食いつなぐのに必死
張編集委員が指摘するように、IT産業は、いまや製造業に代わって、中国経済の唯一の頼みの綱と言っても過言ではない。9月22日から訪米している習近平主席は、「BAT」(バイドゥ、アリババ、テンセント)と呼ばれる3大IT企業の創業者たちを同行させた。
元日本銀行北京事務所長で現在、NTTデータ投資チーフストラテジーオフィサーの新川陸一氏(北京在住)が語る。
「中国のインターネットユーザーは、約6億5000万人もいます。IT産業の発展は目覚ましく、昨年の名目GDPの2割を超す規模に育っています。中国経済は当面、現在の『まだら模様の景気』が続くでしょうが、IT関連の消費が、景気下支え材料として続くと見ています」
前出の陳言氏も、IT産業に期待する一人だ。
「私のオフィスは『中関村』(北京のシリコンバレー)にありますが、付近の喫茶店は投資家と、アイデアを持った若者たちとの交流の場となっています。彼らは2万元(約38万円)くらいを手にして、次々に起業していくのです。
李克強首相が先日、『中国は1日1万社が起業している』と述べていました。日本は全国で600万社ですが、中国は2年で600万社が誕生しているのです。この活力に中国の未来を感じます」
他にも、少数ながら楽観主義者もいた。
「北京で日本料理店を経営しているが、折からの日本旅行ブームのおかげで、千客万来の状態。いま店舗を広げて改装中だ」(張煥利・日本料理店経営者)
「私の周囲は、7対3で景気のいい人が多いし、富裕層は相変わらず豪華な家に住み、高級車を乗り回している。中国はいまだに世界第2位の経済大国なのだし、IT産業に期待していいと思う」(陳旭・ファッションデザイナー)
「習近平政権は、今年初めから、毎月の年金を580元(約1万1000円)も引き上げてくれた。周囲も皆、ありがたがって、満足な老後を過ごしている」(李便新・大学名誉教授)
その一方で、今後のIT産業の発展に疑問を持つ向きもある。
「中国では『BAT』がサクセス・ストーリーの象徴のように持て囃されているが、バイドゥはグーグルの、アリババはアマゾンの、テンセントはホワッツアップのそれぞれパクリではないか。今がピークだろう」(呂之言・エッセイスト)
「IT産業に期待したって、そんなものはまた一つの新たなバブルに過ぎない。世界に通用する自主ブランドを作れない限り、中国経済の未来はない」(巴一・広告会社社長)
他にも、様々な職業の中国人に、中国経済に関するホンネを聞いた。
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