「狂った油」トランス脂肪酸アメリカで全面禁止に!日本は規制なしで大丈夫?
アメリカでは、トランス脂肪酸を食品への添加に使用することを2018年に禁止することになったとのニュースを見ました。
「狂った油」とも表現されるトランス脂肪酸がアメリカでは全面禁止に!
「日本では規制されていないけれど大丈夫?」
「アメリカが、全面禁止にするほど危険だったの?」
と心配になりました。
トランス脂肪酸を摂り過ぎると、さまざまな病気になる恐れがあります。
動脈硬化を起こす危険性は、多くの研究結果から示されています。
最悪の場合、動脈硬化による心筋梗塞で突然死にいたることも考えられます。
「でも、トランス脂肪酸なんて摂っていないよ。」
と思っていませんか?
実は、トランス脂肪酸は自分で気づかないうちに多量に摂取しています。
トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニング、植物性油脂などに多く含まれています。
これらを原料に、パンやスナック菓子、揚げ物などが作られます。
スーパーに行って売られているパンや、お菓子などの原材料の表示を見てください。
マーガリン、ショートニング、植物性油脂と表示されているものが、いかに多いかわかると思います。
それだけ多くの食品に、当たり前のように使われているのがトランス脂肪酸です。
自分では気づかないうちに、トランス脂肪酸を摂取する。
そして、気づかないまま病気になる。
そんな恐ろしいトランス脂肪酸だからこそ、アメリカで禁止されることも納得です。
でも、日本では規制も表示義務さえもありません!
それはなぜなのでしょうか?
トランス脂肪酸について気になったので、いろいろ調べてみました。
【トランス脂肪酸ってなに?】
トランス脂肪酸には2種類あります。
天然のものと、人工のものです。
・天然のトランス脂肪酸
主に牛肉、羊肉、牛乳、乳製品に含まれます。
牛や羊などの反芻動物では、胃の中の微生物の働きによってトランス脂肪酸が作られます。
・人工のトランス脂肪酸
油の加工や精製される過程で生成されます。
主に、マーガリン、ショートニングなどに含まれます。
動物の油は、温度が低くなると固まります。
しかし植物油は、温度が低くても固まりにくい性質です。
植物油を固まらせるために、水素を添加します。
その過程の際に、トランス脂肪酸が発生します。
こうして製造されるのが、マーガリンやショートニングなどです。
自然界には存在しない人間が作り出した油です。
天然のトランス脂肪酸は含有率、摂食量が植物性食用油脂よりも微量であることから問題ないとされています。
問題視されているトランス脂肪酸は人工のものです。
どんな食品にトランス脂肪酸が入っているのかなと思い調べてみました。
トランス脂肪酸を多く含む食品がこちらです↓↓
・マーガリン
・ショートニング
・植物性油脂
・スナック菓子、パン、クッキー・ケーキなどの洋菓子
・マヨネーズ
・インスタント食品、レトルト食品
・揚げもの
など
マーガリンやショートニングを材料にして、パンやクッキー、スナック菓子、揚げ物などが作られます。
私たちが意識しなくても、トランス脂肪酸を知らずに摂取していることが多いことが特徴です。
【トランス脂肪酸がもたらす身体への影響は?】
知らずに日常的に摂取することが多いトランス脂肪酸。
身体には、どんな影響があるのでしょうか?
トランス脂肪酸を一定量摂取すると、血中の悪玉コレステロールが増加し、善玉コレステロールを減少させます。
これにより動脈硬化を起こし、心筋梗塞などの危険性を高めるとされています。
その他には、
・心臓疾患
・認知機能の低下
・アトピー
・アレルギー性疾患
・不妊症
・流産
・肥満
など
この危険性から、アメリカでは「狂った油」とも言われています。
【マーガリンは腐らないって本当なの?】
マーガリンがバターよりも低カロリー、低脂質で健康に良いとされていたのは間違いです。
マーガリンには3つの特徴があります。
①腐らない
②カビも生えない
③虫も食べない
数年経っても腐らない、カビも生えない、虫さえも食べないのがマーガリンです。
アメリカで、マーガリンを外に放置する実験が行われたことがあります。
放置された期間は、なんと2年間!
2年間放置されたマーガリンは、虫が食べた形跡もなく、カビも生えず、腐りもせず、全く変化はなかったそうです。
そういえば、私もこういった経験がありました。
冷蔵庫を買い替えたときの話です。
冷蔵庫の奥から、4年前の開封済みマーガリンが出てきたんです。
でも、腐ってもいませんでしたしカビも生えていませんでした。
パッと見る限りでは、新鮮で今でも食べられそうでした。
しかし、マーガリンは油です。
新鮮に見えても、酸化はしているでしょう。
「賞味期限に気づかず、もし食べてしまっていたら?」
そう考えるとこわいですね。
マーガリンが腐らない理由は、化学処理によって不飽和脂肪酸がトランス型脂肪酸に変化させたためです。
化学処理を行うことで、常温でも固体を保ち、保存性も高くさせています。
自然界では決して存在しない原子の組み合わせで作られているのがマーガリンです。
フィンランドで、マーガリンを日常的に使う人とそうでない人、1200人を追跡調査した研究が行われました。
10年後には、マーガリンを日常的に使った人の死亡率が1.4倍に上昇。
心臓病の罹患率にいたっては、2.4倍にもなりました。
この結果から、多くの欧米の国ではトランス脂肪酸の規制・禁止の動きになりました。
(参考:VOELEIより http://www.volei.co.jp/olive/free.html)
日本ではどうでしょうか?
マーガリンは腐りにくい性質だからこそ「便利な油」として、今でも多く使われています。
日本では、バター風味、バター仕立てのマーガリンが近年人気です。
いくらバター風味でも、マーガリンであることにはかわりありません。
多くのトランス脂肪酸が含まれていることを忘れてはいけません。
【狂った油トランス脂肪酸、アメリカでは規制!日本での動きは?】
「アメリカのような国でトランス脂肪酸を本当に規制できるの?」
と思っていました。
しかし、アメリカのマクドナルドではすでにショートニングを使用していないんです!
代わりにキャノーラ油ベースで、トウモロコシと大豆油を使っています。
アメリカ商品業界団体によると、各メーカーの自主的な取り組みが進んでいるとのこと。
2005年以来、トランス脂肪酸の使用が73%も減っているそうです。
つまり、トランス脂肪酸は企業努力で使用しなくても済むということ!
では、日本のマクドナルドではどうでしょうか?
※2015年10月現在
マクドナルドの公式HPには
“2007年にトランス脂肪酸を減らすため原材料の一つであるフライ油の仕様を変更いたしました。
このフライ油の仕様を変更したことで、マックフライポテトに含まれるトランス脂肪酸の量を減らすことが出来ました。”
(参考:http://www.mcdonalds.co.jp/safety/quality/trans_fat.html)
とあります。
完全に使用を禁止しているわけではありません。
アメリカのマクドナルドではトランス脂肪酸を使用していないのに、日本のマクドナルドでは今でも使用されています。
ちなみに他のファーストフード店の揚げ油の状況は、
・ミスタードーナツ
・ケンタッキーフライドチキン
・ロッテリア
・モスバーガー
※wikipediaの最新情報を参考にしてください。
(参考:Wikipediaトランス脂肪酸より)
アメリカや、ヨーロッパなどの海外ではトランス脂肪酸は問題視され制限されています。
デンマーク、スイス、オーストリアでは規制が設けられています。
アメリカ、カナダ、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル、韓国、台湾、中国では表示義務があります。
しかし日本では、規制も表示義務もありません。
危険性がはっきりしているのに、なぜでしょうか?
WHO(世界保健機関)では、トランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満にするように勧告しています。
日本人が1日に摂取するエネルギー平均は1,900kcal。
総エネルギーの1%は19kcal、トランス脂肪酸に換算すると2gです。
つまり、総エネルギー摂取量の1%は1日で2gになります。
1日あたりのトランス脂肪酸の摂取量は2g未満までということになります。
2008年に農林水産省が実施した調査研究によると、日本人が1日あたりに摂取しているトランス脂肪酸は0.92~0.96gが平均と推定しています。
WHOが勧告する2g未満であるため、日本では問題にすることではないと考えられています。
そのため、規制も表示義務も必要ないと考えられているのです。
「WHOの勧告未満だから大丈夫でしょ。」
と考えるのは危険です。
あくまでも平均値にすぎません。
近年、トランス脂肪酸にさらされる危険度は高くなっていると考えられます。
日本の食品安全委員会は
「通常の食生活では健康への影響は小さい。」
としていますが、こうも付け加えられています。
「しかしながら、脂質に偏った食事をしている人は、留意する必要がある」と。
日本人の食生活も欧米化が進んでいます。
外食、コンビニ、冷凍商品などの依存度も高くなっています。
特に若年層でトランス脂肪酸の摂取が増えていると考えられます。
外食が多い人、お菓子やスナック菓子をよく食べる人は注意が必要です。
【私たちができる対策とは?】
日本では、トランス脂肪酸の表示義務も規制もありません。
現段階では、まったく何の対策もない野放し状態となっています。
使用規制もないので、トランス脂肪酸の含有量が高いものも流通しています。
トランス脂肪酸から身を守ろうとするなら、自分で対策をしなくてはいけません。
■原材料をチェック■
食品への表示義務がありませんから、原材料名を見ても『トランス脂肪酸』と表示されていません。
実際に私もスーパーに行って、食品の表示を見てみましたが『トランス脂肪酸』と表示されているものはありませんでした。
表示には、『マーガリン』『ショートニング』『植物油脂』『加工油脂』と記載されていました。
こう表示されているということは、トランス脂肪酸が含まれていることになります。
ですので、これらが表示されていない食品を選ぶようにしましょう。
例えば、バターと表示されているものを選ぶなどです。
■マーガリンを使用しない■
トーストには、マーガリンではなくバターを使用しましょう。
また、お菓子作りをする際もマーガリンではなくバターを使用しましょう。
■外食を控える■
外食をする際は、ファーストフード店に行かない、揚げ物を頼まないようにしましょう。
■油は未精製のもの、抽出法でなく圧搾法の油を選ぶ■
油を買うときは、キャノーラ油、ピーナッツ油、エクストラバージンオイル(オリーブオイル、ココナッツオイルなど)を選ぶようにしましょう。
■お菓子は和菓子やナッツ類を選ぶ■
大福や、お団子、饅頭などの和菓子には、ほとんどトランス脂肪酸は含まれていません。
お菓子を食べたい時は、洋菓子よりも和菓子を選ぶようにしましょう。
洋菓子が食べたいときは手作りし、マーガリンではなくバターを使用しましょう。
トランス脂肪酸は、日本では自分で対策しないといけない状況ではあります。
しかし、良心的な企業の中ではトランス脂肪酸を使用しない、軽減するように努力しているところもあります。
セブン&アイ・ホールディングスでは、トランス脂肪酸の低減に取り組んでいます。
まずは、コンビニなどでのプライベートブランド商品での全廃を目指しています。
(参考:セブン-イレブンより )
大手であるセブン&アイ・ホールディングスが、このような動きをすることで他の企業にも影響を及ぼしそうです。
日本でも規制や表示義務への動きになってくれると嬉しいですね。
この記事を書いた人