(雷鳴)
(岡崎真実)キャー!!誰…誰なの…?鴨志田さん!私の部屋が…!私の部屋が誰かに!
(鴨志田新一)誰かにどうしたって?きれいに片付けられてるの。
ああだったら俺だ。
あんまり汚いから片付けといた。
もう!「部屋には立ち入らない」!「プライベートには踏み込まない」「仕事の事はお互い干渉しない」!それが同居のルールでしょ!しかしなあそこまで散らかしたらいくら何でも部屋に申し訳ないよ。
何度言ったらわかるの?私の部屋は散らかしてるんじゃなくて物を散らして置いてあるの。
同じだと思うがな。
まあそうカッカするな。
出来の悪い娘を世話をするのも親の役目だ。
鴨志田さん。
うん?第八条!八条?ええ「トイレットペーパーは使い終わったものが責任を持って交換する」。
それは第九条!第八条!気安く親子関係を口にしない。
親子である事に甘えない!ほいこれ。
ああ…!?第十一条追加!下着に触るな!
(大河内直仁)うわっ!うわー…!ううっ!くっ…。
ねえ?行人君の写真ここじゃやっぱり変じゃない?ありがたい人なんだからそこが一番だろ。
でも元気でピンピンしてるんだし。
その男を追い出したのは誰だ?お前だぞ。
お前のズボラな性格に付き合ってたら司法試験受かるものも受からないって出てっちまったんだ。
自分ちを。
かわいそうに。
私に関係なく受かんないと思うんだけど。
それを言っちゃおしまいだ。
そうね。
それにしてもさあんな写真置いてかなくていいのにね。
店子に対する大家としての精一杯の威圧ってやつだな。
あれでも睨みを利かせてるつもりなんだよ。
ふふっ…かわいいね〜。
結婚するか?お断り!ああ…。
わあおいしそう!いただきまーす!おい。
たまにはこれやったらどうなの!ううんいい。
私食べる人。
鴨志田さん作る人。
はあ…いただきます。
そういう事を言ってるからねっ。
お前は彼氏に愛想尽かされたんだよ。
待った。
日本語の使い方間違ってる。
愛想尽かしたのは私。
あんな奴と一緒に住んでられないからここにこうして一緒にいてあげてるんでしょ。
お前も思いっきり間違ってないか?いてもらわなくたっていいんだぞ。
お前だっていつまでもここにいられる訳じゃないだろうが。
俺との関係が周りに知れたらまずいだろ?男運悪いのは母親譲りだろうなぁ。
お母さんも仕事の事で頭がいっぱいな誰かさんに愛想尽かして家飛び出したのよね。
可愛い娘の手を引いて…。
(電話)電話よ。
そうね。
(電話)はい鴨志田。
おう。
どうした?うんうん。
どこだ?わかったすぐ行く。
ちょっと出かけてくる。
事件?「仕事の事はお互い干渉しない」。
ちょっとだけ!警察庁のエリートさんには関係ない事件だよ。
それって殺しでしょ。
何っ!?
(大崎清)わかりました。
鑑識さん!
(鑑識課員)はい。
その後何か出ましたか?いや特には。
そうですか…。
工藤さん!そっちどうですか?
(工藤通夫)いやこっちに新しい物証見つかんないな!おいそっちどうだ?
(大崎)ダメです。
こっちも何の進展もありません。
何だよ…。
ご苦労さまです。
ああ。
身元は?ええ所持していた免許証名刺などから名前は大河内直仁55歳。
結構有名な伝統工芸評論家ですよ。
本も何冊か書いてます。
伝統工芸評論家?ええ。
何にでも評論家はいるんだな。
死因は?検視してみないとはっきりした事はわかりませんが前頭部に墜落外傷と思われる打撲と頭蓋骨骨折が見られます。
酔っ払って足でも滑らせたんですかね。
そうかもしれん。
(和田一朗)事故死って事ですね。
そうじゃないかもしれん。
何だこりゃ。
鑑識さん!
(鑑識課員)はい。
これ写真撮って。
はい。
あっ。
始まった鴨さんの踊り。
おお〜。
今回はいつもより派手だな。
(和田)何なんですか?あれ。
(大崎)いやああやってさ現場で何が起こってるか再現してんだよ。
へえ〜。
おいちょっと来てくれ。
お前行け。
えっ俺ですか?いいから。
早く!すぐ行きますから!はいはい…!はい。
ここ立って。
はい。
あっいいですよ。
はい。
ちょっ!?わっ!ちょっ…うわっわっ!ああ触るな!鑑識さん。
(鑑識課員)はい!手すりのこのへんと…。
ここ!重点的に指紋採って。
(星田耕介)何!?殺人!?はい。
恐らく。
坂下君。
(坂下純次)はい…。
今朝事故死という報告を課長の君から聞いたはずだよ。
ええそれはですね…。
ええと…。
鴨志田君何を根拠に殺人などと!いや根拠はいくつかあります。
頭の傷の位置肩にできたアザの位置。
手すり及び欄干に付いた指紋の位置。
胸ポケットの中でタバコが潰れていた事。
だから?いやだからってつまりこういう事ですよ!うわっ!何すんじゃ!大河内直仁氏は何者かによって階段の上から殺意を持って押された。
おわかりいただけましたか?おお…。
・
(ノック)
(ドアの開く音)失礼します。
(上野忠明)はい。
これ見てくれ。
昨夜東王子署管内で起きた事故だ。
他殺の可能性ありと記されていますが。
鴨志田とかいう一刑事の見解にすぎん。
鴨志田!?
(上野)知ってるのか?いいえ初めて聞く名前です。
死んだ大河内直仁は伝統工芸界に対して多大なる影響力を持つ著名な人物だ。
名前は聞いた事があります。
政財界人との付き合いも深い。
それで?大河内は昨日上野で開催されていた日本伝統工芸美術展に審査員として招かれていた。
工芸展が終わり夕方から銀座のクラブへ同じ審査員を務めたある代議士と共に出かけたんだが2人はその席で激しい口論になったらしい。
その代議士は大河内が死んだ事で直前にケンカした自分に容疑がかかる事を恐れてるんだ。
それで私にどうしろとおっしゃるんですか?これ以上の説明が必要な人間は私の部下には必要ない。
その代議士先生に迷惑がかからないように捜査を指揮しろという事ですね。
わかっているなら口にするな。
せめてその代議士先生のお名前ぐらい聞かせてください。
衆議院議員猪瀬茂夫だ。
君の将来のためにも恩を売っておいて損のない人物だ。
工藤さん。
鴨さんまた寝ちゃってます。
はは…。
あれいつもそうなんですか?ああ。
・
(ドアの開く音)
(和田)わっきれいな人ですね。
知らんのか?えっ?警察庁のエリートだ。
容姿端麗才色兼備。
高嶺の花もいいとこだ。
へえ…。
起こせほら。
起こせ…そこ起こせって…!
(いびき)鴨さん。
(いびき)鴨さん!うん?ああ終わった?今日は案外早かったね。
まだ。
まだまだ。
そこの人!会議はこれからです。
うん?お前何やってんだ?こんなとこで。
鴨志田君!岡崎警視に向かってお前とは何事ですか!あっ…。
あっそうか。
(星田)あっそうかって君ね!すいません!寝起きが悪いんですよ!お許しください!
(電車の警笛)なるほどな。
警察庁のお前が出張るほどの事件じゃないとは思ったがそういう事か。
うん。
恐らくお前の上司はその代議士と…。
鴨志田さん。
この件に関しては口出し手出し一切無用。
もちろん口外も…。
わかってますよ。
それにしても嫌だねぇ官僚ってのは。
本当最低。
おい立場上そういう発言はまずいんじゃないのか?全然。
私は自分の思うとおりに捜査するだけ。
余計なしがらみは関係ない。
「真実」を追求しないとこの名前に恥ずかしいしつけてくれた親にも申し訳ないしね。
ふん。
誰に似たんだかこの世渡り下手が。
・
(大崎)鴨志田さん!課長が呼んでます!鴨志田さん!はい。
今回はくれぐれも勝手な行動だけは慎んでくださいね!はいわかってます!かしこまりました。
ああ〜あ…鴨さん飛ばされなきゃいいけど。
あっ!ごめんなさい。
あらすいません。
すいませんでした。
(矢島香織)いいえ。
こちらこそぼーっとしててすみません。
・
(記者)猪瀬先生。
・
(猪瀬茂夫)うん。
新しく国立工芸館を建設するという噂がありますけれど事実ですか?そう。
私がね法案を提出したんですがね。
そもそもこういった優れた工芸品はね国が手厚く保護しなきゃならんのですよ。
(猪瀬)かねがねね私は国会でその事について…。
猪瀬茂夫先生でいらっしゃいますね?あなたは?警察庁刑事局岡崎真実と申します。
昨夜大河内直仁氏が亡くなられた事はご存知ですね?場所を変えて話しましょう。
上司は君にどんな指示を出したんだね?捜査の指揮を執るように命じられています。
先生昨夜9時過ぎどちらにいらっしゃいました?アリバイか?はい。
君は誰に向かって物を言っとる!私を誰だと思っとる!私にとっては大切な参考人の1人です。
ふざけた事を言うな!私は事件には無関係だ!さっさと帰りたまえ!鴨さん。
うん?目撃者がいました。
目撃者?ええ。
昨夜現場近くから慌てて走り去る男の姿をジョギング中の主婦が目撃してます。
(大崎)時刻は9時ちょっと過ぎ。
犯行時刻とほぼ一致します。
あっできましたよ。
目撃者の証言から作った似顔絵です。
見つかりゃいいが…。
どうしたんですか?うん?いや…。
まさか…。
あっご苦労さん。
(鑑識課員)どうしたんですか?そんなに慌てて。
あの木片あれ何だかわかったか?あっええ。
ちょうど報告しようと思ったところです。
これは…。
一位?何だ。
おわかりだったんですか。
成分等を分析した結果確かに一位の木ですよこれは。
一位一刀彫…。
(警笛)辞めた!?ええ。
昨日突然電話があっていきなりですよ。
勤務態度はどうだったんですか?ええ真面目でしたよ。
この6年間無断欠勤は一度もなかったし残業だって嫌な顔1つしないでやってくれましたからね。
(大家)あっここの2階です。
ああ。
こちらです。
はい。
よいしょと…どうぞ。
すいません。
はあ…どうぞ。
堅いいい人だったんですけどね急に出てっちゃったんですよ。
まあ家賃はいただいてるからいいんですけどね。
これ荷物困っちゃうんですよね〜。
まあ家具なんかは古道具屋に売っ払いやぁ金にはなるんですけどもこういったもんはどうしたもんですかねぇ。
吉村…。
あの…岡崎警視の事なんですけども。
彼女がどうかしたのか?はい。
警察庁の人間がわざわざ首を突っ込んできているという事は今回の事件には何か特別な事情が隠されているという事ですよね。
彼女一体何を調べているんでしょうかね?坂下君君印旛沼に買ったマイホームのローンあと何年残ってる?ええ30年ローンですからあと27年残っておりますか。
だったら見ざる言わざる聞かざるだよ。
下手に関わってみなさい。
君の首など軽く吹っ飛んで5人の子供が路頭に迷う事になるよ。
ああいやそれは困りますよ。
一番下まだ3歳ですよ。
でしょ?はい。
ここは大人になろう。
わかりました。
見ざる言わざる聞かざるですね。
うん。
じゃああなた達その場にいたのね?ええ。
私大河内先生と猪瀬先生の間に座ってたから。
私は猪瀬先生の隣に。
2人がなぜ口論になったかわかる?
(ホステス)さあどうだったかしら。
お金の話してたみたいだけどよくわかんない。
何でもいいの。
思い出して。
(小野寺)誰だ?君は私の話を理解していなかったようだな!猪瀬代議士の事を調べる中である事実をつかみました。
猪瀬はある建設業者と癒着し美術館などの建設修繕工事を発注する見返りとして多額の賄賂を受け取っていた可能性があります。
そして殺害された大河内直仁はそれをネタに猪瀬を脅迫していたようです。
私が君に命じたのは東王子署管内で起きた転落死事件に関して猪瀬代議士に迷惑がかからないようにする事だけだったはずだ。
今の君の報告は無用だ。
なかった事にしよう。
不正を見過ごせとおっしゃるんですか?青臭い話はしたくない!私は自分の信念に従います。
約束された地位を失ってもいいのか?真実を暴けないような地位なら欲しくありません。
失礼します。
(ため息)
(携帯電話)もう…。
(携帯電話)はい。
おう真実か。
どうした?「助けて。
男達に追われているみたい」何?場所は!何なのよあんた達!
(小野寺)捕まえろ。
えいっ!おわっ!公務執行妨害で逮捕…!おい連れてけ!はい。
行くぞ!おら。
離しなさい!行くぞ。
ちょっ…ちょっと待ちなさい。
はあはあ…ああまいった。
こんにちは。
あのさ…。
うわっ!やあ!えい!おい真実。
逃げろ!おりゃー!やっ!この…!あっ!ああ!離しなさいよ!手大丈夫!?おいおっさん何者なんだよ!父親だ!娘に妙な真似しやがって…許さんぞ!随分勇ましい事言ってくれるけどなジジイにこれだけの人数を相手にできんのかよ。
お前は逃げろ。
でも…。
親の言う事が聞けんのか!
(パトカーのサイレン)ああ警察だ。
ああ…。
鴨さん!動くな!ざまぁ。
挟み撃ちだ。
はっはっはっ!はいご苦労さん。
ご苦労さん。
大体遅いんだ!お陰で切られちゃったじゃないかもう!ああ。
お疲れさまです。
(ため息)岡崎警視が何でここにいるんですかね?知らない。
世の中わからん事がいっぱいあるんだよ。
さあ行こう。
アイテ…。
ご苦労さま。
どうも…。
うっす。
猪瀬が君を襲わせるよう命じたっていうのか?そんなバカな…。
男の1人がそう吐きました。
この件に関して局長は何もご存知ないんですね?当たり前だ!そんな事私が黙認するはずがない。
つまり猪瀬は局長が容認できる範疇を超えた行動に出たという事ですね。
もはやかばい立てする必要はありませんね。
(ため息)大丈夫だろうね?こんな事をして。
相手はあの猪瀬茂夫だよ。
でも私の知らない間に…。
君そういう無責任な発言をすると管理能力を問われるよ!いやそんな…。
私にはね5人の子供と印旛沼のマイホームのローンが…。
あと27年ですよ!あの日私は大河内と別れてから別の店に行ったんだ。
もちろん調べはついているだろうがな。
じゃあその店で建設業者と密談でもしていたんですよね。
それですぐにアリバイ証言をしなかったんですよね。
答える必要はない。
さあ私はもう帰っていいかな。
無実なんだからな。
殺人に関しては無実かもしれないけど収賄と私を襲わせた罪は免れないわよ。
ははは…!言う事はそれだけか。
いい気になるなよ。
国会議員に対して証拠もないのにそういうどう喝をするなんてもうお前は終わりだ!!お前の出世の道は完全に閉ざされてしまったからな!ええ!猪瀬貴様…!何だ!ふん!わあっ!!アタタ…!今のはこの人にケガさせた落とし前!私は殴られた!おい!誰か来てくれ!
(猪瀬)痛〜い!あっ…!鴨さん何て事するんだ!殴るのはまずい!殴ったのは私!えっ?嘘…。
1週間かぁ…。
謹慎中ってずっと家にいなきゃいけないんだよね。
まあな。
ごめんね短気起こして。
気にするな。
お前がやらなかったら俺がぶん殴ってた。
だよね!危ない連中使ってお前を襲わせるなんてすぐばれるような事を。
ったく頭の悪い代議士だ。
でも殺人に関してはシロだったのよね。
ああ。
アリバイは完璧だったよ。
って事は捜査は振り出しに戻ったって事ね。
ああ〜もうこんな大事な時に…。
いや振り出しじゃない。
えっ?実はお前には隠してたんだが気になる男がいてさ。
恐らく吉村大輔52歳。
12年前まで飛騨高山で一位一刀彫の職人をしていた男だ。
一位一刀彫?ああ。
一位の木を使った飛騨高山の伝統工芸だ。
うわ…!きれい。
その吉村が彫ったもんさ。
見事だろ。
うん。
でも鴨志田さんはどうしてこの男が吉村だって?うん俺の知ってる吉村は今言ったように12年前まで高山で職人をしていた。
しかし生活は決して楽じゃなかった。
だから妻子の反対を押し切って出稼ぎのために単身上京したんだ。
(香織)お父さん!行っちゃ嫌!
(吉村大輔)香織…。
(矢島しのぶ)あなた!ねえ!お母さんといてくれ。
思いとどまってちょうだいよ!ねえあなた!行ってくるよ。
ねえあなた!
(2人の嗚咽)あなた…。
(嗚咽)東京での暮らしも決して楽じゃなかったみたいだな。
でも懸命に働いて毎月せっせと仕送りはしてたんだ。
ところがそんな時チンピラに絡まれてボコボコにされてさ…。
オラァ!オラオラ!オラァ!金金…。
おお…はっはっ!こんな持ってんじゃねぇか。
もらってくぜ。
あっ…返してくれよ。
返してくれよ!それ家族に送る金なんだよ!知るかよ!待ってるんだよ…その金を。
しのぶと香織が待ってるんだよ!うわ…!その事件を担当したのが俺だ。
吉村は自分から妻子と別れると言い出してさ。
別れます。
別れるしかないんです。
妻のためにも娘のためにもそれしかないんです。
家族の反対を押し切って東京へ出てきて人を殺してしまったんですよ。
こんな男の事は忘れて2人には幸せになってほしい…。
俺はそれ以上何も言えなかったよ。
6年の刑期を終えて出所した後は町屋の小さな工場で真面目に働いていたんだが事件の翌日急に工場辞めてアパートも引き払って消えちまったんだ。
それにこの似顔絵ね。
そればっかりじゃない。
殺害現場に木屑が落ちててさそれが一位の木だったんだよ。
(ため息)状況的には限りなく黒に近いグレーね。
でもな俺は奴がやったと思いたくないんだよ。
誠実で真面目な奴なんだ。
妻子と別れたのだって相手の事を思いやっての事だ。
やる訳がない。
出所後もずっと観音像を彫り続けていたくらいだ。
人を殺めた事への償い後悔…。
それと妻子の幸せを願って彫り続けていたんだろう。
そんな男が今また人殺しをしたなんて思いたくないんだ。
気持ちはわかるけど…ねえ動機は?その吉村って男大河内を殺害する動機はあるのかしら?いや今のところそれは見つかっていない。
大体2人に面識があったかどうかさえわからん。
(ため息)
(姉小路行人)どうもー!お久しぶりです!近くまで来たんで寄っちゃいましたよ!あっ。
ちょっと鍵かかってなかったですよ。
まったく無用心だな〜。
ああ〜ああ〜真実さんまたこんなとこに服脱ぎ散らかして。
相変わらず直ってないんだから。
もう〜。
あっそうだ。
僕の写真。
僕の写真どこにやったんですか?ええー!?ちょっとこれ僕死んでるじゃないですか!僕生きてますよ!ちょっと鴨志田さん!これどういう事なんですか!行ってみようと思う。
えっ?どこに?高山ね。
高山?ああ。
もし吉村が人を殺めてしまったとしたら最後に向かうのはやはり家族のいる場所だろう。
そうかもね。
行ってみるよ。
うん。
あの高山って岐阜県の飛騨高山の事ですか?いいなぁ〜!あそこの飛騨牛は最高ですよね。
朴葉味噌もいい。
お土産楽しみにしてますよ!あら?行人君何してんの?いたの?いたの?って…。
かなりしゃべってましたけど。
あっ課長。
おう。
あれ?鴨さんは?ああケガした腕が痛むって休暇届出てますよ。
休暇届?はい。
こんな時にか?久しぶりの立ち回りで足腰が痛いって。
口実だと思いますよ。
また単独行動してんじゃないですかね。
ああ…もう聞きたくない聞きたくない。
もう。
責任とらんからな。
知らん知らん!ほう。
もうすぐ高山まつりか…。
ほお…。
あっこんにちは。
(三枝辰明)いらっしゃいませ。
いかがですか?いやもう。
見事な作品ばっかりで。
一位の木は木目がとても美しいんです。
その美しさを生かし彩色を施さない独特の根付け彫刻が一位一刀彫なんです。
なるほど。
どういった作品をお探しで?いや申し訳ない。
ちょっとお尋ねしたい事がありまして。
はっ?以前こちらで働いていた吉村大輔さんの事を訊きたいんですが。
警察の方ですか?いや東京でちょっと知り合ったもので…。
バカな奴です。
腕はよかったのに生活のために上京しておまけにあんな事件まで起こして…。
12年前の事件ですね。
ええ…。
私がもっと仕事を回してやれれば…。
伝統工芸の世界で食っていくのは大変なんですよ。
最近吉村さんから何か連絡は?ありませんよ。
恐らく二度とこの町には帰って来ないつもりでしょう。
家族の事まで忘れますかねぇ…。
ちょっと見てもらいたい物があるんですが。
いかがでしょうか?見事な腕です。
そうですか。
吉村さんの作品です。
えっ?彼はノミを捨ててなかった。
これを見たら一位一刀彫の事もこの町の事も家族の事も1日たりとも忘れた事はなかったと思うのですが。
吉村さんから何か連絡がありましたら東京の鴨志田が来たと伝えてください。
鴨志田さんですね。
わかりました。
あの…別れた奥さんや娘さんの事わかりますか?
(祭囃子)彼女です。
あっありがとうございました。
・
(香織の英語の説明)
(英語の説明)
(英語の説明)はぁ〜見事ですね。
この屋台が高山まつりの時に町の中を引き回されるんですね。
いいえ。
春の高山まつりで実際に引き回される12の屋台は各町の蔵に保管されてます。
ほうそうなんですか。
お客様は観光でいらっしゃったんですか?ええまあ。
もうすぐ高山まつりです。
ぜひご覧になっていってください。
はい。
桜が咲き誇る中行われる屋台巡行は本当に素晴らしいんです。
長い冬がやっと終わって春が来た喜びがこの高山の町中に溢れるんです。
高山まつりお好きなんですね。
はい子供の頃から。
ここで働いているのも実はそのせいなんです。
お父さんとも行かれましたか?失礼しました。
東京東王子署の鴨志田と申します。
あの人がまた何かやったんですか?いや違います。
ある事件の事でちょっと訊きたい事があって捜してるんです。
あんな人の事知りません。
12年前にあの人がこの町を出て行ってから一度も会ってません。
会いたいとも思いません。
あんな人の事もう忘れました。
父親だとも思ってません。
恨んでます。
あの人の事で私や母がどれだけ苦しい思いをしたと思うんですか?町の人達の冷たい視線の中でずっとびくびくして暮らしてきたんです。
あの人は私達を捨てて勝手に東京に行ったんです!お父さんが12年前にした事はそれなりの事情があって…。
本当に家族の事を思うならこんなに苦しめるような真似しないんじゃないですか?私もうすぐ結婚するんです。
彼は何もかも知ったうえで私と結婚してくれるんです。
それなのにまたあの人が何かやったりしたら…。
これ以上お話するような事はありません。
失礼します。
倉田春慶店はどのへんにありますか?あっ八幡神社のほうですよ。
歩いてどのくらい?7〜8分くらいですね。
ああありがとうございました。
・
(倉田隆俊)いらっしゃいませ。
いかがですか?ああ芸術には疎い私でもこの良さはわかります。
ありがとうございます。
この春慶塗の美の秘密は木地師と塗師の共同芸術なんです。
共同芸術?ええ。
春慶塗は厳しい試練に磨き抜かれ技を競い合った木地師と塗師が作り上げる最高の芸術品なんです。
なるほどね。
他の塗物と比べて元の木の美しさが生きてますよね。
興味をお持ちのようですね。
ええまあ。
申し遅れました。
私この店を任されている倉田と申します。
あっご丁寧に。
工房をご覧になりますか?ぜひ。
ではどうぞ。
ああ。
ああ…独特の匂いだなぁ。
あのこちらで矢島しのぶさんが働いてるって聞いたんですが。
ええ。
失礼ですが?親戚です遠い。
近くまで来たもんでちょっと。
あっそうですか。
絹子さんしのぶさん呼んできてください。
(沢田絹子)はい。
しのぶさんには下塗りをしてもらっています。
塗師の私を支えてくれてるんですよ。
ほうそうですか。
・
(矢島しのぶ)あっどうもありがとう。
ああ…。
あの…嘘ついて申し訳ありません。
私東京の東王子署の鴨志田といいます。
刑事さんですか。
はい。
12年前に吉村さんから奥さんの話は聞いてます。
あの人と別れてから春慶塗と出会って私は変わりました。
もし春慶塗と出会っていなかったら娘と2人ここまでやってこれたかどうか…。
あの人がまた何か?いえ。
先日うちの管内で大河内直仁という伝統工芸評論家が亡くなりまして。
その事でちょっとお話を伺いたくこうやって捜してるんです。
はあ。
あの人に疑いがかかってるんですね。
ええ。
それで私を訪ねてくると…。
高山に来ていると私はそう思ってます。
(ため息)どんな事情があろうとあの人が今さらこの町に戻ってくるなんて考えられません。
でももし見かけたらどうすれば?あっ私の携帯に連絡をいただければ。
わかりました。
(しのぶ)でもとにかくあの人と私達親子はもう他人なんです。
「もう他人なんです」か…。
・
(足音)何か用か!?あっ…。
あっ!何でお前俺の後をつけてんだ?ちょっと驚かそうとしただけでしょ。
はあ〜…待て。
お前こんなとこで何してるんだ?事件から外されたんだろ?っていうか自宅謹慎中だろ?私を謹慎に追い込んだ事件よ。
このまま謹慎している訳にはいかないでしょ?ああなるほど。
あれ?またおかしくないか?日本語。
私の中では筋が通ってるわ。
無茶苦茶だよお前は。
さっ泊まるとこ探しに行こう。
ふふふ!うわぁ…。
空いてない?この時期大変混み合っておりまして。
展望露天風呂付きの特別室でしたら一部屋ございますが。
いやごめんなさい。
今回は自腹だから贅沢できないから…。
部屋に露天風呂?そこお願いします。
おいちょっと待てよ!いいじゃない!たまの2人っきりの旅行なんだから!よせったら…。
ああ…誤解しないでくださいね。
そういう変な関係じゃないんです。
実は上司と部下なんです。
えっ…?もっとまずいんじゃないの?ごゆっくりどうぞ。
どうも。
お世話になります。
こんないいとこ…割り勘だからな割り勘。
わかってますよ!あっこれ…おい…。
うわあ〜!ああ?露天風呂ー!ねえ一緒に入ろうか。
何!?ふふっ冗談よ冗談!馬鹿者が…。
まったく…。
ちょっとは元気になった?うん?だって鴨志田さん暗〜い顔して町歩いてたんだもん。
うん…。
吉村さんの別れた奥さんと娘さんを訪ねたんでしょ?それがな…。
奥さんも娘さんも冷たかったって事ね…。
12年前吉村がやった事を思えば仕方がないがでもあいつはそれから精一杯頑張ったんだよ。
わあ〜!せっかくのご馳走早く食べようよ鴨志田さん!ねえこれ飛騨牛だよね?飛騨牛だぁ飛騨牛!おい騒ぐなって…。
いただきまーす!はい。
よし。
いきなり肉か?でしょ〜!普通は野菜入れんじゃないの?先に。
いいのいいの。
よいしょっ。
焦ってんなぁ。
逃げる訳じゃないんだからさぁ。
ふふふ!うんおいしい!これもうまそうだ。
お前もこんな物がすぐにでもできればなぁ…。
嫁のもらい手が…。
鴨志田さん。
えっ?作り方聞いて家でも作ってね。
はい…。
ご苦労さま。
あっお疲れさまでした。
今日昼間来られた方東京の刑事さんだそうですね。
絹子さんが私に。
相変わらずお節介な人だ。
申し訳ありません。
いえ。
別れたご主人に関係する事ですか?先生にはご迷惑がかからないようにいたしますので。
私の事なら気にしなくていいんです。
あなたと私の間に遠慮はいりません。
今どこでどんな生活をしてるのか私にはどうでもいい事ですが今こうしてあなたを苦しめてる事だけは許せませんね。
しのぶさんこれから先の事を考えるべきです。
早く返事を聞かせてもらえませんか?先生申し訳ありませんけれども私にはそのつもりはありませんので…。
一度は私の愛を受け入れてくれたじゃないですか。
あれは何だったんです?言い過ぎました。
許してください。
私はあなたを苦しめるつもりはありません。
私にできる事があったら遠慮なく何でも言ってくださいね。
ありがとうございます…。
ああ〜おいしかった。
先にこれを揚げんのかうん…。
何やってんの?事件の整理?いやさっきのおつまみのレシピ。
お前聞いといてくれっつっただろ。
や〜だ本気にしてたんだ。
おい…。
鴨志田様あちらにお客様が。
あっ。
沢田絹子といいます。
ああ!昼間の春慶塗の。
あなた刑事さんですよね?はっ?矢島しのぶさんの事で大切なお話があります。
じゃあとりあえずまあ…。
どういう事ですか?私12年前の事も全部知ってますよ。
刑事さん4日前の事件の事調べてるんですよね?あっ…。
大河内っていう評論家が殺された事件ですよね?しのぶさんの別れた旦那が疑われてるんですよね?よくそこまで…盗み聞きですか。
たまたま通りかかった時に聞こえてきただけですよ。
たまたまね。
しのぶさん嘘ついてますよ。
嘘?ええ。
しのぶさん殺された大河内さんの事よく知ってるはずですよ。
大河内さんにしつこく言い寄られてたんですから。
ホントですか?彼女そんな事一言も言ってませんでしたけどね。
いいえ。
大河内さんは何度か高山にも来てますしうちの店にも顔出してますよ。
それに大河内さんが亡くなった日しのぶさん倉田先生や娘さんと一緒に東京に行ってましたよ。
東京に?はい。
伝統工芸展に作品出品するために。
間違いありませんか?調べてもらえばわかります。
(ため息)しのぶさんって何考えてんだかわかんないところがあるんですよねぇ。
2年前倉田先生の奥様どっかに失踪しちゃったんですけど…。
ちょっ…ちょっと待ってください。
倉田先生の奥さん失踪してるんですか?ああまあ…。
ただの家出みたいなもんなんですけど。
夫婦仲があんまりよくなかったみたいで…。
ほう。
あっどうぞ続けてください。
そしたらしのぶさん奥様の代わりに先生の身の回りの世話まで始めちゃって。
先生だって迷惑してると思うんですよ。
逆に2人はデキてるなんて変な噂も流れるし。
(チャイム)・
(香織)はーい。
あっ夜分遅くすみません。
何なんですか?もうお話するような事はありません。
あなた…!ほらあの時私がぶつかっちゃった人よね。
どうもすいませんでした。
いいえ。
こちらこそぼーっとしててすみません。
あの会場で…。
そうですか。
あなたが吉村さんの…。
娘なんかじゃありません!他人です!香織。
しのぶさんあなた大河内氏をご存知なんですよね?それに事件のあった日お二人は東京にいた。
なぜその事を隠したりしたんですか?隠したつもりはありません。
申し上げる必要がないと思ったからお話しなかっただけです。
私は大河内に脅されていました。
どこで調べてきたのか吉村の事を詳しく知っていて別れた夫の事を公表されたくなかったら言う事を聞けと言ってきたんです。
それであなたはどうなさったんですか?もちろん拒み続けてきました。
私は吉村の事が公表されても構いません。
でも結婚を控えた香織は違います。
それに店や倉田先生にも迷惑がかかります。
先生に迷惑をかける事はできません。
正直言って大河内が死んでくれてホッとしています。
ですが私は事件には関係していません。
どう思った?矢島しのぶの話。
うん…嘘をついてるようには見えなかったけど。
ああ…。
ねえそれより私香織さんの事が気になるの。
娘か?うん。
香織さんきっとまだ父親を愛してる…。
うん?彼女が大切そうに持ってたブローチ。
あれ一位一刀彫だったのよ。
ほう。
一位の木って時間が経つと色に味が出てくるんでしょ?とってもいい色してた。
きっと小さい頃に父親からもらったものだと思うわ。
でもなあれは父親を恨んでる顔だよ。
わかんないかなぁ?あれは父親をかばうためのお芝居よ。
芝居?今回の事件の犯人は恐らく吉村大輔。
貴様ー!ああーっ!動機は?しのぶさんが大河内に脅されて言い寄られてる事を知ったの。
だから…。
別れた妻子のためにそこまでやるか?吉村っていうのはそういう男だったんでしょ?ああ…家族の事しか考えてなかったな。
香織さん父親が犯人だと気づいていてだから鴨志田さんに対してわざと冷たい事を言ったのよ。
父親を助けたい一心で心にもない言葉を口にしたのよ。
しのぶさんも吉村の犯行と気づいていてとぼけてるのかもしれない。
離れていても…親子だったのよ。
夫婦だったのよ…。
ああ…。
鴨志田さん吉村が犯人だとしたら必ずしのぶさんか香織さんに会いに来るはずよ。
私は香織さんを張るわ。
よし。
俺はしのぶさんか…。
《吉村…この町にいるんだろ。
姿見せてくれよ》このケースの中に展示してある屋台は秋の高山まつりで使用される屋台を3分の1に縮小して展示してあるものなんです。
あとですねあちらのほうにオリジナルの屋台が12ありましてこちらは春も秋も関係なく…。
(香織)いかがでしたか?よかったですか?矢島さんお電話です。
急いでるみたいですよ。
あっありがとうございます。
じゃあ失礼します。
代わりますね。
飛騨へは今日初めてですか?ええ。
えっ…?はい皆さんこちらです。
香織…。
母さんを頼む。
しっ…幸せになってくれ。
あっ…!お父さん逃げて!警察!待ちなさい!ああっ…!離しなさいよ!離しなさい!お父さん早く!待ちなさいって…離してよ!香織さんちょっと…!離しなさい!
(香織)お父さん早く!ねえ香織さん離してよ!ねえ!あっ…!香織さんあなた…。
どうしてそんな事をしたの!だって父さん私達のために…。
母さんあの頃の事忘れたの?お父さん!うん?何作ってるの?ほら!あっひまわりだ!うん。
あなた少し休んだら?はいお茶。
ああじゃあ休もう。
ああ〜。
さあおせんべいもどうぞ。
おっ!きた。
よし。
(しのぶ)はい。
うふふ!はい香織!はははっ。
母さんが大河内に脅されている事を知ってきっと父さん…。
父さん最後の高山まつりの夜私と約束してくれた…。
(祭囃子)香織…父さんいつでもどこにいてもお前と母さんの事守ってやるからな。
守るって?うん。
困った事があったらこれを握り締めろ。
父さん必ず助けてやるから。
父さんあの時の約束どおり私と母さんを守るために大河内を…。
そんな事私達のためにならない!あの人は昔からそう。
いつも空回りして…。
自分一人で勝手な事ばっかりして…。
勝手な事って…母さん自分はどうなの?母さんは父さんを裏切ってるじゃない!私が何も知らないとでも思ってるの!?倉田先生との事…。
父さんかわいそうだよ。
何も知らないで…。
岐阜県警に協力を要請して吉村を手配してもらいましょう。
ちょっと待ってくれ!もしあいつが犯人だったとしたらせめて自首させてやりたいんだ。
そんな事を言ってる状況じゃないでしょ!いやわかってる。
でもな俺が何とか捜し出して説得するからさ。
そんな事言って本当に逃げられたりしたら…?なぁ頼むよ。
なぁ頼む!あっそうか!私謹慎中だった。
そんな事できないんだね。
すまん…。
(電話)はい。
はい少々お待ちください。
しのぶさん電話ですよ。
男の人から。
(しのぶ)はい。
はいお電話替わりました。
はい…。
今すぐですか?ああ…ちょっと今仕事中なんですが。
(しのぶ)北山公園ですね?はいわかりました。
ちょっと見かけませんでしたね。
ああそうですか。
どうもありがとうございました。
すいません。
あの…こういう人を見かけませんでした?ええ…ちょっとわかりませんね。
ああそうですか。
すいません。
(携帯電話)はい鴨志田。
(絹子)「あっ刑事さん?絹子です」「先日宝生閣にお邪魔した沢田絹子」ああ…!何で私の携帯の番号を知ってるんです?ああ〜そんな些細な事!それよりしのぶさん変な男から電話を受けて出かけましたよ。
どこへ行ったかは聞いてませんよね?「急に声潜めたんですけど私の耳は大丈夫!」「北山公園ですよ!」ああ〜!聞こえたか!?ええ。
救急車!はい!警察もだ。
はい。
私じゃない!私じゃありません!
(救急車のサイレン)
(看護師)吉村さんわかりますか?輸血お願いね。
はい。
・
(足音)父さんは?全身打撲で現在意識不明です。
誰が…?どうして…!?お前が言うとおりあの時県警に協力を要請しておけばよかったよ。
しのぶさん何があったんですか?吉村から電話があったんです。
一度だけ会って話がしたいって…。
それで行ってみたらあの人が倒れてたんです。
(島谷刑事)高山署の島谷です。
お話を伺いたいので署までご同行ください。
はい…。
どういう事?まさか母さん…。
違う!母さんじゃないから。
(田山刑事)あの…お二人にもお話を伺いたいんですが。
あっはい。
はい。
さあ。
東王子署の鴨志田さんがなぜあの現場におられたのか。
また隣の女性とはどういう関係なのかご説明いただけますか?説明します。
説明しますがその前に事件の状況を。
そうですか。
ええ…状況的には矢島しのぶが突き落としたと見て間違いなさそうですね。
本人は何と言ってるんです?犯行は否認しています。
まあ後は我々にお任せいただくとしてどのようなご関係なのかまずお聞かせください。
ふふ…。
恐らく東京じゃ大騒ぎだぞ。
そうね…。
まあなるようになるわよ。
(携帯電話)もしもし?
(坂下)「鴨志田君君携帯持ってたの?」「言ってくれよ〜!」ああ課長…。
岐阜県警から連絡があったよ。
何勝手な事やってるんだよ!岡崎警視まで強引に巻き込んでるそうじゃないか!いやそれは違いますよ。
こいつが勝手に来たんです。
あっ…。
こいつ…こいつ!?今警視に向かってこいつって言ったか!?今のはな聞かなかった事にする。
とにかくな用件だけを伝えるから。
大河内が殺害される直前和服姿の美しい女性と一緒にいるところを犯行現場付近で目撃されていた。
以上だ!和服の女…?えっ?どうも。
どうも。
あっ…。
似てるな。
ええ。
大河内を殺害したのは吉村じゃなくてしのぶさんだった。
しのぶさんが吉村を殺そうとした動機はそれよ。
吉村に罪を被せて殺そうとしたのよ。
そう考えればいろんな事のつじつまが合う。
つじつまは合うかもしれんがそれじゃあんまりだろ。
吉村は家族の事をずっと思い続けてたんだぞ。
吉村はそうだったかもしれないけどしのぶさんは違ったのよ。
12年もほっとかれたのよ。
他に好きな人ができたって仕方がないじゃない。
しのぶさんから話を聞きましょうよ。
県警を差し置いてか?いやちょっと待ってくれ。
1つ何か気になる事があってさ。
何?匂いだ。
匂い?ああ。
倒れていた吉村の体に残っていた匂い。
そうか…あれは漆の匂いだ。
漆?だからそれはしのぶさんの匂いじゃないの?だって春慶塗の下塗りしてたんでしょ?私じゃない!私じゃありません!待てよ…。
しのぶさんがやったんじゃないとすると…。
あっ…。
いやまさか…。
ごめんください。
やっぱりこの匂いだ…。
(携帯電話)もしもし。
「あっ俺だ」鴨志田さんどこにいるの?「それは後で説明する」「お前に頼みがあるんだ」何?お前の顔で調べてほしい事があるんだ。
県警に行ってくれないか?岐阜県警に?捜査にご協力お願いします。
(遠藤直樹)いやしかし警察庁に問い合わせたところ岡崎警視あなたは謹慎の身だと…。
急を要する事態です。
責任はすべてこの私が取ります。
香織さん!父さん話ができるようになったってさっき先生が…。
そうよかった。
私父さんと何話していいかわからなくて…。
うん。
大丈夫よ。
ここは私達に任せて。
なあ吉村…。
お前じゃないんだろ?わかってるんだよ。
それがお前の家族への償いか?罪を被るのが償いなのか?気持ちはわからんでもない。
だがなあの事件犯人はしのぶさんじゃない!これは本当だ。
別れた家族を守りたいんなら本当の事を話せ!それまで俺はここを動かん!あの日俺はしのぶや香織の姿を一目だけでも見たくて伝統工芸展に足を運んだんだ…。
しのぶの事や香織の事をこの12年間忘れた事は一度だってなかった。
しのぶが春慶塗をやっている事は雑誌で見て知りました…。
その日は夜遅くまでずっと会場の近くにいました。
しのぶや香織と少しでも近くにいたかったから…。
(吉村)同じ空気を吸えるだけでうれしかった。
夜遅くなってしのぶが出てきました。
でもしのぶは大河内に言い寄られていたんです。
どうも先生今日はありがとうございました。
いやいや。
ここで失礼いたします。
ホテルまで送らせてください。
もうホントに…。
いやもう遠慮がちなんだから。
あのホントに…。
お着物濡れちゃいますよ。
いえいえホントに…。
先生遅くなりますので…。
(吉村)俺は後をつけたんですが2人を見失ってしまった。
再び大河内を見つけた時奴は歩道橋の下に倒れていた。
春慶塗…女…。
(吉村)春慶塗…女…。
それを聞いた時しのぶが犯人に間違いないと思った。
だから…。
自分が罪を被って死ぬつもりでした…。
でもその前にしのぶと香織に会いたくて高山に戻ってきたんです。
飛騨の里で香織に会えた時は涙が出るほどうれしかった。
最後にしのぶを呼び出して自分が罪を被る事を告白しようとしたんです。
いいか。
「春慶塗女」それはしのぶさんの事じゃない!
(パトカーのサイレン)釈放!?ええ。
ついさっき。
あくまで任意の取り調べですから。
それに町の名士の倉田さんが身元引受人として来てくれた以上これ以上の拘束は…。
倉田さんがしのぶさんを連れて行ったんですか!?ええそうです。
別れたご主人意識を取り戻したそうですね。
よかったですね。
はい…。
しのぶさん郡上八幡のお城にでも行きませんか?あそこから見る景色が好きだって言ってましたよね?ええ。
今日は仕事をする気にはならないでしょう。
気分転換したほうがいい。
ありがとうございます。
(車の加速音)先生車買い換えられたんですね?ええ。
このタイプの車はこの近辺では1台しかないんですよ。
そうですか…。
2人共戻ってきてないんですか?ええ。
どこ行ってるんでしょうね。
先生もしのぶさんなんか放っておけばいいのに…。
どうも。
(携帯電話)もしもし?
(香織)「矢島です」香織さん!?母からたった今メールが届いたんです。
「メール?」はい。
「助けて。
郡上八幡城」って書いてあります。
郡上八幡城!?わかった。
ありがとう!行くぞ!一応高山署に応援頼もう。
ああいい景色だ。
ええ…。
しかし警察は何を考えているんでしょうね。
あなたを疑うなんて。
しのぶさん私には何でも相談してくださいね。
力になりますから。
先生は私をどうなさるおつもりですか?吉村にしたように私をここから突き落とすおつもりですか?何を言ってるんですか?先生の車の音…。
あの時も聞きました。
・
(車の発進音)あの時はわからなかったけどさっき気づいたんです。
そうか…。
うかつだったなぁ。
あなたより先回りして公園に着くには車を使うしかなかったんですよね。
どうして…どうしてあなたが?大河内を殺したのは私だからですよ。
何ですって!?あなたが大河内と別れた後私が殺しました。
もう止みましたので結構です。
失礼します。
ふん!・
(倉田)大河内さん。
何だ?何すんじゃ!貴様倉田…。
あの男は私から何もかも絞り取ろうとしたんですよ。
死んで当然の男です。
何てひどい人なのあなたは!そのひどい男を先生と慕い一夜を共に過ごしたのはどこの誰ですか?さあもうこのへんでいいでしょう。
飛び降りてください。
あんたなんか許せないわ。
恨み言はあの世へ行ってからどうぞ。
・やめなさい!やめなさい!
(倉田)来るな!私は本気だ!突き落とされた吉村から漆の匂いがした。
あんたの匂いだ。
これ以上罪を重ねてどうするつもり?2年前の事も何もかもわかっているのよ。
何の事だ?大河内は死ぬ直前に「春慶塗女」と言い残した。
吉村はそれをしのぶさんの事だと思ったがそうじゃない。
倉田さんあんたならそれが誰の事だかわかるよな?そう。
2年前に失踪したあんたの奥さんの事だ。
あなたの奥さんは2年前に謎の失踪をしている。
事件に巻き込まれた可能性や不仲だった夫であるあなたの関与も視野に入れて県警は捜査を行いました。
でもある人物が失踪直後に奥さんを東京で目撃したと証言した事で家出とみなされ捜査は打ち切られたんです。
その嘘の証言をした人物というのが大河内だ。
その時は疑う余地のない善意の第三者の証言だったかもしれないけどあなたと大河内の関係がわかった今は違うわ。
大河内の通帳を調べた結果2年前あなたの奥さんが失踪した直後から毎月大金が高山の銀行から振り込まれていた事もわかったわ。
振り込んでいたのはあんただ。
大河内は嘘の証言の見返りに金を脅し取っていたんだよな。
見返りはお金だけじゃなかった…。
しのぶさん大河内はなぜか吉村の事を詳しく知っていたと言いましたよね。
その情報を流していたのもこの男です。
あなたはしのぶさんを自分のものにしたい大河内に協力したのよ。
どこまで卑劣な人なの。
倉田さんもう終わりにしましょうよ。
倉田さん!しのぶさん!?この男を殺して私も死ぬわ。
たった一度でもこんな男に身を任せた自分が許せない…。
こんな男を信じてあの人を疑った自分が許せないのよ!私は吉村を愛してたわ。
いいえ今でも愛している。
でももうダメ…。
ダメじゃない!ダメなもんか…。
吉村はねあなたの事を自分の身を犠牲にしてまで守りたいほど大事に思っているんです。
あなただって同じだ。
それだけで十分じゃないですか。
それだけで夫婦だったらやり直せる。
娘さんにとってもあなたと吉村は一番大事な人なんです。
あなた達3人は親子なんですよ。
家族なんだ!家族なら過ちは許しあえる。
お互いの傷をみんなで癒す事ができる。
違いますか?しのぶさん。
(嗚咽)
(パトカーのサイレン)
(しのぶ)いろいろありがとうございました。
では失礼します。
あの親子にとっちゃ新しい出発だな。
うん。
遅れてきた幸せね。
ああ。
倉田の事なんだがなぁ。
うん。
2年前に奥さん殺して山の中に埋めたらしい。
それを大河内に知られて脅されていたのね。
ああ。
でもどうして大河内はそれを知ったの?奥さんは大河内と不倫関係にあった。
その奥さんが大河内と電話をしている最中に…。
そういつものスイート取っておくから…。
うん大丈夫よ。
ちょっと待って主人が来たわ。
月2百万も何に使ったんだ!そんなの私の勝手じゃないのよ!お前が浮気してる事わかってんだよ!うるさいわね。
やめてよ!殺してやる。
何すんのよ!殺してやる!殺してやる!お前さえいなけりゃ。
苦しい…。
お前さえいなけりゃ!やめてよ…。
お前さえいなければ…。
殺害状況がすべて大河内に聞こえてたって事か。
ああ。
倉田夫婦の関係は完全に冷め切っていた。
そのうえ浪費癖のある妻を倉田はひどく憎んでたようだ。
ふう〜ん。
ねえ鴨志田さんこれからどうするの?東京へ戻って始末書書かんとな。
どうせ始末書なんだからもう1日ここにいない?何言ってるんだお前は!?だって明日は高山まつりよ。
そうかぁ…。
ようしあと2日滞在決定!やったー!
(歓声)ちょっちょっとごめんなさい。
ちょっと…。
(拍手歓声)わあすごいね!わあすごいね。
お父さんお父さん見て。
きれい!疲れませんか?大丈夫だ。
(拍手)ねえお父さん。
あれ!?鴨志田さんじゃないのか?まあいいじゃない。
たまには。
同居の掟第八条はどうなる?忘れた。
ほおそうか。
じゃあ今日は思いっきり親子でいいのね。
そうよ。
じゃあいい機会だから遠慮なく言わせてもらおうかなぁ。
な〜にお父さん?まずお前のあの汚い部屋何とかならんのか!はっ?それから食事だ!週に1回くらい台所に立とうとは思わんのか!まったく情けないったらありゃしないよ!…と父親として言わせてもらいました。
あははスッキリした!ああ〜そうくる訳?取り消し!親子取り消し!おいちょっと待ってよ。
そんな事言うのか?だったらこっちも取り消し。
取り消し!ホントにそう思ってる?ああ。
じゃあ食事も掃除も今までどおりすべて任せなさい!そうこなくっちゃ!ねえお父さん!!・「愛するひとよ」
美しさとハリのある歌声を響かせるのは2015/10/13(火) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
おかしな刑事[再][字]
居眠り刑事とエリート女警視の父娘捜査対決!飛騨高山—郡上八幡殺人ルート・つぶれたタバコが暴いた殺意!
詳細情報
◇番組内容
居眠り刑事とエリート女警視の父娘捜査対決!飛騨高山—郡上八幡殺人ルート・つぶれたタバコが暴いた殺意!人気シリーズ第2弾!飛騨高山の雅な佇まい、伝統工芸・一位一刀彫り、春慶塗りなどの旅情感がいっぱいです。
◇出演者
伊東四朗、羽田美智子、石井正則、黒田福美、中原丈雄、遠野なぎこ、春田純一、石田太郎、小倉久寛、矢島健一
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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