小野甲太郎、倉重奈苗
2015年10月14日23時57分
安倍晋三首相は14日、中国の外交を統括する楊潔篪(ヤンチエチー)国務委員(副首相級)と首相官邸で約45分会談した。首相は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界記憶遺産に、中国が申請した「南京大虐殺の記録」が登録されたことについて「遺憾だ」と表明。一方、今月末にソウルで予定されている日中韓の首脳会談や、国際会議などの場を利用した習近平(シーチンピン)国家主席との首脳会談の実現に意欲を示した。
日本側の説明によると、首相は東シナ海情勢について、中国側による領海侵入や日中中間線付近でガス田開発が続いていることを念頭に、「深刻な懸念」を表明。そのうえで「過去の不幸な歴史に過度に焦点を当てるのではなく、未来志向の関係を構築していくべきだ」と訴えた。楊氏は「第2次世界大戦に関することについては、すでに国際的な定論がある。歴史をしっかり認め進んでいくことが重要だ」と応じたという。
一方、首相は「両国は地域と世界の平和と安定に貢献していく責務を有している」とも指摘。日中首脳会談をはじめハイレベルな人的交流を「後押ししていきたい」と伝えた。首相としては、「南京」や「東シナ海」に言及はしたものの、中国と対話する姿勢を崩すつもりはないことを示した格好だ。
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