2020年東京五輪で野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ(スケートボード)、スポーツクライミング、サーフィンの5競技18種目の追加実施が提案されることになった。3大会ぶりの復帰を目指す野球・ソフトが参加チームを8から6に減らされ、ローラースポーツはスケボー種目だけになるなどの思惑違いはあったようだが、それでも国内競技団体(NF)はどこも選ばれたことを喜び、サーフィンなどはまるで採用が確定したかのようなはしゃぎぶりだった。
■五輪追加提案、一挙5競技選出に驚き
野球・ソフト、空手までは堅いと思っていたものの、一挙5競技の選出には正直驚いた。失態続きの東京五輪組織委員会が絞り込みによる反発をおそれて国際オリンピック委員会(IOC)に決定を丸投げしたとの見方もある。だが、いつも慎重な言い方をしてきた種目追加検討会議の御手洗冨士夫座長は「(IOC総会で)通る可能性は高いと思う」とまで言った。IOCと意見の調整を十分にした上での選出だと受け取るべきだろう。
組織委にすれば、日本で人気が高くチケット収入で増収につながる野球・ソフトやメダル量産で大会を盛り上げてくれそうな空手はぜひとも実施したいが、それ以外の競技・種目は、大会経費や運営上の負担を増やすことになるので最小限に抑えたかったはず。サーフィンとローラースポーツはNFがまだ日本オリンピック委員会(JOC)にも加盟していない。
結局、若者に人気のスポーツを取り込もうと熱心なIOCが、野球・ソフト、空手をセットにすることで東京に大幅な競技増を受け入れさせたという構図が見えてくる。昨年末にまとめた改革プラン「アジェンダ2020」で開催都市の競技提案権を認めるなど立候補都市への配慮を示すIOCだが、実際は五輪の肥大化などへの批判、責任を自らに向けることなく、開催都市の意向という形を取って思惑通りに五輪の権威を高めることに成功している。前途多難の東京五輪にとっては、また新たな重荷を背負わされたという印象すらある。
■「すべて傘下に」五輪の旺盛な支配欲
あらためて感じるのは、すべてのスポーツを傘下に収めようとする五輪の旺盛な支配欲だ。1984年のロサンゼルス大会以降、商業主義と批判されてきた五輪だが、覇権主義と呼んだほうがよいのではないか。その支配的パワーをさほど感じなくてすむのは、世界的にほぼ普及し、だれもが認めるチャンピオンシップ・イベントを自前で持つ競技。具体的にはサッカーとテニス、ゴルフくらいではないかと思う。
商業主義もそうだが、覇権主義も批判されるばかりではない。巨大イベントの傘下に入ることによって多くのスポーツに普及へのチャンスが生まれる。IOCがテレビ放映権料やスポンサー協賛金として稼ぐ資金は、開催都市の負担を軽減するし、貧しい発展途上国のスポーツ普及や五輪への参加費にも充てられる。
スケートボード、ローラースポーツ、サーフィン、IOC
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