「深圳の日系企業も、ビジネス環境の悪化にともなって、香港にオフィスを移す会社が相次いでいます。
最近の特筆すべき傾向としては、日系企業に勤める大卒社員の質の低下です。考えてみれば、大卒の初任給が4000元(約7万5000円)で、同年齢の工事現場の作業員やレストランのウエイトレスの給料は、人手不足から5000元(約9万4000円)以上です。親が一人っ子に多大な教育費をかけても、報われない社会のため、大卒の若者たちがヤル気を失っているのです」
日系企業に起こっている「変化」について、中国日本商会の中山孝蔵事務局長補佐が解説する。
「今年に入って北京の日本商会から退会した企業は40社に上りますが、新規入会も32社あるので、撤退が相次いでいるとは一概に言えません。ただ、中国ビジネスの縮小は確かに起こっている。
中国国内で生産して、先進国に輸出するというビジネスモデルが、もはや成り立たなくなってきているのです。日本人駐在員向けのだだっ広いマンションは空きだらけで、北京日本人学校の生徒数も、数年前の600人台から400人台まで減っています」
軍事パレードで大損失
中国日本商会は、毎年春に、『中国経済と日本企業白書』を刊行している。その2015年版には、次のような記載がある。
〈2014年における日本の対中投資は前年比38.8%減の43億ドルとなり、2年連続減少した。2012年には過去最高74億ドルを記録したが、2013年後半から減少基調が続いている。
今後1~2年の事業展開の方向性について、「拡大」と回答した企業の割合は46.5%(前年比7.7ポイント減少)となっている。2011年と比べると、拡大が大きく減少(66.8%→46.5%)した〉
こうしたデータを見ても、明らかに日本企業は中国市場から「引き」に走っていることが分かる。中山氏が続ける。
「加えて、9月3日の抗日戦争勝利70周年の軍事パレードのようなことがあると、首都の経済機能がマヒしてしまいます。この日本商会が入っているオフィスビルも2日間、立ち入り禁止になりました」
香港紙『リンゴ日報』の試算によると、習近平主席の時代錯誤的な軍事パレードによって、215億元(約4040億円)もの経済損失を出したという。
- 北京在住8年という産経新聞中国総局の矢板明夫特派員が語る。
- 売却金30億円が神戸山口組の資金に!? 新宿の「超問題物件」売買の真相(2015.10.15)
- 日銀・初代北京事務所長が断言! 「中国経済は悲観視しなくて大丈夫。その10の理由を教えましょう」(2015.10.14)
- さらば、アベノミクス!日本「デフレ」に逆戻り! ~株価、収入、物価が一斉に低下。またあの「悪夢」が繰り返される(2015.10.15)
- 仰天!FIFAが「犯罪組織認定」されるってホント!? ~米司法省が本気。W杯、日本への影響は?(2015.10.15)
- ルポ・「密航ブローカー」 iphone6から風俗嬢まで。中国本土と香港を1万5000円で結ぶ手業師たち(2015.10.15)
- さらば、アベノミクス!日本「デフレ」に逆戻り! ~株価、収入、物価が一斉に低下。またあの「悪夢」が繰り返される(2015.10.15)
- 「野草で飢えをしのいだ」「病気を治すカネがない」 ルポ・下流老人~9割が予備軍。転落は、突然やってくる(2015.10.14)
- 日銀・初代北京事務所長が断言! 「中国経済は悲観視しなくて大丈夫。その10の理由を教えましょう」(2015.10.14)
- 実名!中国経済「30人の証言」 日系企業が次々撤退、大失速の真相~こんなに異変が起きていた (2015.10.14)
- まるで北朝鮮!習近平の「外国人狩り」が始まった ~日本人を「スパイ容疑」で逮捕、中国なら死刑もあり得る (2015.10.13)
- 日本人が知らない「EUの盟主」ドイツの正体 ~VW事件を生み出した「傲慢」「自賛」体質とは(2015.10.13)