チェさんは危うく質問し損ねるところだったという。主催者側が事前に質問内容を聞いてきたが、韓国の防衛費負担について質問するというと、「時間が余れば」と言われた。そこで、チェさんは講演終盤になりふり構わず手を挙げ、走り寄って質問権を得た。
チェさんは安倍首相がハーバード大ケネディスクールで演説した際には最初から質問者マイクの前に立って順番を待った。そのおかげで米日同盟強化とアベノミクスの宣伝で終わるところだった演説の場で慰安婦問題に正面から言及できた。チェさんは当時、安倍首相に「性奴隷」という直接的な表現を使い、「日本軍という政府が慰安婦の動員に関与したという明白な証拠があるにもかかわらず、なぜ日本政府はまだ慰安婦数十万人を強制動員した事実を認めないのか」と迫った。チェさんの質問に対し、安倍首相は「慰安婦問題については、人身売買の犠牲となって筆舌に尽くしがたい思いをされた方々のことを思うと、今でも私は胸が痛む」と遺憾を表明した。
チェさんは同日、安倍首相に質問した当時と同じフード付きTシャツを着た。チェさんが意図したわけではなく、主催者側から大学ロゴが入った服を着てくるよう言われたのだという。
韓国系移民2世のチェさんは、テキサス州オースティンで生まれ、コロラド州デンバーで高校を卒業し、2013年にハーバード大とプリンストン大に同時に入学した秀才だ。政治と外交・安全保障、北朝鮮の人権などに関心を持ち、ハーバード大北朝鮮人権学生会、政治研究会というサークルの代表も務めている。
チェさんは「夏休み中は(韓国の)国会外交統一委員会で8週間インターンで活動した。卒業後は外交・政治分野か国際機関で働きたい」と抱負を語った。