かつて韓国経済を台湾と比較することが流行した。いずれも油が一滴も出ない国で、政府主導で重化学工業を育成し、輸出中心の成長戦略を取った。戦争を経験した時期も似ていたからか、人口構成も似ており、1970年代にはベビーブーム世代が社会に進出し、成長のエネルギーとなった。
異なる点もある。韓国は大企業中心の経済構造なのに対し、台湾は中小企業がけん引する構造だった。大企業の副作用を心配する人は中小企業主体の台湾の成長サイクルが望ましいと感じ、成長の主眼を置く人は大企業ならではの国際競争力に注目した。
今更どの方式が優れていたかを語るのは意味がないように思える。全体的に見て、1970年代の他の開発途上国と比べると、韓国も台湾も生活水準がはるかに改善したからだ。一時流行した自立経済論や従属経済論を政策基調とする一部の開発途上国は40年以上たった現在も低成長の泥沼に陥ったままだ。これまで経済成長率は韓国が台湾よりも高く、所得分配の指標となるジニ係数も韓国がやや上回った。これに対し、成長の安定性や一部の社会指標では台湾が上回っている。しかし、両者に大差はなかった。世界的な金融危機以降、昨年までの成果を見ると、台湾の経済成長率がやや上回った。しかし、韓国は今年早期の追加補正予算執行や利下げで台湾を上回る勢いだ。
ゆえに韓台の経済に対する評価は過去の実績ではなく将来への対応にかかっている。製造業の輸出をエネルギーとして成長してきた韓国と台湾の経済にとって、数年続いている世界的な貿易低迷は大きな試練だ。また、中国と隣接していることがチャンスであることに疑いはないが、韓国と台湾の企業は中国企業とライバル関係にあれ、取引関係にあれ、巨大な内需市場の恩恵を受ける中国企業と比べれば劣勢に立ちやすい。そうした意味で、韓中自由貿易協定(FTA)の締結により、韓国は総体的に有利な環境に立てると言えるだろう。