実名!中国経済「30人の証言」  日系企業が次々撤退、大失速の真相~こんなに異変が起きていた

2015年10月14日(水) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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「私の携帯電話には、日本から来た客を連れて行くため、高級中華料理の店の番号がたくさん入っていますが、このところ電話しても『現在使われていません』という音声メッセージが出ることが多い。つまり、高級レストランが続々潰れているわけです。

また、不景気で銀行利用者が激減しているため、銀行での待ち時間が、めっきり減りました。以前は2時間待ち、3時間待ちでしたが、いまは30分も待たないで呼ばれます。

それから地方出張へ行って痛感するのが、大型トラックが減ったこと。どの地方も景気が悪いのです」

思えば5年前は、石炭バブルに沸く内蒙古自治区オルドスから北京まで車列が続き、わずか200kmの距離をトラックで20日間もかかるという世界最悪の渋滞が話題を呼んだ。だがいまや、オルドスは中国最大の「鬼城」(ゴーストタウン)と呼ばれていて、行き交う車すらほとんどない。

こうした中国経済の悪化を、当の中国人たちはどう捉えているのか。

「患者と話していると、景気の悪い話ばかりだ。商売は上がったりだし、とにかく商品の物流が減っているという。中国経済がここまで悪化している最大の原因は、政府が金融の自由化を断行しないことだ」(柴歓・漢方医)

「私の周囲の人々の衣食が目に見えて粗末になってきた。一番の問題は、社会的に飛躍していくチャンスが、ますます狭まってきていることだ」(劉・ITデザイナー)

「教師の給料は上がらないのに物価は高騰する一方だ。そのため消費を切り詰めるしかなく、もはやちょっとした旅行さえ贅沢になってきた」(王貞樺・中学教師)

「新常態」という言い訳

習近平政権の立場について、国務院(中央政府)の経済官僚である熊氏が説明する。

「習近平主席がアメリカ訪問でも述べたように、中国経済は悪化しているのではなく、『新常態』(ニューノーマル)という『新たな正常な状態』に移行したのです。新常態とは、高度成長から中高度成長へ、製造業中心からサービス業中心へ、そしてより環境に優しい節約型の成長へという移行です。その象徴である大型国有企業を改革し、新たな成長へと向かうのです」

湖南省の国有企業の経営者も語る。

「とにかく習近平主席の指示に従うこと。市場よりも党中央。企業経営の要諦はそれに尽きる」

国有企業は全国に1100社余りあり、国の基幹産業を握り、富の6割強を占めている。

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