NHKスペシャル「“ジョーズ”の謎に挑む〜追跡!巨大ザメ〜」 2015.10.11


一撃でオットセイをしとめる巨大ザメ。
大きいものは体長6メートル体重3トンにもなります。
ホホジロザメを一躍有名にしたのはこちらの映画。
あの「ジョーズ」に登場した巨大な人食いザメこそホホジロザメなのです。
映画は空前の大ヒット。
凶暴で残忍なイメージが世界中に広まりました。
人食いザメの代名詞として恐れられる事になったホホジロザメ。
しかし実はその素顔はほとんど分かっていません。
そこで前代未聞の調査が始まります。
サメを自動的に追尾し撮影を行うロボットカメラです。
大接近を試みると…。
足かけ2年にも及ぶ大追跡の末ホホジロザメの意外な暮らしぶりが見えてきました。
いざホホジロザメの世界へ!海の無法者と思われている「ジョーズ」の知られざる姿をご覧に入れましょう。
日本各地の海水浴場で起きた夏の大騒動覚えていますよね?ただいまサメが発生しております。
十分注意して下さい。
海水浴場は遊泳禁止。
大きなサメが近くに現れたのです。
日本近海の海水温が例年に比べて高かったためやって来たのではないかと考えられています。
あのホホジロザメも定置網に掛かり関係者を恐れさせました。
ホホジロザメは北極や南極を除く世界中の海に広く分布し日本でも時折捕獲されます。
サメの中で最も肉食に特化していてオットセイやイルカなどの哺乳類を狙います。
人も襲われる危険があるためこれまでの観察はほとんどおりの中から。
餌でサメをおびき寄せて行われてきました。
しかしこの方法では本当の生態を知る事はできません。
そこでホホジロザメの暮らしぶりを解明するための一大プロジェクトが始まりました。
やって来たのはアメリカの大西洋岸。
風光明美なリゾート地ケープコッドです。
毎年夏多くの観光客がやって来ます。
お楽しみはこちら。
この時期数多く見られる海の哺乳類です。
こちらは…波打ち際にひしめいているのは…保護活動のおかげで爆発的に増えました。
こうした海の哺乳類が増えるのにあわせて最近ホホジロザメも集まってくるようになったのです。
この日もサメが見つかりました。
サメ研究の世界的な第一人者グレッグ・スコマル博士。
30年前からホホジロザメの研究をしています。
現れたのはホホジロザメでした。
急いでビーチの安全管理者に注意を促します。
サメが近づいたためこの日は海水浴場を閉鎖せざるをえませんでした。
長年ホホジロザメの調査を行ってきたグレッグさん。
今回画期的な調査機器を開発しました。
サメの行動を解明するために設計された水中ロボットカメラです。
サメの背びれに取り付けた発信器の信号を感知して自動的にサメを追尾します。
最高速度は時速8キロ。
サメのふだんの遊泳速度を上回ります。
組み込まれたカメラは4つ。
前方上部左右の両側です。
船からの指令でサメと並走したり周囲を回ったりと自由に操作する事もできます。
期待どおりにシャークカムはサメを追跡できるのか?まずは機材テストです。
グレッグさんがサメ役となりシャークカムに追跡させます。
位置を自動的に捉えて追いつけるのか動きの変化に反応できるかなどをチェックします。
サメ役のグレッグさんが水中スクーターで出発します。
シャークカムはその後を追って動き始めました。
グレッグさんにつけた発信器からの信号を受けてシャークカムは距離を縮めていきます。
位置は船の操作室に送られてきます。
現在時速5.5キロ。
ふだんサメが泳ぐ速さです。
速度をあげてもシャークカムはピタリとついてきます。
最後に方向転換。
グレッグさんが体をくねらせて曲がると…シャークカムも曲がります。
この反応の速さならサメを追跡する事ができそうです。
テストは上出来です。
グレッグさんが解き明かしたいホホジロザメの大きな謎。
それは狩りの方法です。
ここは南アフリカの海。
めったに目にする事のできない狩りの様子を捉えた映像があります。
ホホジロザメが水面近くを泳いでいます。
大きな口を開け獲物に襲いかかります。
勢いあまって空中に飛び出してしまっています。
おっと今度は失敗したようです。
オットセイたちも必死です。
サメの存在に気が付くと素早く身を翻し攻撃をかわします。
今度も失敗。
ホホジロザメは体が大きすぎて小回りが利きません。
不器用なホホジロザメが俊敏なオットセイをどのようにして捕らえるのか?その秘密は水の中での動きにあるはずです。
しかし撮影には大きな危険が伴うため水中から狩りの詳細が捉えられた事はありません。
シャークカムなら狩りを詳しく解明できるに違いないとグレッグさんは大きな期待を寄せています。
8月。
ケープコッドでホホジロザメの生態調査が始まりました。
上空から連絡が入ります。
サメは1匹ではないようです。
調査のチャンス!発信器を長い棒に装着。
空からの情報でサメを追います。
サメの姿を捉えました。
船の先端に移動します。
サメに影響の少ない背びれの付け根に発信器を取り付けます。
狙いを定めて…。
赤いのは発信器。
取り付け成功です。
すぐにシャークカムを発進させます。
追跡開始。
発信器の信号をキャッチ。
潜り始めます。
サメとシャークカムの位置がモニターに映し出されます。
方向転換して時速8キロに加速。
次第に距離が縮まります。
ついに大接近。
世界初ホホジロザメの追跡撮影に成功です!シャークカムはサメの周囲を回って特徴や行動を記録していきます。
映像を解析すると…。
腹びれに独特なまだら模様を発見。
この鮮明さなら体の細部まで観察できそうです。
更に…尻びれに繁殖器官がない事からメスだという事も分かりました。
追跡中のこのメスは沖合から沿岸に近づいたあとビーチに沿って1時間ほど移動し続けました。
そして向かった先はアザラシがたくさん上陸している場所。
陸と海をアザラシが頻繁に行き来しています。
いよいよここからが本番。
ホホジロザメの狩りの様子を撮影できるかもしれません。
グレッグさんの推測によるとサメはまず獲物が出す音を遠くから捉えます。
そして匂いを嗅ぎ取って接近。
獲物に近づくと高感度の目で狙いを定めます。
狩りはいろいろな感覚を総動員して行うはずだといいます。
突然サメからの信号が途絶えました。
水深数メートル。
波打ち際に近づいた時の事でした。
サメを見失ってしまいました。
浅瀬のため波や舞い上がる砂など発信器からの信号を遮断してしまったのかもしれません。
サメが浅瀬を離れると信号が再び届くようになりました。
サメはその後3時間以上もビーチに沿って移動し続けました。
その間何度も浅瀬に近づいていました。
おかげで調査は難航します。
信号が度々途絶える上に浅瀬は水が濁っています。
ケープコッドでの調査は諦めざるをえませんでした。
翌年。
グレッグさんは新たな調査場所を見つけました。
やって来たのは太平洋の絶海の孤島。
メキシコ本土から250キログアダルーペ島です。
秋この海にはたくさんのホホジロザメが集まってくるといいます。
島の周りは浅瀬がなくシャークカムの信号が途切れる心配がありません。
更に海の水は澄み切っています。
サメを追跡するのに絶好の場所です。
ここは生き物の宝庫。
急しゅんな地形に沿って深海から湧き上がる栄養分がたくさんの命を育みます。
数千匹の群れを成しているのはアジの仲間。
こうした魚たちを食べに生き物たちが集まってきます。
体長3メートルにもなります。
こちらは…オスの体重はなんと2トンを超えます。
その周りにはメスと子どもたちがいます。
ここはアザラシの子育ての場所でもあります。
平和な群れの中にホホジロザメの痕跡が多く見つかりました。
痛手を負ったアザラシがあちらこちらにいます。
ここでホホジロザメは間違いなく狩りを行っているようです。
サメ調査が始まりました。
まずはグレッグさん海の中をのぞいてみる事にしました。
襲われないようおりに入っての観察です。
仕掛けた餌に誘われてホホジロザメが近寄ってきました。
サメは執ように船の周りを泳ぎ続けます。
去っていったかと思うと…。
今度はメス。
5メートルを超える大物です。
次から次へと巨大なサメがグレッグさんの目の前に現れました。
この海ならグレッグさんの追いかけてきた狩りの一部始終を観察できるかもしれません。
期待が高まります。
いよいよシャークカムの出番です。
まずは餌でサメをおびき出します。
サメが現れました。
サメを船の近くへと寄せようとしますが…。
あっ餌を取られてしまいました。
シャークカム発進!サメに取り付けた発信器の信号を捉えシャークカムが追跡を開始!ショータイム。
サメは海面のすぐ下を泳いでいます。
獲物を探しているのでしょうか?更にサメへと接近。
突然サメが泳ぐ向きを変え深い方へと潜り始めました。
サメは驚くほどの速さで潜り続けます。
シャークカムがその後を追います。
シャークカムが潜れる限界は水深90メートルです。
水深80メートルで海底に到達。
サメになんとか追いつきました。
しかし海底に沿って更に深場へと潜っていきます。
シャークカムは潜れる限界水深90メートルを維持します。
サメからの信号を受信しその位置を把握しながら遠くから追跡を続けます。
サメは水深140メートル辺りをゆっくりと泳いでいます。
日が暮れてきました。
1時間半サメは深場からほとんど動きませんでした。
サメは深場で何をしているのかそう思っていたやさきの事でした。
かみつかれました。
発信器をつけたサメとは別のサメです。
突如真下から現れ襲いかかってきたのです。
一体何が起きたのでしょうか。
回収したシャークカムの表面は傷だらけでした。
映像を詳しく分析します。
(一同)おおっ!もう一度見てみます。
水深90メートル付近。
ホホジロザメが下からものすごい勢いでかみつきました。
シャークカムを食べようとしているのでしょうか?まるでかみやすい場所を探っているように見えます。
深い海でのホホジロザメの行動はこれまで全く知られていません。
単なる気まぐれでかみついたのか。
それともこれは私たちの知らない狩りの方法を示すものなのか。
調査は続きます。
グレッグさんがホホジロザメの研究を始めたのは30年前。
映画「ジョーズ」の大ヒット以来ホホジロザメはすっかり悪役になっていました。
危険なサメとして無秩序に殺されていたのです。
スポーツフィッシングでは男らしさをアピールできる獲物として狙われました。
フカヒレなどの食材や工芸品の材料としても乱獲されました。
実際には生態がほとんど分かっていないのに悪者扱いする事にグレッグさんは疑問を持ちました。
この30年でホホジロザメの目撃数はに激減。
1996年から絶滅危惧種に指定されています。
ホホジロザメを正しく知って正しいつきあい方を見つけたい。
それがグレッグさんの願いです。
この日再びチャンスが訪れました。
餌に誘われ船にひときわ大きなサメが寄ってきたのです。
体長5.5メートルのメス。
グレッグさんはルピタと名付けました。
意外な事が起こります。
獲物であるはずのアシカがルピタの前に現れたのです。
ところがルピタは襲おうとはしません。
動きが素早いアシカ。
そして小回りの利かないホホジロザメ。
ルピタは狙う前から諦めているようです。
発信器をつけたルピタが船を離れていきます。
シャークカムがルピタの特徴を詳しく捉えます。
ルピタは出産を前に栄養を大量に蓄える必要があります。
きっと狩りをするに違いありません。
なんとルピタも前回のサメと同様に深場へと潜り始めました。
最高速度で追いかけるシャークカム。
ルピタは潜りながら岸に向かっているようです。
水深100メートルを泳ぎ続けます。
ここはゾウアザラシの島で2番目に大きな繁殖場です。
水面にもアザラシがいます。
ルピタはこの海の底にやって来ました。
じっとしてほとんど動きません。
突然の事でした。
ルピタが深場から上がってきました。
シャークカムの近くを泳ぎ回ります。
獲物かどうかを見極めているのか。
それとも縄張りを侵すライバルと思って威嚇しているのか。
程なくルピタは深場へと戻っていきました。
このサメの動き非常に珍しい行動だとグレッグさんは言います。
またルピタが来た!いや発信器がついていません。
別のサメでした。
オスのようです。
このオスも深場へと潜っていきました。
水深90メートル。
周りが再び静かになった時…。
またやられました。
今度も真下からです。
襲ってきたのはルピタではなく先ほどのオスでした。
サメは位置を変えながら何度も鋭い歯を立てています。
まるで獲物の柔らかい肉の部分を探しているかのようです。
(警告音)異常が発生!かまれて壊れたのかもしれません。
なんとか回収できました。
サメの攻撃力は相当なものでした。
調査は一時中断です。
夜を徹しての修理作業が続けられます。
一度ならず二度までも。
これは偶然ではなさそうです。
ホホジロザメはシャークカムを獲物と見なし狙っているに違いありません。
海底でじっと息を潜めたあとシャークカムを真下から不意打ちする。
繰り返されたこの行動からグレッグさんはこれまで知られていなかった狩りの方法があるに違いないと考え始めました。
ゾウアザラシは潜水が得意。
沖から陸へ戻る時サメに狙われにくいよう暗い深場に潜って移動する事が分かっています。
ホホジロザメは更に深い海底付近まで潜り獲物が来るのを待ち伏せするのではないか。
サメは深場の暗い中でも目がよく利くといいます。
水面方向を見上げれば獲物をシルエットで把握できるはず。
見つけるやいなや深場から急上昇。
獲物に気付かれないうちに一撃でしとめる。
これがホホジロザメの狩りのやり方ではないかと考えたのです。
仮説を確かめるためグレッグさんは作戦を変える事にしました。
下向きにつけるカメラの台数を増やしあえてシャークカムが襲われる瞬間を撮影しようというのです。
下向きのカメラはこことここ。
この位置ならサメが深場から襲いかかってくる様子を撮り逃す事はありません。
さあいよいよ調査も大詰めです。
発信器をつけたこのメスをディープ・ブルーと名付け追跡します。
左の脇腹に傷痕を見つけました。
ライバルなどと争った時にできた傷かもしれません。
ディープ・ブルーの向かった先はやはり深い海でした。
近くにはゾウアザラシの繁殖場があります。
ディープ・ブルーは更に深場へと潜っていきます。
そして狩りのチャンスを待っているようです。
待ち続ける事2時間。
真下を見るカメラの映像です。
ねらいが当たりました。
でもよく見ると発信器がありません。
またしてもマークしたのとは別のホホジロザメでした。
サメは45メートルの距離を3秒間で急上昇。
決して獲物を逃すまいというこん身の一撃に違いありません。
襲いかかる時の口ギリギリまで閉じています。
水の抵抗で速度が落ちないようにするためではないかといいます。
これでシャークカムは3回襲われた事になります。
分析した結果かむ力は1平方センチ当たりなんと2トンにもなります。
かみつく時目は何度も黒目から白目に変わります。
大切な目を獲物の反撃から守るための行動のようです。
きっと一瞬の攻撃に全てを懸けているのでしょう。
更に3回の攻撃はいずれも追跡していたサメとは別のサメでした。
この事から水深100メートルを超える深場にはかなり高い密度でホホジロザメが潜んでいるとグレッグさんは確信しました。
そして獲物が上を通りかかるのを虎視たんたんと狙っているに違いありません。
チャンスが訪れると一気に急上昇。
一撃必殺の狩りを行うのです。
ホホジロザメが水面だけではなく深場を狩りに使っている事が今回の調査で初めて分かりました。
2年にわたった追跡調査でホホジロザメが浅い海だけではなく深場でも活発に行動している事が分かりました。
そして最近更に驚きの映像が沖縄の海で撮られました。
ここの水深は500メートルもあります。
暗闇から現れたのは巨大なホホジロザメでした。
ここはグアダルーペの深場より3倍も深く水温は水面より20度近くも低い過酷な場所です。
これほどの深い海で一体何をしているのでしょうか。
ホホジロザメの暮らしぶりにはまだ多くの謎が秘められています。
魚類最強のハンターホホジロザメ。
どう猛なイメージとは裏腹に俊敏な獲物に翻弄されるという意外な不器用さを持っていました。
それを克服するため深い海を利用して戦略的な狩りをしていたのです。
人食いザメジョーズというイメージゆえに乱獲され絶滅の危機に追い込まれているホホジロザメ。
その本当の姿を私たちは今知り始めたばかりなのです。
2015/10/11(日) 21:00〜21:50
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル「“ジョーズ”の謎に挑む〜追跡!巨大ザメ〜」[字]

体長6メートルにもなるどう猛なホホジロザメ。調査には危険が伴うため生態は謎に包まれてきた。サメを自動追跡し、撮影するロボットカメラを使って狩りの水中撮影に挑む。

詳細情報
番組内容
この夏、各地の海水浴場で起こったサメ騒動。そのサメの中で最も恐れられているのがホホジロザメだ。映画「ジョーズ」のモデルとなり世界中をしんかんさせた巨大ザメ。調査には危険が伴うため生態は謎に包まれてきた。最近アメリカの調査チームがサメに取り付けた発信器からの信号をキャッチし、自動的に追いかけ撮影するロボットカメラを開発した。シャークカムと名づけられたこの最新の機器でホホジロザメの狩りの水中撮影に挑む
出演者
【語り】伊藤雄彦

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 報道特番

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