「中国の人口は2025年に14.13億人に達して天井を打ち、その後下降に転じ、2050年には13億人まで減少して、現在の水準(2014年末の人口:13.7億人)を下回るものと予想される」
これは10月6日付で「中国日報網(China Dailyネット)」が「中国の人口は2025年に14.13億人でピークに達する」と題する記事で報じたもので、“中国社会科学院”「人口・労働経済研究所」の所長“張車偉”がベルギーの首都ブリュッセルで開催された人口関連の国際会議の席上で発表した「中国の人口予測」である。
この予測を前提として、張車偉は次のように述べた。すなわち、たとえ人口の高齢化と低出生率という厳しい現実に直面していても、中国の労働力供給は2013年から2030年の間は基本的に安定を維持する。2030年まで、中国の労働力が受ける教育水準は向上を続け、大学院卒業の人数は絶え間なく増加する。従い、合理的な政策を組み合わせることが出来るならば、中国の労働力供給は少なくとも向こう10年間は中速の経済成長を保証することが可能である。
1人っ子政策35年の歪み
この張車偉の発言に対して、米国ウィスコンシン大学の研究員で、中国人口問題専門家の“易富賢”博士は、当該予測は間違いであり、楽観的に過ぎるとして、次のように述べた。「この予測は中国の出生率が1.55から1.45の間で推移するという仮定を根拠としており、間違っている。なぜなら、この仮定は誇張に過ぎる。韓国や台湾は出産奨励を行っていても、出生率は1.1の水準に過ぎない。中国が現在の計画出産政策<注1>を維持している状況下では、彼らの予測を達成することは困難である。たとえ、今すぐに計画出産政策を停止したとしても、彼らが予測する水準に達することは不可能であろう」
この点について、中国社会科学院人口・労働研究所の「人口・発展研究室」主任の“林宝則”は、「低出生率と労働力供給の維持という難題に直面して、中国は計画出産政策を完全に放棄することになるだろう。中国当局はすでに政策を緩和し、“単独家庭(夫婦の一方が1人っ子の家庭)”には2人目の子供を産むことを認めている。しかし、現在までのところ、この政策は予期した成果を得ていない」と述べて、実質的に易富賢の見解を認めたのだった。
1980年頃から今日に到るまで35年間続けられて来た1人っ子政策が影響を与えたのは、今後の労働力供給だけではない。上述したように、1人っ子政策が緩和されても、中国国民の出産意欲は増大しておらず、低出生率の傾向には大きな変化は見られない。これに加えて、年々増大する高齢者人口は中国の発展を阻害する最大要因である。国家統計局の統計によれば、2014年末の総人口13.7億人に対して60歳以上の人口は2.12億人で15.5%、65歳以上の人口は1.37億人で10.1%を占めた。