実名!中国経済「30人の証言」  日系企業が次々撤退、大失速の真相~こんなに異変が起きていた

2015年10月14日(水) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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「このパナソニックの北京工場は、1979年に鄧小平が松下幸之助と建設を決めた外資系工場第1号でした。パナソニックはこれまで先端技術でリチウムイオン電池を生産してきましたが、中国市場における電池の過当競争の波に揉まれ、もはや撤退するしかなくなったのです」

20年いて、こんなのは初めて

パナソニックは、上海工場や山東工場なども閉鎖しており、中国事業を縮小する方向にある。7月29日に発表した4月~6月期決算では、純利益が前年同期比56.9%アップの595億円と、完全復活をアピールした。だがその陰に、創業者の松下幸之助が邁進した中国事業の縮小があったのである。

陳言氏が続ける。

「シチズンは中国で二つの工場を稼働させていましたが、そのうち一つを閉鎖しました。解雇された従業員は、1000人に上ります。ニュースにもなりませんが、中小零細の日系企業は、人件費や家賃の高騰などで、撤退が相次いでいます」

シャープ、ダイキン、TDK、ユニクロ……と、2015年に入って次々と、中国工場の撤退もしくは一部撤退を始めた。

8月12日には、天津で大爆発事故が発生。その損失額は、730億元(約1兆3700億円)に上ると報じられた。

4700台のトヨタ車が一瞬で鉄クズと化した

現地に進出しているトヨタの自動車4700台がペシャンコになった映像(写真左)は、日系企業にも衝撃を与えた。同じく近くに工場を持つ日系大手化粧品メーカーの幹部が語る。

「わが社もあの爆発事故で、多大な損害を被りました。事故を起こした天津瑞海国際物流公司に損害賠償請求を出しましたが、交渉は一向に進んでいません。日本の本社ではこの事故を機に、天津工場の撤退を決断したのですが、天津市政府が認めてくれない。中国事業は、まさに進むも地獄、退くも地獄です」

日系企業が多い大連で日系の建設会社社長を務めるベテラン駐在員も、ため息交じりに語る。

「私は大連に20年以上住んでいますが、こんな不景気は初めてです。資金繰りが悪化して工事を途中ストップするビルや、完成しても買い手がいない幽霊マンションが続出しているのです。

不景気のあおりを受けて、かつて1万人以上いた日本人は、もう3分の1規模です。日本の駐在員仲間と話していても、取引先の中国企業が夜逃げした話ばかり。全権を持つオーナーが、会社や従業員を置き捨てて、忽然と消えるのです。大連に進出している韓国系企業も同じことをやっていますが、日系企業は律儀なので、損ばかり被っています」

香港に隣接した深圳で、日系企業向けコンサルタントを営む加瀬秀男氏も語る。

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