韓中首脳会談の成果を直ちになきものとする必要もない。ある高名な国際政治学者は「中国の習近平・国家主席はかつてのアチソン・ラインを習近平ラインとし、これを南シナ海にまで拡張しようとしており、韓国は自分からその中に入ろうとしている」と指摘したが、まずはこの種の誤解を解消する必要があるのだ。そのために「日本との関係改善」や「高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題」などについて議論すべきと主張する声も韓国では根強い。ただこれらは今回の首脳会談の議題にはならないようだが、実際はこれらが中国傾斜の疑念を払拭し得る重要な根拠になっていたのも事実だ。
また印象という観点からの働き掛けも必要だろう。軍事パレードの際、朴大統領が中国と近い各国の首脳たちと共に写真に収まった「天安門写真」を上回るような、まさに米国との厚い友誼を示す写真を撮影すべきだ。もちろん簡単ではないだろうが、朴大統領が米国に行けば、十分可能であると考える。さらに韓米同盟修復のためにやるべきことがもう一つある。それは韓国が米国の同盟国として、米国が十分納得できる一定の貢献をすることだ。今回の首脳会談は、本来今年6月に予定されていたものだったが、そのころに韓国を訪問した米国のケリー国務長官は韓国国内の行く先々で「韓米のグローバルパートナーシップ」を強調した。幸い韓国には米国の「グローバルガバナンス」に貢献できる力があり、また今は戦略面でもそのような貢献を実行に移すことのできる「地球村」の時代だ。
以上で十分かどうかは分からないが、いずれにしても今こそ韓米同盟の根底をしっかりと固め直さねばならないことだけは確かだ。今の時代、米国と中国の双方と良好な関係を築くことは、韓国が進める統一外交における不変かつ根本の課題だ。しかし中国との関係がいくら重要だとしても、韓米同盟と次元が異なることだけは忘れてはならない。今回の訪米が成功してこそ、北京で朴大統領が受けた歓声もその意味合いがさらに増してくるのだ。