イッピン「キラキラ輝く虹色の世界〜富山 高岡の螺鈿(らでん)〜」 2015.10.12


秋の夜長。
月明かりの下日本酒を一杯…なんてしゃれてますよねぇ!そんな贅沢な時間に華やぎを添えてくれるのが…グラスの底で虹色に輝く花。
お酒をつぐと…。
今度はふわりと浮かんで神秘的な雰囲気!いかがですか?飲む前の瞬間と飲み終わった瞬間に螺鈿のお花が目に入ってくるんですよ。
それがすごい華やかな気分になる感じがします。
漆黒にきらめく花模様。
実は漆と貝なんです。
漆器に貝を貼る螺鈿。
この技法を使って富山の高岡で生み出されました。
螺鈿のグラスは今注目されているんです。
こちら海外に本店を置くモダンな雑貨を集めたセレクトショップ。
フロアの中央に置かれているのが螺鈿のグラスです。
模様はさまざまですがどれも見事に貝が輝いています。
こんなかわいらしい模様も!思わず心が浮き立つ螺鈿のきらめき。
その繊細な技と魅力に迫ります。
今回の舞台は富山県北西部に位置する高岡市。
古くから漆器や鋳物など物づくりの町として栄えてきました。
安田さんが訪ねたのはあの螺鈿のグラスを生み出した漆器店。
120年続く老舗です。
伝統的な高岡漆器の「螺鈿」。
漆器に貝を貼り花鳥風月などの文様を表すのが特徴です。
鶴?羽根のところがすごい。
貝ってこんなに輝くもんなんですね。
あの螺鈿のグラスがありました。
あ…きれい。
万華鏡ですね本当に。
こんにちは。
こんにちは。
螺鈿のグラスを開発した…高級品だから手を出せないと思われがちな螺鈿をふだん使いしてほしいと4年前に開発を始めました。
ぜひ見ていただきたいんですけれども。
はい。
こちらがもともとのやつ。
そうですねはい。
あっ!アハハハハ。
底には無いんです。
底には無いんですね。
はい。
これもすてきですけどなんかもったいないですね。
さっきのやつ見てしまうと。
はい。
やはり驚きがあったほうがいいかなぁと思いまして。
へぇ〜。
最初は貝を横に貼ったものの印象が弱く見えました。
もっと螺鈿の美しさを伝えたいと試作を重ねていく中で…ガラスの底に貝を貼ることにたどりついたのです。
しかしそれは簡単なことではありませんでした。
その辺を含めていろいろ職人さんと試行錯誤させていただきました。
そうか。
技術がいるんですね。
中に入れ込むっていう…。
この螺鈿のグラス一体どんな技が隠されているんでしょう。
まず螺鈿職人を訪ねました。
こんにちは。
こんにちは。
33歳。
高岡螺鈿界の若きエースです。
わぁ。
ここは今作業をされてるところですねぇ。
僕が使ってる机はこっちの方で作業をしてます。
全部手作業で…。
へぇ〜。
使うのは主にアワビ貝。
色みが多様で強い輝きを放ちます。
できるだけ薄く加工したものを用いるのが高岡の伝統。
その厚さ僅か0.07ミリ。
うっす!すご〜い。
もう紙みたいな感じですよね。
そうですね。
欠けちゃったりとか作業しづらかったりしないんですか?薄いんでそれだけ欠けやすいんですけどやっぱり他にメリットってありまして非常に細かい細工をするのにも薄いと非常にやりやすいです。
枝に留まる鳥。
武蔵川さんが自ら描いた下絵です。
ここに貝を重ねて切り抜いていきます。
基本は手前に自分の手前に倒して切っていく。
今度絵が横になっていたら貝を回してまた縦に切っていく。
使う道具は鉛筆の先端に縫い針を取り付けたもの。
これ1本でどんな形も切り抜きます。
高岡で受け継がれてきた「針抜き」と呼ばれる技法です。
こんな感じですね。
すご〜い!ここまでは一息でいくんですか1回止まったりせずに?そうですね一息でいってまたパーツごとに全部1回で。
へぇ〜。
集中力すごいですね。
いりますよね。
そうですねいりますね。
これが頭の部分ですよね。
そうですね。
すご〜い!滑らかすご〜い!光に当てるときれいですね。
若き匠の見事な針さばきです。
こちらは流れるような曲線で躍動する風神雷神の姿が表されています。
自在に針を操る秘密。
それは一体…?45度半分ぐらい倒して…。
はい。
引いて切るっていう…。
手前に引っ張るっていう。
秘密はなんと角度!確かに武蔵川さん常に45度の角度を保ったまま切っています。
でもなぜ45度なんでしょうか?そこであえて角度を変えて切ってもらいました。
80度の場合針の先端が貝に引っかかりスムーズには切れません。
針を倒した15度はというと…。
一見スムーズに切れています。
断面を電子顕微鏡で比較してみると…45度と15度はともに滑らかに切れているように見えますが?15度の断面をさらに拡大するとひどく荒れています。
一方45度は拡大しても滑らか。
45度は安定した力をもっとも針先に伝えやすい角度。
そのため断面を荒らすことなく切ることができるのです。
針1本で自在に形を生み出す武蔵川さん。
そのポイントは一定の角度と力加減にありました。
さぁあの螺鈿のグラス。
まずは桜の花びら作り。
やはり針を45度に保っていますね。
幅4ミリに満たない花びらを30秒ほどで正確無比に切り抜きました。
次に貝をグラスに貼ります。
この時通常の漆器とは異なる工夫を凝らさなければなりません。
漆器の場合まず漆を塗って貝を貼ります。
そして漆を塗り重ねて…。
最後に漆器が乾いたところで貝を削り出していきます。
しかしグラスは漆器とは全く逆。
まず貝を直接貼らなければならないのです。
貝の接着に使うのは膠。
動物の皮などからとった膠は透明なためグラス越しでも貝を美しく見せることができます。
慎重に位置を調整しながら貝を置いていきます。
この時貝の中心を正確に押さないと間に入り込んだ空気を全部押し出す事ができないんだそうです。
あ〜。
大事な作業ですねじゃあ。
そうですね。
ここは神経使って…。
はい。
貝からはみ出た膠をお湯で洗い流します。
これで貝が美しく貼られました。
本当に純粋にきれい貝のきれいなものを表現するというかそういうのを心がけてやっています。
貝が貼られたグラスは次に漆塗り職人のもとへ行きます。
よろしくお願いします。
こんにちは。
職人歴32年。
4代目の…まずグラスに漆を定着させるため特殊な下地を施したあと漆を塗っていきます。
ここは表から直接見える部分。
ハケ目を残さないよう丁寧に塗ります。
塗り残しのないように。
何度も塗り重ねて平らで滑らかにしますが…。
完成品の底はザラザラしています。
実はここにふだん使いの器としての工夫があるんです。
底がすれてすり傷が付きやすいのでこういうふうな仕上げにしてあります。
すべり止め。
このざらつきを生み出すため漆にある身近なものを加えているというのですが。
このざらつき感…。
ではないんですね。
ごく身近にあります。
ウフフフフ。
もっと身近ですか?砂も身近ですけどね。
ウフフフフ。
何だろう?もしかしたら朝食べたかもしんない。
じゃないですか?あ…ちょっと違いました。
正解は…。
実はこれです。
え?はい豆腐です。
食べ物?はい。
え〜!でも一体なぜ豆腐なんでしょう?水けを切った豆腐を漆に混ぜていくと…。
次第に粘りけが出てきました。
これは「絞漆」と呼ばれる伝統の技。
漆の強度が増すとともにざらついた質感も出せるんです。
硬い!グッって奥までいかないぐらい跳ね返ってくるくらい硬いですね。
弾力があって。
絞漆をスポンジでたたくように塗るとあのザラザラが出てきました。
う〜ん。
内側から見たい。
うん。
完成!きれいですね。
ありがとうございます。
職人たちの技と知恵が生み出した螺鈿の輝き。
モダンで優美なイッピンです。
高岡漆器は400年前城下町の建設とともに各地から腕利きの職人たちが呼び寄せられたことに始まります。
江戸時代半ば以降は名工を輩出。
装飾のためのさまざまな技法が発展しました。
絢爛豪華な漆器は近代には海外に輸出されるなど一層盛んに作られます。
その中で薄い貝で巧みに文様を作る技が磨かれていきました。
高岡では今でも暮らしの文化の中に螺鈿が息づいています。
安田さんもうひとつのイッピンに出会いました。
茶会で菓子受けとして使われているお皿にキラリと光る幾何学模様。
青や赤の光が次々とまたたいて見飽きることがありません。
これ螺鈿ですよねぇ。
はい。
お花とかのイメージありますけど模様になっている感じでとても華やかで。
幾何学的でとても細工も細かいですし貝の色がとても変化がありましてきれいに作ってありますよね。
とってもモダンな感じがいたしますよね。
そうですね。
色鮮やかな幾何学模様。
その驚くべき技を見ていきます。
螺鈿職人の…この道50年の名工です。
伝統的な螺鈿の技法を駆使しながら独自の世界を模索しています。
自分の特徴は…まずは幾何学模様のパーツ作り。
今井さんが最も心を砕くのは貝の色と輝きを生かした色使い。
貝1枚1枚の色みを見極めていきます。
貝の中から青い輝きが強い部分だけを切り出していきます。
今井さんの配色の原則は青が7割赤が3割。
強く輝く青と柔らかな輝きの赤はこのバランスの時互いに生かし合って美しく際立つんだそうです。
選んだ貝を小刀で同じ大きさに切ります。
「つき切り」という技法です。
続いて釘で作った道具で三角の形をくりぬいていきます。
三角はデザイン上のアクセントにするため輝きの強い部分を選びます。
色分けした幾何学模様のパーツがそろいました。
続いて模様づくり。
漆を塗ったあと貝を1つずつ貼り付けていきます。
基調となる青の貝からです。
次に青を引き立てるよう柔らかな輝きの赤を配置。
最も輝きの強い三角を枠の中心に置き強い印象を持たせます。
パーツの数はなんと5,000!家族が近寄れないほどの高い集中力で貼り続けます。
全てのパーツを貼り終えるまで少なくとも3日はかかるんだそうです。
その後漆を塗って貝の厚みを埋めていく作業を3回繰り返します。
乾燥後貝の上に塗られた漆を炭で研いでいくと…。
漆黒の中から輝きが浮かび上がってきました。
よかったよしよし。
貝の輝きを生かしたい。
その思いが隅々にまで込められたイッピンです。
高岡では今螺鈿が一層身近に感じられるよう新たな製品作りが行われています。
すご〜い。
こういう現代的なものもあるんですね。
数字が螺鈿になってる。
モダンなデザインのバッジ。
数字が貝で表されています。
ふ〜ん。
スマホケース?わ〜レースですよねこれ?すてきですねレースのこの輝きが螺鈿っていうのが。
指輪とかもある。
本当宝石みたいに見えますよね。
一見宝石のようですが輝いているのは全部貝なんです!ルビーにエメラルドサファイア。
鮮やかな色彩が目を引きます。
ルビー。
きれい!かわいい!ここ入る。
おしゃれ!
(4代目)ありがとうございます。
似合いますね。
かわいい!かわいいですね。
やっぱ角度でキラキラ光るから。
そうですね。
開発したのは100年続く…うちでは今持ち運べるというか…メインで作っておりまして身につけるものだと友達とかにも自慢しやすいですよね。
実際かわいいと思って手にとってもらったら実は伝統工芸の技が使われているよっていうそういうふうに思っていただけたら面白いなと思います。
アクセサリーのターゲット層は30〜40代の女性。
國本さんは若い女性の視点を取り入れて現代的な製品作りを目指しました。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
なんでこれを作ろうと思ったんですか?螺鈿ってキラキラするところが特徴だと思ってて角度によってちょっと色が変わって見えるんですけどそれを最大限に生かそうと思ってあえて今までにない立体の形状に螺鈿をのせて…。
天野さんが重視したのは伝統的にはないポップな色使いでした。
アクセサリーの制作を担当した螺鈿職人の…デザイナーがイメージする色を実現するのに苦労したと言います。
デザイナーさんには思いのある色があるみたいで「この色だから」って言われるんですけどこちらとしては…ポップな色合いを出すため貝の裏に着色します。
しかし貝の強い輝きが色の透過を阻み表から見ると白みがかってしまいます。
想定よりも濃い色を塗っては確かめ徐々に理想の色みに近づけていきました。
結局ルビーに用いたのはこの赤系統の3色。
そして同じ色が隣り合わないように台座に貼っていきます。
こうして立体的に輝く新しい螺鈿が生まれました。
國本さんは今20代向けの髪飾りを開発中です。
螺鈿の輝きを多くの人に伝えたい。
高岡の挑戦は続きます。
イメージっていうか概念が本当に変わったのでどこまで螺鈿が変わりえる可能性があるのかなぁっていうのもまだまだあると思うしさりげなく使いたい。
自分がふだんの生活にキラッと1つ輝きがあって感じたりとかお客さんが来た時に見てもらうっていうこともすごいおもてなしかなっと思いますね。
2015/10/12(月) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン「キラキラ輝く虹色の世界〜富山 高岡の螺鈿(らでん)〜」[字][再]

漆黒の中、虹色に輝く貝。今、富山・高岡で作られた螺鈿(らでん)のグラスが大人気だ。他にも、従来にはない輝きを持つ指輪など、神秘的な輝きの世界を安田美沙子が探る。

詳細情報
番組内容
漆器に貝で模様をほどこす伝統技法・螺鈿(らでん)。今、富山県高岡市では、新たな螺鈿製品が次々と生まれている。中でも、底に貝が万華鏡のようにきらめくグラスは大人気。漆黒の中にきらめく貝が、酒をつぐと、ふわりと浮かんで、虹色に輝く。大人のぜいたくな時間に華やぎを添えるイッピン。その他、名工が作り出す精緻な幾何学模様の漆器や、話題のアクセサリーなど、神秘の輝きの世界とワザを安田美沙子が徹底リサーチする。
出演者
【リポーター】安田美沙子,【語り】平野義和

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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