元島民の島に帰りたいという気持ちを大切にして交渉してほしいと思います。
次回は、合瀬宏毅解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
明治から昭和にかけて活躍した歌人・与謝野晶子の代表的な歌。
歌集「みだれ髪」では女性が自ら恋愛について語る事などタブーとされた時代に異性への思いを率直かつ官能的に歌い上げ当時の社会に旋風を巻き起こしました。
晶子が愛した男…これは晶子が夫・鉄幹のために記した「百首屏風」です。
金屏風にあふれるように書かれた文字には晶子のどんな思いが込められているのでしょうか。
「臨書」とは書をありのままに写し取る事で歴史上の人物に触れる事。
文字の傾きや震えかすれなどから書いた人物の生きざまや息遣いまでも追体験していきます。
「女と男の素顔の書」。
今回は愛と情熱の歌人与謝野晶子が夫のために書いた百首屏風に迫ります。
講師は…石川さんは長年書とは何か独自の視点で探究。
臨書を通じて多くの人物と向き合ってきました。
私羽田美智子は石川九楊先生と臨書の世界を体験。
歴史に名を残す人々の素顔に迫ります
今回訪ねたのは東京・駒場の日本近代文学館。
ここに与謝野晶子が書いた屏風があるとの事。
ふだん非公開の屏風ですが特別に見せて頂きました
こちらですか?うわ〜!へえ〜!えっこれ…。
(石川)まずどう見られますか?これ全部晶子さんの字ですか?晶子さんの字。
細い筆があったり太い筆があったりこのバランスとかなんか一枚の絵のようにも見えますよね。
これ「百首屏風」といって晶子が百首書いたと言われてるんですね。
与謝野晶子直筆の「百首屏風」です
大小さまざまな文字でおよそ百首の歌が屏風を埋め尽くさんばかりに縦横無尽に書かれていました
流れるような…。
でもなんか叫びのような気も…。
ああ数多いですからね。
はい文字がいっぱい。
小さかったり大きかったり。
中でも最も大きく書かれている歌
そしてこちらは屏風の中央に書かれた歌
晶子はその生涯でこうした「百首屏風」を数多く作りました。
どのような人生を歩みどのようなきっかけで「百首屏風」を作り始めたのでしょうか。
晶子の夫となる与謝野鉄幹は北原白秋石川木らを見いだし文芸誌「明星」を主宰した人物。
自身も歌人として活躍しました。
晶子は21歳のとき大阪で鉄幹と出会いその自由な思想に触れ瞬く間に恋に落ちます。
当時鉄幹には内縁の妻がいました。
しかし晶子は鉄幹を追って家出同然に大阪から上京。
その強い恋心を歌ったのが「みだれ髪」です。
鉄幹のプロデュースのもと明治34年に出版。
大きな話題となり晶子は一躍時代のスターとなります。
そして2人は結婚。
妻となっても晶子は女性の自立を主張する作品を次々と発表。
ますます支持を得ます。
しかし一方の鉄幹は主宰する「明星」が廃刊へと追い込まれ歌人としても極度の不振に陥ります。
「夫の窮地を救いたい」。
晶子は当時多くの芸術家や知識人たちが修練のために赴いたパリへ夫を行かせる事を決意。
しかし海外に渡航するには多額の費用が必要な時代。
そこで晶子は「百首屏風」を数多く作って売り出し費用の一部に充てようと考えたのです。
これをどういう思いでお書きになったのかな…。
ここで「みよし野乃」と書いている…こうしてなぞってみると。
「みよし野」。
だからこうギューッと書いてたんじゃなくポンと入って…。
サラサラサラッと。
「サラサラ」をもうちょっと細かく。
「サ・ラ」とか「サラー」とか「サササラー」とかですね。
情熱の歌人の書く文字は意外にもあっさりと飾り気がありません
与謝野晶子の研究では第一人者の逸見久美さんです。
与謝野家の遺族とも親交があり「鉄幹晶子全集」の編さん・監修も行っています。
これは実際この…何百か書いたとかいう事実際ありますか?
(逸見)でも恐らく速かったと思うんですね。
これはでもめちゃめちゃですね。
これなんか…。
「めちゃめちゃ」。
これもどんどん書いてったんじゃないかなと思いますけれども。
書かれてるお姿を一目拝見したかったなってこれを屏風を前に…。
ご長男がおっしゃってましたけど…やってましたねそんな事よく。
晶子はその後もおよそ20年にわたり家計を支えるための一助として百首屏風を作り続けました。
百首屏風には晶子の夫への愛が詰まっているのです。
ところで夫・与謝野鉄幹はどんな字を書いたのでしょう。
日本近代文学館には鉄幹直筆の短冊も収蔵されています。
特別に見せてもらいました
「身じろげ八傍らの草香を立てぬおもへることの片はしのごと」。
鉄幹の本名「寛」の署名があります。
2人の書を比べてみると意外な事が分かりました
スッとしたところとか…。
まあ違うっていえば違いますけど…。
初期の字から見ると晩年はものすごくスッとしてる…。
似てきますよね最初の頃と比べると鉄幹と晶子がこう両方が似てきますね。
筆が…確かにスッと入ってスッと抜けるんですよね屏風と同じで。
だけど触っている過程が長いんです。
どっちが長いんですか?鉄幹が。
愛しすぎて同じような字を書きたくなったのか…。
夫婦でも非常に文学の上ではお互いに尊敬してましたからね。
尊敬したり刺激し合ったり。
晶子の字も鉄幹と出会って変わりました。
これは晶子が鉄幹と出会う前地元大阪・堺で思いを寄せた学生に宛てた手紙です。
このころの晶子はうねるような文字を書いています。
百首屏風と比べるとその違いがよく分かります。
晶子は鉄幹との間に13人の子をもうけ11人を育て上げました。
昭和10年に鉄幹が亡くなるまで2人の愛情は終生変わらなかったといいます。
情熱的な歌や波乱万丈の人生とは一見対照的なあっさりとした晶子の文字。
そこに隠された彼女の素顔に臨書で迫ります。
九楊先生お願いします。
書き出しの…歌で特徴があるかなと思うとこで「さくら咲き」というところをちょっと臨書してみましょう。
肉筆を鑑賞した百首屏風の「さくら咲き」の5文字。
まるで鉄幹の再起への祈りが込められているかのような言葉です。
書かれてるの一回読んでみて下さい。
「さく〜ら…咲き」。
いいですね。
さすがですね。
フフフッ。
なんかそういう字の分量とか重みが…。
「さくら」はほんと力を抜いてスーッと書いてる感じがしますね。
まずは九楊先生が晶子の書きぶりをどうとらえるのか。
もっとこうですね。
シュッとして…。
こう…もうちょっと上からいきますねこう。
でここからがちょっとこう…。
この辺がちょっと…この辺で速く方向変わる。
こっち側向くんだね。
ここがちょっと粘りますね。
この「く」のとこね。
これがこう来て…。
次落ちるのよね下へ。
落下しますね。
ここでちょっと間がありますから空きますね。
これもっと切れがいいね。
切れが良くてここの間が短い。
この横画がね。
この口偏のところの2つの縦画これよりもここが短いぐらい。
でこう長くきてそれでここに間合いがありますね。
こういう間合いの取り方っていうのはね。
この辺やっぱり女性的やね。
ここね。
これはなかなか難しい…。
じゃあちょっと書いてみましょうか。
はい。
羽田さん一文字一文字のポイントを踏まえて晶子の臨書に挑戦です。
スーッと入って…「さ」を書けばいい。
そうそう…。
でそこから「く」を書けばいい。
そうそう…。
つけていいんですか?いや書けます十分。
最後まで。
ああいいじゃない。
そう。
うん。
いいね。
うん。
ちょっと足りなくなっちゃいました。
あっフフッ!ちょっと出ちゃった。
羽田さんが筆の運びを意識して書いた臨書です。
いいですよ。
よく見えてる。
次に九楊先生この5文字に独特のリズムを見いだしました。
再び声に出して読んでみます。
「さくら」「咲」「き」。
「さくら」「咲」「き」。
細身なんですね「さくら」。
抽象画にするとこう一本線があって横にピュッとこう水平線があるという。
「咲」っていう字を書いて。
そこに生じてるバッとこうドラマだっていう…。
垂直に動かす力が非常に強いですね。
垂直に。
縦に縦に。
この垂直のラインで「さくら」ですね。
それでその次に一転して横に広がって垂直に対して水平にパッとひらくとこはひらいて。
またここで垂直に戻す。
縦にという…。
こうなるでしょ。
それで一回この「さくら咲き」を。
はい。
縦を意識し「咲」の字で横へ一気に広がる。
そのリズムを意識すべしというアドバイス。
再び羽田さんが書きます。
うん。
うん。
お〜いいね。
縦と横のリズムを踏まえて書いた羽田さんの臨書です。
すごいよくなった。
フフフッこの辺…。
さっきの触覚だけのもよかったけどこっち見て…よくなりましたね。
ずっとやってくともうちょっと晶子に近づけるかな…。
更に九楊先生もう一つ大事なポイントに気付きました。
この「く」のところが…縦にいくんだけどこれはやっぱりちょっと身もだえするようなとこあるね。
「く」のところ難しいんですね。
なんか普通の「く」だけじゃなくって…。
この時何を感じて考えて…考えてはないんでしょうけど。
考えてるんじゃないですね。
出てくるんでしょうね。
「さ」の始まりは割とサラッときたけども「く」で少し身もだえして「ら」の最後のところもちょっと…結構重いでしょ。
すごくくねりますよね。
くねってなんか「うにゅ」って余韻があって。
僕が思うのはやっぱり若い時の…要するに身もだえみたいなものの名残みたいな…。
「く」のとこで出てきたのかなというような感じは思いますね。
九楊先生晶子の「く」の文字に若い頃のうねるような情熱の名残を見つけました。
なんか面白くなってきましたよ。
何となくうまい下手じゃないっていうのが…。
感覚ですけどね。
何も分かってないですけど。
もっといろんな複雑な価値がいっぱいあって。
今与謝野晶子にちょっと触れた…。
ああちょっと触れた…そうですね。
与謝野晶子は金の屏風に…板を渡して出来上がった屏風に書いたと言われてますからだからちょっとそれを羽田さんに…。
ええっ!?ちょっと体験してもらう…。
えっ金!金の紙を使って仕上げを…。
え〜書けるかな〜?最後の一枚をこれに書いてもらいましょう。
うわ〜なんか…。
亭主のために資金稼ぎのために。
資金稼ぎのために書くつもりで。
へえ〜。
じゃあ…。
晶子…与謝野晶子。
羽田さん晶子になったつもりで金色の紙に仕上げの臨書です。
うん。
難しい。
いいじゃない。
はぁ〜力が入るし…。
でもいいじゃないですか。
「羽田晶子」や。
アハハハ!でもなんかちょっと近づける…気持ちを推測するっていう意味ではまあ何にもないけど…近づけるほどのものは何もないですけどこういう字を書かれていたんだなっていうのはなんか…。
…みたいなところが無意識に発露されていった形ですけどそういうのはこの「く」なんかにまだ残ってるっていうかな。
一見あっさりとサラサラと書いたように見えた晶子の書ですが実際に書いてみるとその中に感情や強さ弱さが隠れている事がよく分かりました
もっともっと書いてみたくなるしもっと知りたくなるしその人にもっと興味が持てるようになるのが面白いなって思いました。
次回からの「女と男の素顔の書」。
第3回は戦国時代を駆け抜けた…第4回は幕末の京都に暮らした…更に宮沢賢治や岡本太郎など個性的な人々の書も登場。
お楽しみに。
これは平安時代紀貫之が書いたと伝えられる名筆「古今和歌集」最古の写本です。
この美しい書の中にひらがな特有の注目すべきこの文字があるそうで…。
九楊先生教えて下さい。
これは何と読んだらいいか迷うような…。
「ひ」の最終画が「と」の第1画と…。
これを掛け筆と言いますけれどですからこれはDialogue:0,0:23:28.09,0:23:31.12,Default,,0000,00002015/10/15(木) 10:15〜10:40
NHK総合1・神戸
趣味どきっ! 石川九楊の臨書入門 第2回「愛と情熱の歌人 与謝野晶子×鉄幹」[解][字]
「臨書」とは、歴史上の人物の「書」を鑑賞し、書いてみることでその生き様や、感情のひだをも読み解くこと。今回は与謝野晶子が夫のために書いた「百首」からひもとく。
詳細情報
番組内容
歌集「みだれ髪」で、明治期には珍しく女性の官能をうたいあげ、一躍脚光をあびた与謝野晶子。一方歌人で夫の鉄幹は不振にあえぎ、晶子がその再起を願って作ったのが百首屏風(びょうぶ)だった。金びょうぶ一面に埋め尽くされるように書かれた歌の数々。その書きぶりは一見さらさらと流れるよう。しかしそこには情念がみなぎっていると語る石川九楊。臨書は「女優の仕事に似ている」と挑む羽田美智子、さて、晶子に近づけるのか?
出演者
【講師】書家・京都精華大学客員教授…石川九楊,【生徒】羽田美智子,【出演】元聖徳大学教授…逸見久美,【語り】内藤啓史
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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