ホイチョイ・プロダクションズ
映画「メッセンジャー」を製作したホイチョイ・プロダクションズは、バブル景気前後及びそれ以降も数々の流行を生み出したことで知られる、日本のクリエイターグループです。以前は「ホイチョイ・プロダクション」と名乗っており、途中から末尾に「ズ」が付くようになりました。法人としては株式会社ホイチョイ・プロダクションで、代表取締役社長は「メッセンジャー」の監督でもある馬場康夫です。
ホイチョイ・プロダクションズとは
ホイチョイ・プロダクションズは、1960年代に成蹊学園に入学した同級生(小学校から大学まで)の仲良しグループが原型となっています。ホイチョイのデビュー作は「ビッグコミックスピリッツ」に掲載された「気まぐれコンセプト」でした。この作品は、広告業界を舞台にして、広告マンの日常を時事的トピックを織り交ぜながら4コマ化している漫画で、第52回小学館漫画賞審査委員特別賞を受賞しています。「ビッグコミックスピリッツ」誌上の最長連載作品であり、現在も連載中です。なお、成蹊学園出身の政治家で内閣総理大臣の安倍晋三はテレビ番組内で「彼らとは同級生」と語っています。“ホイチョイ”という名前は「ひょっこりひょうたん島」にインスパイアされた小学生時代の彼らが、想像し構成した架空の国に因んでいるそうです。ホイチョイのメンバー構成は、代表者を除き不明な点が多く、個人としてはほとんど名前は出てきません。これについてリーダーの馬場は、「ディズニー作品というだけで、だれが作ったということは気にしない。同様に馬場康夫がだれだなんていうことはどうでもよいことで、ホイチョイというクリエイティブ集団が作っている作品と認識してもらいたいのだ」と、自らの名前をほとんど出さない理由を周囲に語っています。ホイチョイが作成した1987年~1991年の映画(いわゆる「ホイチョイ三部作」)はいずれも大ヒットし、取り上げたテーマはその都度ブームになりました。またバブル崩壊後に製作された「メッセンジャー」は過去3作を上回る興行収入を記録しました。2007年にはバブルを自己言及的に取り上げた「バブルへGO!!タイムマシンはドラム式」が公開されました。
代表者・馬場康夫
ホイチョイ・プロダクションズの代表取締役社長を務めているのは、映画監督、製作会社経営者、著述家などとして活躍している馬場康夫です。1954年8月18日に茨城県に生まれました。母方の祖父は、建築家の藤井厚二です。成蹊大学在学中に、同級生らとホイチョイ・プロダクションズを設立し、漫画同人誌の発行や8ミリ映画の制作を行いました。大学卒業後は日立製作所に勤務し、同社宣伝部に所属していた1981年に、漫画雑誌・ビッグコミックスピリッツにおいて、4コマ漫画企画「気まぐれコンセプト」の連載を開始しました。その後はテレビ番組の企画や、著作の出版を行い、1983年に出版した書籍「見栄講座」は、販売部数65万部のベストセラーとなりました。1987年には映画「私をスキーに連れてって」を、映画初監督作品として製作するとともに、日立製作所を退社しました。同作品やさらに後年製作された映画「彼女が水着にきがえたら」、「波の数だけ抱きしめて」はいずれも日本において商業的に成功し、馬場が率いるホイチョイ・プロダクションは、バブル時代における、若者のライフスタイルのイメージリーダーとなったのです。その後も多くの書籍、テレビ番組、映画などの製作に携わり現在に至っています。著作の大部分は馬場の個人名義ではなく、ホイチョイ・プロダクションズ製作として発表されています。
ホイチョイの作品
連載作品
- 1984年「気まぐれコンセプト」・・・ビッグコミックスピリッツで連載中。
- 「酒とビデオの日々」・・・小学館「テレパル」に連載。
書籍
- 1983年「見栄講座―ミーハーのための戦略と展開―」
- 1985年「OTV」・・・テレビ解説本。オビ推薦文は永倉万治が担当した。
- 1987年「極楽スキー」
- 1994年「東京いい店やれる店」
- 2000年「ラム・ニャンものがたり」・・・絵本。
- 2004年「しろねこラム・ニャンおたのしみ。」・・・絵本。
- 2007年「気まぐれコンセプト クロニクル」・・・1984年~2006年までの連載分を始めて選り抜きし、収録。ページ数は970ページに及ぶ。
- 2009年「マンガでわかる株式投資!女子高生株塾」
- 2012年「新東京いい店やれる店」
テレビ
- 1988年「マーケティング天国」
- 1990年「カノッサの屈辱」
- 1991年「TVブックメーカー」
- 1990年代「上品ドライバー」シリーズ・・・最新作は「上品ドライバー9」。しかし実際に制作されたのは1、2、4、6、8、9の6作品で、3と5と7は予告編のみの架空作品。
- 1998年「江角マキコの恋愛の科学」・・・企画協力。
- 2005年「ラ・ストラーダ」
- 2005年「ココリコミラクルタイプ」・・・「気まぐれコンセプト」をコント化したミニコーナーがあった。
- 2008年「21世紀の歴史」
- 2008年「絶対やれるギリシャ神話」・・・原案・キャラクターデザイン
- 2010年「おじいちゃんは25歳」・・・原案・番組総指揮(馬場名義)
- 2012年「東京上級デート」
映画
- 1987年「私をスキーに連れてって」・・・原田知世主演のホイチョイ三部作の第1作。スキーシーンを語る上で欠かせない映画。
- 1989年「彼女が水着にきがえたら」・・・原田知世主演のホイチョイ三部作の第2作。マリンスポーツをテーマにしスキューバダイビングが取り上げられている。
- 1991年「波の数だけ抱きしめて」・・・中山美穂主演のホイチョイ三部作の第3作。神奈川県・湘南にあるミニFMが舞台となっている。
- 1999年「メッセンジャー」・・・自転車便をテーマにした作品。主演はSMAPの草彅剛と飯島直子。
- 2007年「バブルへGO!!タイムマシンはドラム式」・・・「気まぐれコンセプト」の長編作品を元に描かれた映画で、2007年からバブル時代へとタイムスリップしてしまった主人公のドタバタ喜劇となっている。