韓国の青年失業率は本当に減少したのか

 地方の国立大学を卒業し、2年前にソウルに来て公務員試験の準備をしているキム・ソジンさん(26・仮名)は、コンビニエンスストアで時給7000ウォン(約730円)のアルバイトをして生活費を稼いでいる。キムさんが最近、公務員試験に合格できなかった場合、今のような生活が一生続くのではないかという不安を抱いている。キムさんは「あすはきょうよりは良くなるという希望が絶望に変わりつつある。生きていくのがつらい」と話した。しかし、キムさんのようなケースは統計上は就業者として扱われる。韓国では国際労働機関(ILO)の基準に従い、1週間に1時間以上働けば就業者と分類しているからだ。

 韓国統計庁によると、今年上半期に10%を超えた青年失業率(15-29歳)は9月に過去10カ月で最低の7.9%に低下した。前年同月(8.5%)に比べ0.6ポイント、前月(8.0%)に比べ0.1ポイントそれぞれ改善した。9月の青年就業者数は395万6000人で、前年同月の386万5000人に比べ9万1000人増え、失業者数は同じ期間に35万8000人から34万1000人に減少した。統計数値上は青年の雇用状況が大きく改善したように思える。

 しかし、就職をあきらめた求職断念者が前年より増えたことを考えると錯覚である可能性が高い。失業者に等しい求職断念者が増えれば、失業者数が減少したように見えるためだ。

 9月の求職断念者は48万8000人で、前月(53万9000人)よりは減少したが、前年同月(46万3000人)よりは2万5000人増えた。このため、求職断念者を含む「体感失業率」は10.8%で、前年同月を0.4ポイント上回ることになる。

 また、増加した働き口が正社員ではなく、主にアルバイトなどのパートタイム労働や非正社員である点にも注目すべきだ。非正社員とパートタイム労働者が多い週53時間以下の就業者は2019万8000人で、前年同月の1974万5000人に比べ2.2%(45万3000人)増えた。これに対し、正社員の割合が高い週54時間以上の就業者数は576万人で、前年同月(583万2000人)を1.2%下回った。

 青年の良質な働き口は急速に減少している。青年層の雇用のうち、パートタイム労働の割合は世界的な金融危機以前の2007年に7.6%まで低下したが、今年は15.1%に倍増した。また、今年初めに高校、大学などを卒業し、初めて就職を目指した青年の失業率は33.9%で、青年層全体の3倍を超える。

 韓国労働研究院は今月初め、「青年層の労働力と雇用変化」と題する報告書で「青年層の人口減少にもかかわらずパートタイムや非正社員の割合が高まっている。昨年から続く青年層の雇用増加と失業率低下を肯定的には評価しにくい」と指摘した。

羅志弘(ナ・ジホン)記者
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