(新番組)相棒 season 14 初回2時間スペシャル #1 2015.10.14


(突き刺す音)
(うめき声)気合入りすぎだろ。
痔じゃないのか?
(笑い声)
(荒木のうめき声)おい…。
(荒木のうめき声)こいつ切りやがった!何っ!?担当官!!
(受刑者)先生!!
(非常ベル)
(受刑者)早く!!
(非常ベル)
(受刑者)担当官!!先生!!
(増渕万里)何事だ!?
(非常ベル)
(増渕)どけ!
(荒木のうめき声)こいつも信者になっちまった…。
(増渕)黙ってろ!お前たち一緒にいて気づかなかったのか?荒木自傷行為で懲罰!手錠!
(刑務官たち)はい!
(石井康孝)ほら暴れるな。
傷口が開くぞ。
ちょっと見せろ。
おい。
(石井)傷口を見せなさい。
(荒木のうめき声)縫うのも嫌薬も嫌か。
じゃあ好きにするんだな!脱げ!
(刑務官)おとなしくしてろ。
(磐城賢三)また自傷行為か…。
(長尾朗)今月に入って3人目です。
(大谷真治)伝染病のように広がり続ける自傷行為。
ここはやはりその元凶を取り除く事が急務かと…。
(長尾)とにかく梅津源平をどこかよそへ移しましょう。
梅津を置いておくとですね悪影響が広がるばかりですから。
いっそ死んでくれないかなぁ…。
えっ?いやあいつはほら心臓に持病があるだろ。
コロッとさ…。
あっ…不謹慎な事を言いました。
申し訳ありません。
(磐城)いや幹部連中の本音は皆そうだよ。
(ノック)
(田代伊久夫)島田座ってなさい。
(島田)すいません。
相変わらず難しそうな本を読んでますね。
はあ『源氏物語』ですわ。
こりゃ一種のポルノ小説ですなぁ。
あの…すんまへん。
タオルぬらして体拭きたいんやけどあきまへんか?規則ではそういう事は許可出来ない。
(梅津)わかってま。
ほな諦めますわ。
少しぐらいなら構わない。
手早くやりなさい。
(梅津)おおきにすんまへん。

(月本幸子)ヨーロッパ1周してるのかしら?のんきねぇ。

(英語の怒鳴り声)ヘイ!
(杉下右京)ハハハ…。
ええ…それもいいかもしれませんねぇ。

(田代)点検用意!気をつけ!
(刑務官)1房!
(田代)番号!
(受刑者たち)1!2!3!4!5!6!
(田代)1房6名。
(刑務官)17房!
(田代)番号!
(受刑者たち)1!2!3!4!5!6!
(田代)17房6名。
(田代)回れ右!
(田代)2歩前へ進め!
(田代)右左向け右!
(田代)しっかり手を上げる。
左右そろえて。
(受刑者たち)1234!
(田代)1234!
(受刑者たち)1234!1234!1234!しっかりそろえて!1234!
(大木長十郎・小松真琴)おはようございます。
(角田六郎)お暇ですか?
(冠城亘)おはようございます。
ああおはようございます。
言おう言おうと思ってたんですけどそれ向こう持ってってもらっても構いません。
これ?ええ。
いちいち飲みにいらっしゃるのも大変でしょう?まあ確かにね。
しかしわざわざ向こうに持っていくほどのものでもないですし…。
いやお邪魔ならそうしますよ。
私がちょくちょく顔を見せるのがうっとうしければ。
勘繰りすぎです。
ならばよろしいですかね?何しろ長年の習慣なもので。
了解です。
どうも。
これも言おう言おうと思ってたんですけど…。
はい。
僕には敬語じゃなくて構いません。
角田さんのほうが年上ですし。
まあ確かにね…。
しかしこういう言葉遣いがお客様に対する礼儀のひとつと思いますし…。
いやいやお客様というのに深い意味はありませんが。
了解です。
願います!
(田代)よし。
小便願います。
用便は原則として休憩時間です。
申し訳ありません。
今後気をつけるように。
ヤアーッ!
(刺す音)
(どよめき)
(刑務官)動くな!黙れ!オラッ!
(刑務官)緊急事態発生!
(非常ベル)
(刑務官)田代!
(田代のうめき声)
(刑務官)田代!しっかりしろ!おい田代!
(非常ベル)
(美倉のうなり声)田代!おい!田代!!田代!田代!
(警備隊員)美倉てめえ!
(殴る音)てめえ何しやがったコラァ!!
(美倉のうなり声)死亡が確認されたよ。
失血死だ。
殺人容疑でこれから取り調べを行う。
警察を呼んでください。
ああ!?警察に話します。
なんだと?コラァ!塀の中での犯罪は我々が捜査し調書を取って送検するんだよこの野郎!警察に話します。
なんだとコラァ!おい!貴様…!
(藤森)ふざけた事を言ってるんじゃない!刑務所の職員は信用出来ないって事でしょう。
何言っても握り潰されると思ってる。
(日下部彌彦)つまり?刑務所にとって都合の悪い事を話そうとしてる。
まあおおかたそういうとこだろうな。
で警察と合同捜査になるんですか?合同捜査というほど大げさなものじゃないが捜査協力を要請した。
致し方ない。
警察を呼ばなきゃ捜査には一切協力しないとのたまっているらしい。
大したタマですね。
お前暇だろ?捜査陣に加わるよう警視庁に要請した。
そもそも事務次官が首を突っ込んでくるような案件じゃないでしょう。
いいんだよ俺は。
やりたい事をやる。
(笑い声)
(中園照生)というわけでそちらの冠城亘くんにオブザーバーとして参加してもらう。
(内村完爾)法務省では矯正局にいた事もあるそうで刑務所の実情などには詳しい。
よろしくお願いしますね。
冠城です。
私の事ご存じでしたか?
(伊丹憲一)そりゃ法務省のキャリア官僚が出向してきてるとなればうわさにもなりますよ。
(芹沢慶二)しかも警察庁ならわかりますけど警視庁でしょう。
現場に興味があるんでどうせならと思って…。
まあこれも何かのご縁。
いろいろ教えてください。
名刺代わりに1つとっておきの情報をお教えしましょうか?ええぜひ。
今お使いになってる部屋前に魔物がすんでたんですよ。
ま…魔物ですか…?
(藤森)入れ。
(藤森)座れ。
座れ!警視庁捜査一課伊丹だ。
芹沢だ。
冠城だ。
どうしてあなただけ警察手帳を見せてくれないんですか?始めてください。
殺意はあったんだよね?だから頸動脈を狙いました。
なぜ田代伊久夫刑務官を殺した?
(美倉)田代が梅津さんを殺したからです。
(伊丹)何?
(芹沢)梅津って?梅津源平です。
先週獄中死した梅津源平か?
(美倉)はい。
(藤森)梅津源平は病死だぞ。
いいえ殺されたんです田代に。
だから私が敵を取りました。
どうせあなた方は取り合わないでしょうが。
(井川)それは心外だな。
わかった。
改めて調べてやるよ徹底的に。
それでいいんだな?信じちゃ駄目だよ。
調べる気なんかないと思うから。
(井川)これまた心外ですね。
何を根拠に?だってまだ供述の途中でしょう。
しまいまで聞かないうちに約束するなんて空手形に決まってる。
うまく丸め込もうって魂胆が見え見えです。
梅津源平が病死ではなく殺されたという事をどうやって知ったんですか?本気で事件を掘り起こそうとするならば肝心なこの部分を聞いてからでしょう普通は。
(伊丹)まあ確かに。
殺人だという情報をどこから?梅津さんから聞きました。
私に教えてくれたんです。
田代刑務官に命を狙われてると生前梅津源平があなたに言ったという事ですか?いいえ殺されたあとです。
あと?深夜私の耳元ではっきりと言いました。
田代に殺されたと。
ハッ…つまり梅津の幽霊から殺された事を聞いた。
そういう事か?俺にはそういうふうに聞こえるんだけど。
そうです。
幽霊という表現がいいのかどうかはわかりませんが。
がぜん捜査意欲が湧いてきました。
場合によっては「死人に口なし」という言葉を覆す大発見になるかもしれません。
ああどうも。
どうも。
ああご覧のとおり今紅茶を淹れようとしています。
しかし助かりました。
すっかり変わり果てていますがここだけ元のままで。
ところでどちら様でしょう?人に名前きくならまず自分から名乗るのが礼儀でしょう。
ごもっとも。
大変失礼しました。
僕は杉下といいます。
杉下さん。
ええ右京です。
冠城亘です。
どういう字を書きますか?ああ僕から先に。
杉花粉の「杉」に上下の「下」右京は左右の「右」に東京の「京」。
杉下右京。
あなたの番です。
どうぞ。
ほうこういう字ですか。
僕は今身分を証明するものは免許証とパスポートしかありませんが決して怪しい者ではありませんよ。
ひょっとして前にここにいらした方ですか?ご名答。
なるほど…。
何か?ああ…いえ。
ご旅行だったんですか?ええあちこち。
先ほど帰国しました。

(甲斐峯秋)まるで風来坊だね。
(甲斐)まあしかし元気そうでよかった。
おかげさまで。
次長もお元気そうで何よりです。
今も言ったとおりもう次長じゃない。
こうして官房付で暇を持て余してるよ。
そうでした。
失礼。
ところで僕の部屋を冠城亘という人物が使っているようですがご存じですか?彼ね。
法務省から出向してきているんだ。
一応人事交流という名目だがねキャリア官僚のルーティンの出向だろう。
今一応警務部所属という事になってるがね特に仕事はない。
彼もやはり暇を持て余してるだろうね。
そういう事でしたか。
それで僕の部屋に。
僕の部屋僕の部屋と言っているがね警察はいずれ君が辞表を出すものと思っている。
もはや君の部屋という認識はないと思うがね。
なるほど。
先ほどは助かりました。
目下自由に警視庁舎に出入り出来ない状態なものですからねぇ。
(米沢守)いえいえお安いご用です。
警視庁にお越しの際はいつでも私を呼び出してください。
それにしてもお元気そうでホッとしました。
いつ帰国するのかと思ったら突然。
相変わらずなんですから…。
あっ。
でまたどこかへいらっしゃるんですか?さてどうしたものか今思案しています。
謝って許してもらえないんですか?はい?警察の偉い方に。
なるほど!それは考えてもみませんでした。
試してみてください。
わかりました。
いずれ気が向いた時に。
本当のんきなんだから…。
どうぞ。
(米沢)ありがとうございます。
あの…実はですね…。
こんな事今の杉下さんにお伝えしたところでどうこうなるわけでもないんですけども…。
なんでしょう?ひょっとしたら杉下さんが興味を引かれる事件なのではあるまいかと。
事件?それはぜひお聞きしたいですね。
いやしかし今の杉下さんにお話ししたとこでどうこうなるわけでもなし…。
となるとお聞かせするのはむしろ酷かもしれず…。
いやはや迷います。
そうやってもったいぶるのが一番酷だと思いますよ。
実はですね…。
おはようございます。
(大木・小松)おはようございます。
おはようございます。
あっおはようございます。
昨日はどうも。
どうも。
いいか?杉下。
俺の来客って事で入ってきてるんだから面倒起こすなよ。
ご心配なく。
あの…。
申し訳ない。
長年の習慣なもので。
いや…モーニングティーはぜひここで。
歓迎しますよ。
西多摩刑務所に幽霊の告発によって敵討ちをした男がいるそうですね。
死者が殺人を告発したというのは果たして本当でしょうかね?嘘を言っているようには見えませんでしたけどね。
だってそんな嘘ついてどうします?美倉が最も恐れていたのは自分の供述が相手にされない事捜査陣に無視される事だったんです。
それなのに幽霊なんてそれこそ笑われるだけでしょう。
おっしゃるとおり。
ましてあなたは事情聴取の途中で警告まで与えたんですよねぇ。
安易に捜査陣を信じるなと。
言わばあなたはその場面で美倉の味方をしたわけです。
そんなあなたに対して美倉が幽霊の告発だったと言ったのならばその供述は本当なのでしょうねぇ。
彼にとっては本当なんでしょう。
いよいよ精神鑑定の対象かも。
確かに妄想という事も考えられます。
勝手な思い込みによって敵討ちをした。
幽霊よりも妄想ってほうに分があるでしょうどう考えても。
そうですかねぇ?僕は五分五分…いやむしろ7対3で幽霊の肩を持ちたいところですがねぇ。
フフフ…。
(せき払い)あの…今停職中なんですよね?なのに事件に首突っ込んで大丈夫なんですか?そこに事件がある以上仕方ありません。
さあ乗ってください。
えっ?こ…これ?いやいやいや…ちょちょちょ…!待って。
僕の車で行きません?はい?いやあの…他人の運転ちょっと苦手で…。
どうぞ。
(出庫のブザー)事件捜査については僕は素人同然。
杉下さんの警察官としての経験と知恵に大いに期待してます。
恐れ入ります。
が…。
はい?しばらくおとなしくしててください。
これから行くところは僕のフィールド。
余計な口を挟まれて計画がおじゃんになるのはごめんですからね。
失礼ながら杉下さん見るからに余計な事しそうで。
そんなふうに見えますかねぇ?ええ。
冠城です。
杉下です。
所長の磐城です。
まあどうぞ。
で内密のお話とは?ええ。
事務次官が今回の一件を非常に危惧してます。
事務次官?梅津源平の件です。
本当に病死なのかそれとも…。
いや病死ですとも。
もちろん私もそう思ってます。
美倉成豪の供述は与太話レベルだと。
しかしこのままでは美倉はその与太話を起訴後に公判でも繰り返す事になります。
だとしたらどうしろと?いずれ与太話が公になる事を避けられないのならば今から相手がぐうの音も出ない反証を準備しろ。
それが事務次官の要望です。
それにはもちろん医師の証言や死亡診断書程度のものでは全く足りません。
あらゆる関係者の証言をまとめてどこからつつかれても病死という結論が揺るがないようにしなければならない。
そのためには我々が刑務所内の必要な場所で必要な人物に事情聴取を行う事を所長権限で許可して頂きたいんです。
そんな事急に言われても…。
事務次官の携帯番号です。
直接お話しになってください。
わかりました。
おっしゃるとおりにしましょう。
ご理解頂きありがとうございます。
我々の事は関係者に周知徹底させてください。
我々は味方です。
もし事務次官に電話されていたらどうするつもりでした?あの番号はいくらかけても留守電ですからね。
はい?僕の携帯番号です。
予備のね。
もしかけたらその時はその時。
うまく事務次官を唆して所長に電話してもらったかもしれません。
ほう…事務次官とはそんな頼み事の出来る間柄ですか。
なんか昔からかわいがってもらってます。
そうですか。
今の事務次官は特殊なんです。
特殊?ええ。
検事じゃないんです。
ただのキャリア。
法務省は基本的に検事じゃないと事務次官になれないのはご存じでしょう?ええ。
事務次官といえば他の省では事務方のトップですが法務省ではさらに上がいますねぇ。
事務次官が急死し急遽次へのつなぎとして起用された人ですから…。
非常に優秀な人です。
だから例外的に事務次官になった。
けれどもはや上がない。
となれば思ったとおり行動出来るじゃないですか。
波風も覚悟の上で。
フフッ…面白い人です。
なるほど。
さてここからはあなたの番です。
どの辺りからつつきますか?幽霊からですよ。
決まってるじゃありませんか。
お待たせしました。
増渕と申します。
お二方の案内人を仰せつかりました。
深夜です。
耳の奥のほうで私の名前を呼ぶ声がしました。
くぐもったかすれたようなエコーのように響くようなそんな不思議な声でした。
その声に私は目を覚ましたんです。
そこであなたは幽霊を見た?いいえ。
何も見えませんでした。
しっかり目を開けているのに真っ暗闇なんです。
深夜とはいえ雑居房ですから薄明かりがついています。
目を開けているのに何も見えないなんて事はないんです。
私は怖くなって起き上がろうとしました。
でも起き上がれませんでした。
手足の自由が全く利かず…動けなかった。
金縛りというやつでしょうかねぇ?多分。
私には経験がないのでわかりませんが恐らくそうだったと思います。
耳の奥の声はずっと続いていてやがて梅津源平だと名乗りました。
驚いて「私にどんなご用ですか?」と尋ねると「田代に殺された。
敵を取ってほしい」と。
夢…だったんじゃありませんか?いいえ。
私はしっかり目を覚ましていました。
幽霊を見たわけではないんですねぇ。
目撃談を聞けると思って内心ワクワクしていたのですがいささかがっかりです。
さて次はどこへ参りましょうか?
(石井)私が到着した時にはすでに心肺停止状態でした。
(石井の声)9月28日の昼過ぎです。
(石井)田代くん!
(田代)先生!代わろう。
(石井の声)心肺蘇生術を試みましたが甲斐なく…。
午後2時32分死亡を確認しました。
梅津源平は元々心臓が悪かったそうですねぇ。
(石井)ええ。
何度か発作を起こしています。
今回発作を発見したのは田代刑務官だったわけですね?
(石井)田代くんから苦しんでいると連絡があり駆けつけました。
そして駆けつけた時には心肺停止の状態。
弱りましたねぇ…。
先生は梅津が息を引き取る瞬間を見ていない。
つまり死亡を確認したに過ぎないわけですね?
(石井)その時私が病死以外を疑えばよかったとでも?そりゃあ何か怪しい痕跡でもあれば私もそうしたでしょうが…。
そういった事はなかった?あれば遺体の解剖を申請していますよ。
あえて言わせてもらいますね。
梅津が殺されたなんてあり得ない。
ましてや田代くんになんて…。
彼ほど受刑者たちに親身になって接していた刑務官はいませんよ。
ねえ増渕さん。
先生のおっしゃるとおりです。
多くの受刑者たちから慕われていました。
まだ若いのになかなかの人格者でしたよ。
人格者だという事が殺人を犯さないという根拠にはなりませんからねぇ…。
ああもちろん一般論ですが。
梅津源平を独居房に収容していたのは医療観察のためですか?…えっ?独居房は希望して入れるものではないはずですよね。
医療観察のためなら昼夜独居だったわけでしょう?昼夜独居…。
説明無用です。
昼間は房内で軽作業を行い夜もそのまま房で過ごす事ですよねぇ。
つまり入浴と運動以外はずっと独居房にいる。
しかし昼夜独居というと極端に人と出会う機会が制限されますからねぇ。
そう考えると梅津源平は美倉成豪とどのように知り合い親交を深めていったのか気になりますねぇ。
少なくとも敵討ちをするぐらいですからね生半な関係ではあり得ない。
2人の間に強い絆が存在していたと考えてしかるべき。
そう思いませんか?その辺りあなた説明出来ますか?それは…。
説明出来ないならば説明出来る方に会わせてください。
所長から聞いてません?我々は味方です。

(増渕)もういいぞ。
服を着ろ。
あと40名近くいますが全員ご覧になりますか?全員胸元に傷が?受刑者たちは信者と呼んでいます。
梅津の胸の傷痕をまねて自傷行為に及んだ連中です。
40人もの受刑者が梅津の信者に?正確には42名です。
独居房は今梅津信者で占領されている状態ですよ。
梅津源平一体何者ですか?強盗殺人の罪で無期懲役判決を受け15年前から服役中という事でしたねぇ。
(増渕)入所した当初はひどく反抗的で我々も大いに手こずりました。
まるでけだものでした…。
(梅津の声)ええ加減にせえよコラァ!「虎の威を借る狐」っちゅうのはお前らのこっちゃ!ちゃうんかいコラァ増渕!
(増渕)抗弁暴言官誹謗!お前をこれから取り調べる!おい!はい。
(梅津)おっ?コラッ!何をさらすんじゃいコラッ!オラーッ!何をさらすんじゃお前らコラッ!離さんかいコラァ!うわっ!ああーっ!
(殴る音)
(梅津)ううっ!うわーっ!
(増渕の声)何度保護房にぶち込んだ事か…。
(警備隊員)おとなしくしろ!オラッ!
(増渕)今日で出してやる。
(雷鳴)相手が囚人とはいえ随分手荒なまねをなさるんですねぇ。
梅津は特別ですよ。
相手は荒れ狂う野獣。
そうするより仕方がなかったんです…。
とにかく普通は一度でも懲罰を受ければ懲りておとなしくなるものですが梅津には効き目がありませんでした。
ところがいつ頃からだったか…そう入所から3年ほど経った頃からでしょうかいったん嘘のように穏やかになった時期がありましてね。
本を読むようになったんです。
読書に没頭し始めました。
といっても最初は絵本のようなものでしたが。
絵本?梅津は小学校もろくに出てないんですよ。
入所した頃は読み書きも満足に出来ない状態で。
母親の再婚相手がひどい男だったようです。
折檻も受けていたらしい。
胸の傷も幼い頃その義父の折檻によって受けた傷だそうです。
後年その父親を殺害し金品を強奪したわけですね?ええ。
先ほどいったん穏やかになったとおっしゃいましたが…。
読書に没頭していた5年間ぐらいですかね。
絵本から始まった読書は5年経った頃には『六法全書』をスラスラ読むほどになっていて…。
その成長ぶりには目を見張るものがありました。
しかしその穏やかさは一過性のものだった?
(増渕の声)もう十分改悛したとみて梅津を雑居房に移したんです。
そもそも持病も医療観察をするほどひどいものではありませんでしたから。
しばらくはおとなしくしていました。
(増渕の声)ところがある日食堂で…。
これ食べ。
ありがとうございます。
おい…お前今なんか渡しただろ。
食事の授受は禁止だぞ。
こいつ体弱っとんねん。
なんだその言い方は!抗弁で挙げるぞ。
なんでもかんでも抗弁て…。
梅津!また懲罰を受けたいのか?素直に謝れば減点1。
謝らなんだら減点2。
抗弁したら減点3。
月に10点以上で夢の懲罰房行きや。
おい梅津!黙らせろ!
(刑務官)はい!おい梅津。
立て!あんまり調子に乗ってるとな…。
うっ!ううっ…。
お前らのいじめの根拠になっとるんは戒護権の中の直接的維持作用っちゅう項目やろ。
「被収容者が通常と異なる疑わしい行動をした場合その者に質問しまた気をつけるよう注意しさらに規律違反行為がある場合調べ室に同行を命ずる指示をする事は刑務官の職務にとって当然である」もっともや。
異存はないで。
ただし文言どおり運用されとったらの話やけどな。
お前ら拡大解釈しまくりやんけ。
貧乏揺すりが運動かい?通常と異なる疑わしい行動やいうんかい!?増渕!!答えんかい!!
(受刑者)そうだ!答えろ!
(受刑者)答えろ増渕!
(非常ベル)
(警備隊員)何やってるんだ!どけ!オラッ!座らんか!どけ!座れ!座らんか!梅津!僕らなぁ犯罪者や。
その罰はきっちり受けなあかん。
せやけどなこいつらの理不尽ないじめに屈する事はないんやで!
(受刑者たち)そうだそうだ!
(梅津)みんな目ぇ覚ませ!
(増渕の声)腕力しか頼るものがなかった男が短期間に膨大な知識を身につけた。
野獣が言葉という武器を手に入れたんです。
もはや怪物でした。
それは侮れない威力でした。
梅津何がハンガーストライキだ。
処遇が改善されへん限りなんも食えまへんな。
(増渕)食え。
食えまへんな。
じゃあ…食わせてやる。
(警備隊員)オラッ口開けろ!
(梅津)ううっ…!
(増渕の声)その証拠に梅津をヒーロー視する者がぽつぽつ出始めました。
杉下さんの最初の疑問にお答えするならば梅津源平と美倉成豪は知り合ってはいないと思います。
両者に接点はなかったはず。
つまり美倉成豪はうわさによって梅津を認識したと?…だと思います。
そして梅津の信者になった?今回の一件で美倉が梅津の隠れ信者だった事がはっきりしました。
美倉は自傷行為をしていません。
なるほど隠れ信者ですか…。
はっきりそれとわかる信者は42名ですがひそかに梅津を信奉している者が果たして何人いるのか見当もつかない状態なんですよ。
もしもし。
(日下部)「俺の名前を勝手に使うとはいい度胸だな」バレました?矯正局長から問い合わせがあった。
どういう事かと。
どういう事かと聞かれても俺は何も知らん。
…って言っちゃいました?「言おうとした瞬間にお前の顔が頭に浮かんで言葉をのみ込んだ」さすが。
「おおよその事はつかめたがお前一体何をしようとしてる?」何って真相究明ですよ。
ヘイ。
ホワット?あっ!「もしもし?どうした?」バカ!イッテ…。
ああ…。
「冠城?おい聞こえてるのか?」どうですか?僕の運転は。
苦手を克服するのも人生の醍醐味ですよ。
ああ…承っておきます。
ほっぺたどうしました?ひっかいたような傷が。
あっいやあの…。
あっ!ひげ剃りの時ちょっと手が滑って。
ひげ剃りにはカミソリをお使いでしたか。
僕はてっきりシェーバーをお使いになっているものと…。
カミソリとシェーバーでは剃り跡が違いますからねぇ。
そうですか僕の見立て違いでしたか。
細かい事が気になってしまう僕の悪い癖。
(慈光)食堂での騒ぎのあと梅津さんは半年近く独居房に入れられていました。
(増渕)出房。

(慈光)梅津さんの強靱な精神力には驚きました。
しかしなぜご住職は梅津が独居房を出る時に立ち会われたんですか?騒ぎを起こしたと聞いてずっと気をもんでいましたから。
その日無理やりのように押しかけたんです。
長らく梅津源平の個人教誨をなさっていたそうですね。
ええ。
梅津に読み書きを教えたのもご住職だと聞きましたが…。
まあ月並みな例えですが梅津さんは乾いたスポンジでした。
あらゆる物事を面白いように吸収していく。
でその日梅津と話してみていかがでしたか?お恥ずかしい話ですが…論破されました。
はい?
(慈光)私はね梅津さんが更正への道を歩み始めたと思って安心していたんだよ。
なのに一体どうしてしまったんだ?先生…僕更正したいんですわ。
本気で思うてます。
だったら…。
あいつらの理不尽に従うておとなしゅうしてたら更正出来ますか?
(梅津)知ってはりますか?看守がやたらめったら切る動静小票。
交通違反の反則切符みたいなあれみんな出世のために切っとるんですわ。
切れば切るほど自分の成績になるいうて。
服にちょっと触れただけで暴行や言うてね。
口答えしようもんなら抗弁で減点が増えます。
辛抱せなあきまへんか?それを辛抱するのが更生の道ですか?僕ね先生が死ね言うたら死にますわ。
えっ?
(梅津)ほんまでっせ。
先生は僕をこないにつくり替えてくれはったお人や。
言うたら創造主や。
そんな大げさな…。
せやしそんな先生が辛抱せえ言うんなら「ならぬ堪忍するが堪忍」で出所の日を待ちます。
言うてください。
僕先生に従いますよってに。
なんとお答えになったんですか?好きにしなさいと…。
彼の真っすぐな目に見据えられたらその時とても我慢しろとは言えませんでした。
塀の中では圧倒的に刑務官が強いですからね。
いくら彼でも1人で立ち向かうのは無理ですよ。
ところがそんな梅津の信者が現れ出した。
信者の出現増殖によって一層梅津さんは危険視される事になった。
刑務所は危機感を募らせてました。
あの…こちらからもお聞きしてよろしいですか?梅津さんが病死ではなく殺されたというのは本当なんでしょうか?それも田代刑務官に。
田代刑務官を殺害した美倉はそう言ってますが…。
敵討ちだったそうですね…。
本人はそう言ってます。
でも死んだ梅津さんが出てきたなんて…。
あり得ませんかねぇ?僕の知り合いのお寺にはよく幽霊が出るそうです。
こちらには出ませんか?
(甲斐)驚いたね。
まさかつるんで動き出すとは…。
いや昼間日下部さんがお見えになってね。
事務次官が?どうして?杉下くん君の事を心配なさってた。
僕を?うん。
小耳に挟んだんですが今杉下さんは停職中の身だとか。
…ええ。
ならばなおさらです。
冠城などと付き合ってたらろくな事はない。
最悪復帰の目が絶たれかねませんよ。
(甲斐)…とまあいろいろおっしゃっていたがね。
その実日下部さんは冠城くん君の事を心配なさってると思うよ。
僕を?表向きは杉下くんを気遣っていたが腹は君を杉下くんから遠ざけたいんだよ。
危険人物杉下右京からね。
危険人物ですか…。
君の事を調べれば誰もがそう思うよ。
日下部さんのご心配も決して的外れではない。
大やけどしかねないよ彼とつるんでいると。
隣に座っている男ね実はキャリアだが出世という事からはとうに見放されている。
つまり君が関わるには覚悟がいる人物だという事だよ。
お気遣いありがとうございます。
あなたの事ミスター・デンジャラスと呼んでいいですか?甲斐さんのおっしゃっていた事一部傾聴に値する部分があります。
どの部分ですか?やけどのところ。
僕はそのつもりは全くありませんが相手を傷つけてしまっている事が多々あるようです。
だから?くれぐれも気をつけてください。
知ってて絡む以上やけどするほうにも責任がありますから。
ミスター!それ僕の事ですか?デンジャラスって呼びましょうか?どちらも却下です。
じゃあ右京さーん!はい?親しみを込めて右京さん。
どうですか?…ご随意に。
フフッ…。
ここに刑務官が受刑者の違反行動を書いて各区の事務所に申告するんです。
なるほど。
(入来正次)言いがかりですよ。
出世のために動静小票を乱発してるなんて…。
刑務官は皆忠実に職務を全うしているんです。
動静小票は仕事に対する熱意の表れです。
一生懸命仕事に取り組んでいる証拠です。
ねえ増渕さん。
ええ。
そうですか。
とすると殺された田代刑務官は仕事に対する熱意がなく一生懸命仕事に取り組んでいなかったという事になりますねぇ。
えっ?他の刑務官に比べて田代刑務官だけ極端に動静小票の発行数が少ない。
いささか石井先生の人物評とは矛盾するような気がするのですが…。
彼ほど受刑者たちに親身になって接していた刑務官はいませんよ。
石井先生のおっしゃってたとおり田代刑務官は受刑者に親身になって慕われてたという事は間違いないんだと思います。
そしてそれは犯罪者を矯正して更生へ導くためのひとつのやり方でもあると思います。
しかし一方で受刑者へのそういう接し方は諸刃の剣でもある。
刑務所の秩序を維持出来なくなる恐れがあります。
秩序ですか…。
刑務官に恐怖を感じなければ途端になめてかかる受刑者が出ます。
恐怖政治を敷く事が人を管理するのに最も簡単なやり方でしょう。
そのためにもこの動静小票が必要なんです。
恐怖政治…!?動静小票の発行数が仕事に対する熱意の表れというのは決して嘘じゃないしじゃあ発行数が少ない田代刑務官が仕事に熱意を持っていなかったかというとそういう事でもない。
石井先生の人物評に矛盾はありません。
よくわかりました。
ありがとう。
それはさておき…。
この方にお目にかかりたいんですが。
伊達さん。
あなたが断トツ動静小票の発行数が多いものですからね。
あなたとは対照的に動静小票の発行が極端に少なかった田代刑務官に対してどういう印象をお持ちでした?印象…?率直な印象をお聞かせ願いたい。
いや印象と言われましても…。
受刑者にとっては事あるごとに動静小票を発行するあなたよりもめったに発行しない田代刑務官のほうがいいはずですよねぇ。
しかしあなたからしてみれば忠実に職務を全うしているだけなのに必要以上に嫌われてしまう事は業腹だったのではないかと。
田代刑務官をうっとうしく思った事はありませんか?そんな事思いません。
本当に?本当です。
あっそうだ。
増渕さんちょっといいですか?折り入ってお話が。
今ですか?ええ今すぐです。
ここは任せます。
自分は何か疑われてるのでしょうか?田代さんはある意味秩序を乱す存在だったのではないかと思いましてね。
えっ?有り体に申し上げれば刑務官からは邪魔な存在だった。
違いますか?そんな事思って…!あなたは一度もそんな事思った事ないかもしれない。
しかし例えばあなた以外で田代刑務官をうっとうしく思っていた方はいらっしゃるんじゃありませんかね?我々は味方だと申し上げましたが残念ながら彼は違う。
美倉の与太話を是が非でも立証しようとしてる。
でもそんな事無理ですよ。
梅津は間違いなく病死なんですから。
その無理を成し遂げようとしてるんです。
物事を曲解して事実をねじ曲げてでも…。
わかるでしょう?今だってなんの関係もない刑務官に益体もない質問をぶつけてます。
曲解出来そうな事実を探してるんです。
ですからもし疑いを持たれそうな都合の悪い事実があったら私だけに伝えてください。
責任持ってブロックしますから。
僕から聞いたって言わないでください。
増渕さんが田代さんの事目の敵にしてました。
増渕さんですか?シーッ!田代さんが刑務所の秩序を乱す元凶だって言って…。
(増渕の声)とっとと辞めてくんねえかなぁ。
お前がここにいるとみんな迷惑するんだよ。
なあ迷惑こうむってんだろ?仕事の邪魔だろ?迷惑だってさ。
邪魔だって。
僕は刑務官という仕事に誇りを持っています。
だから辞めません。
お前よ俺を引き合いに出して処遇部長に直訴したそうだな。
懲罰のあり方に改善の余地があるんじゃないかって。
部長言ってたよ。
「増渕お前の事をチクりに来たみたいだったぞ」って。
そんな…!てめえ何様だ!覚えとけよ。
いずれここにいられねえようにしてやるから。
いずれここにいられないようにですか…。
ちなみにその諍いはいつ頃の事ですか?9月の半ばぐらいだったと…。
なるほど。
(靴音)いかがでしたか?ええおかげさまで。
増渕さんが美倉を使って田代刑務官を殺したっていうんですか?ええふとそんな思いが頭をよぎりましてね。
そりゃあ2人の間に諍いがあったかもしれないけどその際「ここにいられなくしてやる」とか言ったかもしれないけどそんなの一種の捨てぜりふでしょ。
仮にやったとしたっていじめ抜いて職場を追い出すとかせいぜいその程度ですよ。
殺すなんて…。
飛躍しすぎてますかね?妄想に等しい。
確かに。
忘れてください。
諍いは9月中頃って言いましたよね?そうなんですよ。
梅津が獄中死する少し前です。
どうもこの辺りが僕の脳みそをおかしな具合に刺激したようです。
梅津の異変を発見してその死の瞬間一緒にいたのは田代刑務官。
例えばですよ梅津の信者に実は梅津源平は病死ではなく田代刑務官に殺されたのだと告げたら…。
敵討ち。
ええ十分予想される展開です。
もちろんその際に刺客に選ぶのは信者であれば誰でもいいというわけではありません。
自傷行為に及んで信者を表明している連中を使うのはむしろ危険でしょう。
もはやコントロールのつかない連中…。
つまり隠れ信者!ええそれも条件があります。
田代刑務官が担当している工場で働いている隠れ信者。
美倉だった。
ええ。
本当になんでもかんでも事件化したいんですね右京さんは。
はい?仮に増渕さんが美倉をそそのかして田代刑務官を殺させたとしましょう。
でも…。
どうやって増渕さんが田代刑務官が梅津を殺害したのを知ったかですね。
その点についてご見解をどうぞ。
わかりません。
そもそもですよ田代刑務官が梅津を殺したと知ったら増渕さんはそれを告発すれば済むじゃないですか。
それで十分田代刑務官を追い出せます。
おっしゃるとおり。
さっき妄想に等しいって言いましたけど撤回します。
妄想以下。
お疲れさまでした。
嘘だったら?でたらめだったとしたらどうでしょう?でたらめ?田代刑務官が梅津を殺したという話ですよ。
そもそもそれは増渕さんの作り話だった。
梅津はやっぱり病死だったって事ですか?梅津の病死を田代刑務官殺しに利用したわけですよ。
もしそうであれば田代刑務官を告発など出来ません。
殺害の事実などないのですから。
こう考えれば増渕さんがどうやって田代刑務官の犯罪を知りそしてそれをなぜ告発しなかったのかという2つの疑問がクリア出来ます。
屁理屈もそこまでいけば立派です。
屁理屈も理屈の親戚。
何も考えないよりはマシ。
母方の祖父が昔よくそう言ってました。
つまり増渕さんはありもしない殺人事件を美倉に信じ込ませたって事ですね。
どうやって?そんなの簡単に信じやしません。
そんな事が可能ならば告発だって可能になるじゃありませんか。
ですから幽霊なんですよ。
論理的に説明不能な事は幽霊に任すに限ります。
(パトカーのサイレン)ちょっとお話ししたくてお待ちしてました。
ここでずっと?上行くと妖怪がいるでしょ。
(伊丹)へえ妖怪がそんな事を…。
(芹沢)ちょっと整理させてくださいね。
事の始まりは受刑者の美倉成豪が田代刑務官を殺害した事件。
(刑務官)田代!田代!しっかりしろ!ところが取り調べで美倉は9月に獄中死した梅津源平が病死ではなく田代刑務官によって殺されたと供述した。
私の耳元ではっきりと言いました。
田代に殺されたと。
予想外の幽霊話にみんな引いた。
我々も捜査から手を引いた…。
ところが冠城さんは今度は妖怪と組んで捜査を始めた。
驚きました。
冠城さんともあろうお方が妖怪とタッグを組むとは。
なかなかお茶目な妖怪ですよ。
まあまあまあそれはいいとして…。
梅津源平殺害疑惑を追っていたところが結局その話はでたらめで今度は突如増渕刑務官による殺人教唆疑惑が浮上したわけですね?疑惑なんて上等なもんじゃない。
単なる妄想屁理屈こじつけ。
経験からひと言申し上げてよろしいですか?あの妖怪の妄想は侮れませんよ。
屁理屈もこじつけも相手を倒すための必殺技です。
肝に銘じます。
ところでこれなんのための情報収集ですか?上が気にしてましてね。
ちょいと探りを入れて来いと。
まあ我々に協力出来る事があればいつでも言ってください。

(店内の音楽)
(店員)いらっしゃいませ。
(店員)かしこまりました。
電話でお伝えしたとおり状況報告などしておこうかと。
非常に嬉しいです。
殺人容疑でこれから取り調べを行う。
(藤森)調べのほうはどんな状況なんです?お聞きになってるんじゃありません?警視庁のお二人に。
(冠城の声)僕はあなた方が伊丹さんたちに探りを入れてほしいと頼んだと踏んでるんですが。
我々がお聞きしたい事は一点に集約されます。
杉下さんがおっしゃってるという件。
増渕さんが美倉を使って田代刑務官を殺したのではないかという件ですか?刑務官による殺人疑惑が消える代わりに刑務官による殺人教唆疑惑が浮上ではシャレになりませんからね。
フッ…だから妄想です。
屁理屈とこじつけ。
そう。
あなたの口からそれを聞いて安心しました。
でも安心するのはまだ早い。
彼は明日からがぜんその方向で動くと思います。
所詮妄想ですから立証なんか出来っこありませんがしかし変なところで揚げ足を取られないように注意は必要かと。
(中嶋良行)中嶋です。
増渕が急に体調を崩して休暇を取ってしまったものですから…。
事情は聞いております。
ご要望はなんなりと。
早速ですが捜検の実施記録を確認したいのですが。
(受刑者たち)1234!1234!10月1日に一斉捜検が実施されていますね。
梅津源平が獄中死した直後ですが…。
ええ。
この時の捜検の目的はなんでしょう?捜検は刑務所の保安管理のために法律で定められてる事なんです。
最も重要な事は逃亡防止のため塀や柵などを確認する事。
それから不正物品を隠し持っていないかを確認したり…。
梅津の隠れ信者を探すといった事は?まあそういった事も含めてですが…。
この時の捜検で隠れ信者は見つかりましたか?はい。
新たに1名。
ちなみにどうやって発見するのでしょう?人の心の奥まではそう簡単にのぞけませんからねぇ。
拷問というわけにもいかないでしょうし…。
まさか拷問ですか?まさか!そんな事があるわけないじゃないですか!まあ…前時代的な方法でお話しするのは気恥ずかしいんですが領置していた梅津の私物を使って…。
(刑務官)梅津源平の私物だ。
踏んでみろ。
なるほど踏み絵ですか。
隠れキリシタンをあぶり出した要領ですね。
刑務所で領置中の私物は個人の財産です。
たとえその時当人は死んでたとはいえ私物をそういうふうに扱うのはいかがなものでしょう?そうは言いましてもこちらも背に腹は替えられない状況でして信者問題は特に深刻な…。
特段問題化させるつもりはありませんから大丈夫です。
すいません。
どうぞ。
どうやら美倉も梅津の隠れ信者だったようですがこの時に発見されていれば今回のような事は起きなかったわけですね。
ええ…。
あっちなみにこの時の17房の捜検の担当者は増渕さんだったようですねぇ。
17房といえば美倉のいた房ですよ。
右京さんそれは少々やりすぎです。
いけませんかね?お見舞いが。
職員宿舎は同じ敷地内ですからすぐじゃありませんか。
ものはついでです。
わかりました。
すぐ連絡してみますから…。
いや抜き打ちで行きたいんですよ捜検のごとく。
どうしてですか?不意打ちは思わぬ事実をあぶり出しますからねぇ。
あっ…アイテテテ…!はい?ト…トイレトイレ…!ごゆっくりどうぞ。

(増渕)「うちに今から?」あたふたさせるのは申し訳ないと思って連絡しました。
何しにいらっしゃるんですか?捜検について聞きたいようです。
捜検?美倉のいた17房の捜検について。
踏め。
よし!記録によれば10月1日午後6時より一斉に捜検が行われていますが…。
踏め。
その日美倉は踏み絵をクリアしたわけですね。
つまり美倉が隠れ信者である事を看破出来なかった。
別の房を担当した刑務官は新たに1名隠れ信者を発見したようですが残念ながらあなたは見逃してしまった。
何が言いたいんだ?え?なんなんだあんたは!俺が美倉を見逃した事が今度の事件を引き起こしたとでも言うのか!?まあまあまあまあ落ち着きましょう。
誰もそんな事言ってないでしょう。
(増渕)あんたどうかしてんじゃないか?おかしなこじつけで俺を陥れようとしてるらしいな。
はい?おかしなこじつけとは?僕がいつあなたを陥れようとしましたか?
(せき込み)帰ってくれ。
体調不良なんだ。
わかりました。
では体調が戻ったらお話を聞かせてください。
あっ…ひとつだけ。
ズボンが裏返しですよ。
慌ててお召しになったのでしょうかねぇ。
あっ…ちょっと車に忘れ物をしました。
また庁舎でお会いしましょう。
(中嶋)わかりました。
参りましょう。
忘れ物なんて嘘でしょう?このタイミングの休暇というのはどういう事なのかと考えていました。
このタイミング…。
昨日の今日という事ですよ。
僕が増渕さんに対してよからぬ妄想を抱いた翌日に休暇。
単なる偶然なのかそれとも…。
確かめたくなって無理やり押しかけてみました。
どうやら増渕さんは僕のよからぬ妄想の内容についてもご存じのようでしたねぇ。
あなた以外には話していない内容を…。
まあ少なくともあなたと増渕さんが通じ合っている事はあの慌てて着たようなパジャマでわかりました。
あの時あなた以外に我々が押しかけるのを知らせる人物はいませんからね。
あなたの狙いはなんですか?あなたを利用して真実にたどり着く事かな…。
はい?数日過ごしてみてわかった事は右京さんあなたは相手の守りをぐいぐい打ち破るタイプじゃありませんかね?鎧の上からでも構わず細かい矢を打ち放し二の矢三の矢を繰り出してやがてひび割れたところに超弩級の矢を打ち込み陥落させる。
そういう人と組んでると相手を懐柔しやすいんです。
懐に飛び込みやすいっていうか飛び込んでみてもし相手が僕に気を許せばしめたもの。
相手が裏切られたとわかった時はもう手遅れです。
正直昨日のあなたの話はあんまりにもと思いました。
でも案外相手を揺さぶる材料としてはありかもしれないと思った。
そしたらちょうど向こうから探りを入れてきたもんで…。
向こうから?
(冠城の声)藤森さんと井川さんです。
伊丹さんたちを使ってこっちの状況を探ってきたんであえて情報を流してみた。
増渕さんにも伝わるはずですから。
そういう事があったんですか。
鬼が出るか蛇が出るか…。
とにかく何か反応があればそこから新たに切り込んでいけるかと思って…。
過敏に反応しました。
あなたの睨んだとおりかはわかりませんけど増渕さん何かありますよ。
(携帯電話)もしもし。
(増渕)「ああ…増渕です」お前バカか?「なんだ?さっきのザマは」「あれじゃどうぞ私の腹を探ってくださいって言ってるようなもんじゃねえか」すいません…。
言っただろ?杉下って人は物事を曲解して事実をねじ曲げてでも無理を通そうとする人だって。
焦ってしまって…。
怪しんでましたか?杉下さん。
杉下さんどころか俺だって怪しむよ。
あんたなんか隠してんだろ?いえ…。
正直に言わねえと俺は味方になれねえからな。
よく考えろ。
(不通音)あっ…もしもし!これで彼は俺に借りを作ってしまったような気になる。
こっちが有利に物事を進められるはずです。
それはさておき僕は物事を曲解し事実をねじ曲げるように見えましたか?…言葉のあやです。
(扉をたたく音)
(刑務官)おい何してるんだ!
(刑務官)やめんか!
(刑務官)やめないか!
(刑務官)静かにしろ!
(刑務官)静かにしろ!
(刑務官)黙れ!
(刑務官)やめないと懲罰房行きだぞ!何してる!静かにしろ!戻れ!
(刑務官)何してるんだ!
(刑務官)荒木貴様下がれ!何やってんだ!ああーっ!
(刑務官)おい荒木!
(刑務官)荒木貴様…!
(刑務官)静かにしろ!何をやってるんだ!大人しくしろ!
(刑務官)何やってるんだ!?
(荒木)ああーっ!うわっ!うわーっ!
(荒木)別の舎房だ!
(非常ベル)
(荒木)増渕をっ!やるぞーっ!
(雄叫び)
(警備隊員)何やってるんだ!
(受刑者)おい下見て来い!増渕呼んで来い!!落ち着けっつってるだろ!放せ!増渕呼べーっ!!うああーっ!ああっ…助けてくれーっ!
(受刑者たちの怒鳴り声)増渕呼べーっ!!
(受刑者たち)増渕呼べーっ!!
(受刑者たち)増渕ーっ!!
(受刑者たち)増渕ーっ!!
(磐城)反乱だと!?はい!
(大谷)信者たちです!
(磐城)えっ?刑務官1名人質に取られてるんです!
(磐城)でなんか要求してるのか?
(大谷)増渕を連れて来いと。
増渕先生はまだですか?増渕は今日病欠なんだ。
つまらない引き延ばしをするならこうしますよ!待て待て!今呼びに行ってる!まもなく来ると思う。
(携帯電話)もしもし?
(増渕)「助けてください」殺される…。
殺される?どうして殺されるんですか?詳しい事は行ってみないとわかりません。
(扉をたたく音)
(井川)おい増渕いい加減に出て来い!あっ所長すいません。
かけ直します。
これはこれはとんだ時間にようこそ。
(藤森)殺されるって?ええ。
まあ相手は人質を取って増渕を連れて来いって言ってるわけですからそう思っても無理はないかもしれませんが…。
いずれにしてもここは我々に任せてもらえませんか?
(井川)わかりました。
(ノック)殺されるんだって?どうして?あいつら私を恨んでるに違いない。
もちろん逆恨みですよ。
私は厳格に接してきただけですから。
とは言うものの少なからずいじめていたという自覚があるからそうお思いになるんじゃありませんか?私はいじめてなんかいませんよ!まあまあまあまあまあまあ…。
あんたつくづく無礼な人だな…!お気に触ったならば謝りますがここでこうしていてもらちが明きませんよ。
(増渕)どうすればいいですか?俺たちの言う事聞く?
(増渕)えっ?悪いようにはしないけど。
(携帯電話)はい。
「お待たせしました。
出番です」了解。

(井川)開けてくれ。
開けてくれ。
(藤森)開けてくれ。
風邪っぴきのところすみませんね先生。
こっちおいでよ1人でね。
俺になんの用だ?来ればわかる。
先生がこっち来たらこっちの先生は解放するから。

(荒い息遣い)おい大丈夫か?しっかりしろ。
おいお前ら!この犯罪者ども!更生のためにここに来てんだろ!おかしな事考えるな!わかったか!?
(荒木)先生見ない顔ですね。
…俺?今日着任した。
こいつ…。
来いコラ!かかってこいや!てめえこの野郎!なかなかいいこけ方でしたよ。
確かに。
いえ…怖くて本当に足がもつれてしまって…。
そうなの?俺たちは力仕事でお二人は高みの見物ですか!腕っ節に自信がないものですからねぇ…。
協力出来る事はいつでも言ってくださいっておっしゃったからお願いしたんです。
あんなの社交辞令ですよ!目的は?増渕刑務官をどうするつもりだった?殺すつもりでした。
(伊丹)はあ?
(芹沢)どうして殺すの?
(荒木)田代刑務官の敵を取るためです。
(伊丹)また敵討ちかよ。
(芹沢)それってさ増渕刑務官が田代刑務官を殺したように聞こえるんだけど。
そういう事?はい。
田代刑務官を殺したのは美倉だろ?ヤアーッ!
(刺す音)殺したのは美倉だけど美倉にそうさせたのは増渕…そういう事か?はい。
なんでお前にそんな事がわかるんだよ。
田代刑務官の幽霊でも出たか?幽霊ではありませんがそうだと聞きました。
聞いた?誰から?伊達先生からです。
座って。
(藤森)どういう事なのか説明してくれないか?自分も聞いたんです。
(伊達)美倉と同房だった木村から…。
(伊達)増渕さんが美倉を使って田代刑務官を殺したって…。
そんな愚にもつかないチクリを鵜呑みにしたのか?捜検の時美倉が隠れ信者だった事がわかったそうです。
美倉は踏み絵をクリア出来なかった。
よし!戻れ。
(伊達)でも増渕さんはそれを不問に付した。
木村たち同房の連中は驚いたそうです。
あの増渕がって。
もちろん連中がそんな出来事を口に出来るわけもなくとにかく何か魂胆があるんだろうって房内でのヒソヒソ話で済ませていたある日…。
(増渕)いいか?言うとおり手伝え。
(伊達の声)増渕さんから要請があった。
美倉に幽霊を信じさせるのを手伝えと。
バカバカしいと思っても連中は断れません。
拒否すれば難癖つけられて懲罰房行きですから。
首尾良く美倉はだまされて…田代刑務官を殺したそうです。
ヤアーッ!
(刺す音)
(どよめき)そこまで聞いておいてどうして上司に報告しなかった?しましたよ。
でも取り合ってもらえなかった。
お前は担がれてるんだ。
懲役の中にはたちの悪い奴がいるから気をつけろって。
だとしてもなぜそれを信者に?増渕がひどい目に遭えばいいと思って。
信者たちも田代さんだけには一目置いていたからその田代さんを増渕が殺したと聞けばあいつをこてんぱんにしてくれるんじゃないかと期待して…。
真偽のほども確かめずにか?真偽?そんなものはどうだっていいんです。
要するに相手がそれを信じるか信じないか…。
あなた方なんで余計なまねをしたんですか?増渕なんか消えてなくなったほうが刑務所のためだったのに。
あいつのために更生の芽を摘まれた受刑者はたくさんいますよ…!受刑者だけじゃない。
刑務官だってむちゃくちゃされてる。
自分もめちゃくちゃだ。
でも自分本当はもっとちゃんと受刑者の更生を助けたいんだ!受刑者に難癖つけていじめるなんてそんな事したくないんだよ!したくなきゃしなきゃいい。
自分の理想とする刑務官になったらいい。
実際田代刑務官は信念に従って受刑者に接していたわけだろう?ええ。
そのせいで増渕に殺されましたけどね。
DVD&Blu‐rayが本日発売
宝物ですね。
それぞれ10名様にプレゼント
番組終了後公式ホームページまで
(田代の声)「増渕さん」
(田代の声)「増渕さん…」「増渕さ〜ん…」
(増渕)だ…誰だ?「田代ですよ。
お忘れですか?」
(増渕)なんだと?「あなたの策略で殺されましたが私は決してあなたを許さない」
(増渕)ハハハハハハ!ハハハハハハ!放せ!放せ!つまらないまねはやめてくれ。
やはりあなたは引っかかりませんね。
幽霊らしくと言われて少々手こずりましたがいかがだったでしょうか?突如耳元で声がする。
目を覚ますが何も見えない。
しかも体の自由も利かない。
つまり意識はあるのに真っ暗闇で金縛り状態だと感じるわけです。
そんな一種のパニック状態の中耳元の声をどこか異次元からのものだと錯覚するのは自然な事。
子供のいたずらですよ。
簡単に出来ますが絶大な効果があります。
特に目を開けているのに何も見えないというのは恐怖を煽ります。
あなたの場合田代刑務官の声をよくご存じでしょうし一瞬でも冷静になればいたずらだと見破れるでしょうが美倉の場合はどうでしょう?梅津源平とは接触がなくつまり声を聞いた事がない。
梅津と名乗った耳元の声を信じてしまっても決しておかしくはありません。
梅津を神聖視している状態にあるのですからなおさら信じやすくなっているでしょうしねぇ。
さらに念を入れるために美倉を朦朧とさせる何かを使ったのかもしれない。
事実死んだ梅津の告発だと信じて疑わず美倉は田代刑務官を殺害するに至ったのですから。
あんた…味方だって言ったじゃないか。
言ったよ。
だから正義の味方だ。
(伊丹)殺人教唆認めるな?誰が俺をチクった?あのクソどものうちのどいつだ?志村か?加東か?木村か?千秋か?宮口か?それとも全員か?そんな事聞いてどうする?懲罰ですよ。
ひどい目に遭わせてやるんだよ!信者にお前を売った奴は教えてやる。
お前の部下の伊達だ。
フフ…フフフフフ…。
ハハッ…。
あいつか…。
あいつは刑務官に向いてないよ。
(藤森)増渕はお任せしますよ。
そちらで送検してください。
受刑者の犯罪ならば容赦しないが刑務官となるとね気が重い。
ここだけの話です。
増渕をよこす代わりに美倉はそっちによこせって事ですか?美倉についてはちゃんと事件送致しますので。
仲よく半分こ平和にいきましょう。
結局梅津源平は病死だったんですね。
田代刑務官にとってはとんだぬれぎぬでしたな。
どうしました?連絡方法の事がずっと気になっていましてね。
信者たちはどういう方法で連絡を取り合い一斉に騒ぎを起こしたのか…。
それについて奴らは簡単に口を割らないでしょう。
荒木もその点は完全黙秘だったでしょう?しかし解明の必要はありますよ。
もちろん。
本…!本?刑務所では確か受刑者に本を貸し出していましたよね?ええ。
俗に言う官本ってやつです。
一応図書館もありますからね名ばかりの。
なるほど。
その貸し出し本が通信手段に使われたのではないかという事ですね?信者なる連中に共通して貸し出されていた本を調べれば何か手掛かりがつかめるかもしれませんね。
官本が通信手段に用いられる可能性がある事については刑務所も想定済みです。
返却された本はチェックしますから。
書き込みはもとよりページに折り目がついただけでも懲罰の対象ですよ。
それはわかっていますが例えば貸し出し担当官が梅津の信者だったとしたらどうでしょう?梅津の信者になるのは受刑者だけとは限りません。
刑務官の中に隠れ信者がいたとしてもおかしくありませんよ。
(坂崎保)おはようございます。

(藤森)調べたところこの詩集が信者全員に貸し出されていた。
中を見ると本文の必要な文字に印がついている。
(藤森)「し」…。
(藤森)「ん」「や」。
(藤森)「二」「時」。
「い」「つ」「せ」「い」「に」。
「深夜二時一斉に」順に読むとちゃんと意味を成す文章だ。
今回それを使って信者たちが情報を共有していた事は明らかだ。
なぜチェックを怠った?うっかり見逃すというレベルじゃない。
受刑者がこのような詩集に興味を持つでしょうかねぇ。
いやあえてそれを狙ったのだとすれば合点がいくのですがね坂崎さん。
(藤森)まさか刑務官にまで梅津の信奉者がいたとはな…。
なんとか言ったらどうだ!
(井川)彼のロッカーにこんなものが。
何人かの刑務官によれば梅津の所持品ではないかと…。
勝手に触らないでください。
(藤森)梅津の本なのか?
(坂崎)そうです。
ちょっと拝見。
だから勝手に触らないで!汚したりしませんよ。
梅津の私物をどうやって手に入れた?
(坂崎)田代のロッカーにありました。
殺されたあと遺品を整理している時に見つけて…。
ひょっとしたら田代も隠れ信者だったのかもしれませんね。
「つ」「ぎ」「が」「き」「た」「ら」「け」「つ」「こ」「う」「や」。
書き込みが多量にあり勉強の跡がうかがえますがほらそれとは別にかなを抜き出すようにところどころ印がつけてあります。
今印の順番にかなを読んだのですが「次がきたら決行や」そう読み取れますね。
決行って…?何やら物騒な響きですねぇ。
梅津は何か企んでたのか?暴動とか…。
まだ続きがあります。
「せ」「ん」「せ」「に」「い」…。
「わ」…。
「れ」「た」「ら」「そ」「う」「せ」「な」「あ」「か」「ん」…。
先生に言われたらそうしなきゃ駄目って意味ですか?恐らく。
(井川)先生…?
(井川)まさか田代…?
(藤森)田代が梅津と結託して何か企んでたとでもいうのか?どうやら我々はひとつ大きな可能性を見逃していたようです。

(慈光)そうだったんですか…。
やはり梅津さんは病死だったんですね。
確かに病死です。
しかし自殺でした。
これをご存じですか?『源氏物語』の写本です。
私が勧めたんです。
(梅津)なあ先生…むちゃくちゃやらしい本ありまへんか?刑務所に持ち込めるやつでっせ。
(慈光)困らせるような事をわざと言うものだから…。
だったら『源氏物語』でも読めばいい。
それも写本がいい読めるものなら読んでみろと。
広げてみると解読するための格闘の跡がありますが実はこの中に気になる文章を発見したんですよ。
必要な文字を抜き出して文章化したものですが「次がきたら決行や」「先生に言われたらそうせなあかん」。
梅津源平は次に「何が」きたら「何を」決行するつもりだったのか?そして「先生」とは一体誰の事なのか…。
「何が」に「発作」「何を」に「自殺」そして「先生」にご住職…あなたを当てはめてみると一気に真相が見えてきたんですよ。
次に発作が起きたら自殺を決行する…。
その決意どおり梅津は9月28日の昼過ぎに発作を起こした際異変に気づいて駆けつけた田代刑務官が助けを呼ぼうとするのを押しとどめたのではないでしょうか?
(田代)すぐに先生を呼んできますから!いいいいいいいらん…!何言ってるんですか!このままで…このまんまでええんや!ほっといてんか…!通報を受けた石井先生が駆けつけた時梅津がすでに心肺停止状態だったのはそのせいだったんですよ。
間違いなく病死です。
しかしその時に本人の死のうという明確な意思があったならばそれは自殺と呼ぶべきでしょう。
さてここで疑問がひとつ。
もしもそのような状況であったのならばなぜそれを田代刑務官が報告しなかったのか?恐らく田代刑務官は今際の際の梅津から自分がなぜそうするかを聞いたのではありませんかねぇ。
梅津の隠れ信者でもない田代刑務官がそれを持っていたのは遺品整理で中を検めた時今際の際の梅津の言葉を裏づけるような文章が読み取れたから…。
ええ。
「先生に言われたらそうせなあかん」この一文です。
つまり梅津はあなたに従って自殺をした。
その時点ではその真偽のほどは定かではない。
ええ梅津の一方的な言い分ですからねぇ。
田代刑務官ならばそれを確かめたと思うのですがいかがでしょう?はい。
で…真偽のほどは?梅津さんはそんなつまらない嘘はつきません…。
そう申し上げました。
つまりあなたが梅津を自殺へ追い込んだ…。
そういう事ですね?結果的にはそうなります。
結果的に?ええ。
(慈光)私は間違っていたんだ。
(慈光)いつだったか…私を創造主だと言ったね。
もしそうなら…私がつくったのは失敗作だった。
失敗作…。
あなたの存在は私の罪だ。
でもその罪をどう償えばいいのか私にはわからない…。
ただひとつ言える事はあなたが存在し続ける限り私はその罪にさいなまれる。
堪忍やで先生。
僕先生を苦しめとうない…。
ほんま堪忍やで。
梅津はあなたの苦悩を見て取って…。
ええ…。
死んでくれたんです。
僕は失敗作なんや。
そう言って息を引き取ったそうです。
その話を聞いて田代刑務官はなんと?今後の身の振り方は先生ご自身でお考えください。
ただこれだけは言わせて頂きます。
あなたに教誨師の資格はない。
(慈光の声)当然です。
私は直ちに教誨師を辞退すべきです。
わかっていました。
でもいざとなるとなかなかふんぎりがつかずぐずぐずしているうちに…。
田代刑務官殺害事件が起こった。
ええ。
御仏の慈悲…とでも思いましたか?真実を知る田代刑務官は死んだ。
これでほっかむりしても平気だと。
俺だったらそう思うかもしれない。
追い詰められた時人間なんてみんなそうですよ。
どんなに汚れた惨めな助け船でもすがって助かろうとする…。
梅津みたいな潔いのはある意味人間じゃないのかもしれない。
あなたの見解には異論がありますがそれはまた次の機会に。
さて今回の件の決着をつけなければなりません。
はい。
彼はなぜこんなところに手掛かりを残したんでしょう?どうして死の間際田代さんに私の事を話したりしたのでしょう?そんな事もわかりませんか?あなたのために消え去ったという証拠を残すためですよ。
心臓発作を自殺に利用したわけですからね。
通常ならば誰も自殺などとは思いません。
しかし梅津はわかってほしかった。
あなたのために自ら命を捨てたという事を…。
大勢の罪人をよき道へ導く中でいつしかあなたは自分自身を悪しき道へ導いてしまっていた。
そういう事でしょうかねぇ。
僕ね先生が死ね言うたら死にますわ。

(日下部)「いろいろな厄介事を抱え込んでいたみたいですね」「とにかく詳しく話を伺いたい」あなたも含め関係者の処遇はそれからにしましょう。
明日にでもご足労願えますか?事務次官のところへですか?
(日下部)「こちらから出向きましょうか?」あっいえいえ…とんでもないです。
ではよろしくどうぞ。
そんなの事務次官の仕事じゃないでしょう?いちいちうるさいんだよお前は。
とにかくご苦労だったな。
いい暇潰しになりました。
いい機会だから戻ってこい。
まだ出向して半年です。
関係ないよ。
俺が戻ってこいと言ってるんだ。
嫌か?もうしばらく自由にさせてもらえるとありがたいんですが…。
ちょっと楽しくなってきたんで。
駄目だ。
戻れ。
どうしても嫌なら辞表を出せ。
ならば警視庁で楽しむのも勝手だ。
まあいい。
猶予をやろう。
その間に腹を決めろ。
猶予ってどれぐらいですか?そんなもの俺の気分次第だよ。
ああこれは…。
お久しぶりです。
(大河内春樹)無期限停職処分の身でありながら我が物顔に庁舎内を闊歩されるのは困りますね。
特に闊歩はしていませんが…以後慎みます。
明日からはこれを使ってください。
処分解除です。
ああ…お礼ならば甲斐さんに。

(内村)全く余計なまねを…!
(中園)はあ…。
(中園)ずっと処分解除の機会をうかがっていたようです。
降格は緊急避難的措置ですからあのお方の鶴の一声は相変わらず強力です。
イヤ〜な予感がする…。
はい?舞い戻った杉下ももちろんだがあのお客様だ。
冠城亘ですか?今回の事に味を占めてきっと暴走するぞあの男は。
おはようございます。
おはようございます。
ああ冠城さんはそちらの机を使ってください。
さん付けはやめてください。
呼び捨てで構いません。
ならば冠城くん…それでいいですかね?まあお好きにどうぞ。
なんか…前のほうが落ち着きますね。
すぐに慣れますよ。
あっところで出向はいつまでの予定ですか?気が済むまでかな?なるほど。
あっ改めてよろしくお願いします。
こちらこそ。
よろしくどうぞ。

(大河内春樹)冠城氏がより高いレベルの情報へのアクセス権を申請してきました。
気になりますねぇ。
警察がどんな組織かよくわかりました。
(甲斐)外の人間は使いようだよ。
細かい事が気になってしまう僕の悪い癖。
2015/10/14(水) 20:00〜22:09
ABCテレビ1
[新]相棒 season 14 初回2時間スペシャル #1[字]

待望の相棒シーズン14始動! 水谷豊×反町隆史!
4代目の相棒は法務省キャリア官僚“冠城亘”。
相棒史上最も不可解な事件に異色のコンビが挑む!

詳細情報
◇番組内容
刑務所で受刑者が刑務官を殺害する事件が発生!法務事務次官の日下部(榎木孝明)は、法務省から警視庁に出向しているキャリア官僚・冠城亘(反町隆史)に捜査に加わるよう指示。そのころ、杉下右京(水谷豊)はというと、無期限の停職処分中につき、ある国で意外な捜査をしていた…。
◇出演者
水谷豊、反町隆史、鈴木杏樹、石坂浩二
川原和久、山中崇史、山西惇、六角精児、神保悟志、片桐竜次、小野了
【ゲスト】大和田獏、榎木孝明
◇スタッフ
【脚本】輿水泰弘
【監督】和泉聖治
【エグゼクティブプロデューサー】桑田潔(テレビ朝日)
【ゼネラルプロデューサー】佐藤凉一(テレビ朝日)
【プロデューサー】伊東仁(テレビ朝日)、西平敦郎(東映)、土田真通(東映)
◇音楽
池頼広
◇おしらせ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

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映像
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日本語
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