1919年、米国の物理学者ロバート・ゴダード(1882-1945年)は「高々度に達する方法」という論文で、燃料を噴射すればその反作用で宇宙にも行けると主張した。米紙ニューヨーク・タイムズはゴダードのことを「高校の知識もない科学者だ」とあざ笑った。宇宙は真空なのでロケットは飛べないと思い込んでいたからだった。それから50年が経過した1969年7月、同紙は「ロケットの飛行は宇宙でも可能なことが明確に実証された」として訂正記事を出し、既にこの世を去っていたゴダードに謝罪した。その3日後、アポロ11号の宇宙飛行士たちは月の上を歩いた。
ゴダードは1926年にマサチューセッツで世界初の液体燃料ロケットを打ち上げた。2.5秒の間にたった56メートル上がっただけだった。しかし、液体燃料を用いたゴダードのロケット打ち上げ方式は今日でも利用されている。米国は1959年に米航空宇宙局(NASA)を設立し、最初の研究所を「ゴダード宇宙飛行センター」と命名した。
ゴダード宇宙飛行センターは、科学研究用無人探査機や人工衛星を製作・運用する。水星探査機「メッセンジャー」や、月を周回して地図を作る「月周回無人衛星ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」がゴダード宇宙飛行センターの「作品」だ。最高のヒット商品は「宇宙を見る地球の目」と呼ばれる「ハッブル宇宙望遠鏡」だ。25年間にわたりハッブル宇宙望遠鏡が送信してきた写真100万枚を見て、人類は宇宙をより大きく感じながらも、より細かく見られるようになった。
米国が地球一の宇宙大国になったのは、1961年にアポロ計画を発表したジョン・F・ケネディ大統領のおかげだ。人工衛星や有人宇宙船の打ち上げを相次いで成功させたソ連に、米国人たちが落胆していた時だった。その落胆から、ケネディは有人月探査という大きな夢を広げることで立て直した。中国の江沢民主席は1996年、有人宇宙探査計画を発表して宇宙船を自ら「神舟」と名づけた。日本は中曽根首相が科学技術庁長官だった1959年に宇宙開発計画を立て、貫き通したおかげで宇宙大国になった。宇宙開発の成否は国の指導者の意志にかかっている。
朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が14日(現地時間)、ゴダード宇宙飛行センターを訪れた。朴大統領は大統領選挙候補時から月探査に強い意志を示してきた。 2025年に予定していた月着陸船の打ち上げ計画も5年繰り上げた。ゴダード宇宙飛行センター訪問は、こうした計画を必ず実現させたいという決意だ。これまで月に降りたのは米国・ロシア・中国の3カ国だけだ。2020年に着陸船を月に送るからと言って、すぐに世界第4位の宇宙大国にはなれないだろう。だからといって挑戦をあきらめれば、宇宙は永遠に夢物語にしかならない。