またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。
ぼくは思うところがあります。今期は「スターウォーズ」がまたスピンオフのアニメ化をしています。その原作の出来にたがわず3DCGのクオリティ・脚本・アニメートそれぞれの出来はとてもよいのです。
あまり喜ばしいこととは言えないのですが、アメリカブロックバスター映画界では過去のタイトルの新作が次々とリブートしています。それでも過去のタイトルのクオリティに違わない、今の技術ならではの質になっています。
ぼくがなぜこんな話をしているのかというと、「なぜ日本の過去最高の原作に最高の技術によるクオリティが付かず、最低の原作からスタートしたのに(少なくとも)最高クラスのクオリティがつくのだろう」という無情を集英社原作の2作品から感じたからです。
ドラゴンボール超 視聴7分
そうドラゴンボールという日本最大の作品が一向に低クオリティの新作を続けている現実です。どう考えてもハリウッドの内部の都合でずたずたにされた実写映画、そして文化庁が出資したにもかかわらず、日本にはもっと質が高いアニメートも画面作りもUHFアニメの界隈にあるくらい低いレベルのクオリティの新作のアニメ劇場版。
好き嫌いはどうあれ、日本でドラゴンボールが最大の漫画作品であることは疑いようはないでしょう。もともと「101匹わんちゃん」の模写ばかりやり、デザイン系の会社にも入っていたという日本の当時のマンガシーンとは別のバックグラウンドのある鳥山明の漫画技術の全てが投入された作品であるには違いないでしょう。
どれくらい専門的なレベルで学んだのかは不明ながら、ドラゴンボールが連載された10年間にはアメリカのディズニーやスターウォーズ・スーパーマンのレイアウト、そして日本のアニメのデザインの方法が混ざり合う稀有なものになっています。*1ジャンプにてこうした間合いのスタイルは今もって現れていません。ジャンプはどれもこれもクソみたいな絵柄で「いかにクリンナップされているかどうか」くらいしかない現在を考えるに、80年代から90年代の比較的基礎技術を持ったうえで多彩な絵柄が溢れたジャンプ黄金時代はやはりいい時代だったのかもしれません。
特にドクタースランプ頃のデザインやイラストレーション的だったところに、物語のワンシーンを切り取ったような画風に移り変わる契機に日本のアニメーター・芦田豊雄の影響があったということは大きいでしょう。
そんな商業アニメの帝王ディズニーの痕跡から日本のアニメのデザインまで消化した原作に、まったく応えていないというのはどういうことなんでしょうか?劇場版時代からそうですがスーパーサイヤ人ゴッドのデザインのやる気の無さ、配色の糞さ加減、ぎこちなさなど日本最高の原作とは思い難いです。
今回のドラゴンボールの作画か崩れていて、期待していた、沢山の外国人のフャンががっかりしている。現在の日本アニメ業界の厳しい状態に気付いてもらうきっかけになれたらいいと、個人的に思う。アニメーターの仕事の条件がよくならないとダメだな。 pic.twitter.com/sqpCBLsSga
— ThomasRomain ロマン・トマ (@Thomasintokyo) 2015, 8月 9
最近でも少し話題になりましたが、日本のアニメやゲームに関わるフランス人の背景アーティストであるロマン・トマさんもさすがに苦言を呈しており、ぼくも「日本最大のタイトルであるドラゴンボールがなぜ!?」と謎です。
日本でコンテンツ産業をどうたらとか意識高く言ってる意見はいくつかありますが、ここまで海外に輸出して通じるタイトルはまれなのになぜ日本では限界まで突き詰めたスタッフで作れないのでしょうか?くそみたいなアニメート、テンポの悪い引き延ばし、旧アナログ作画の理屈をデジタルで楽した程度の色彩配置などなにをしているんでしょうか?
ワンパンマン 視聴12分
2chとかのまとめでたまにある「暇だから漫画描いてみたよ」とかいうぬるいタイトルで一見下手に見えるけど、実はほんとに下手な絵でシニカルな視点の漫画がありますけど、WEB漫画で有名になったワンパンマンはそんな原点の感じします。
そんな中途半端に面白いWEB漫画をこれまた全く面白くないがクリンナップだけうまい漫画家・村田雄介が漫画化。「オリジナルよりうまい人がファンアートを描いてpixivとかtwiterで流してウケる」みたいな構図の気色悪さをマジで商業で地で行ってるためワンパンマンはつらいなあとおもうのですが、それがアニメ化に至ったのをみてしみじみします。
しかし、そのアニメの内容はびびります。これこそ当初多くの人が期待したようなドラゴンボール超の作画タイミングやクオリティではないか…どうなっているのだ…
ドラゴンボールとワンパンマンというタイトルが必要としているアニメートや画面レイアウト・テンポはおおよそ同じです。なのに、日本で最大の作品が正直今期のクソみたいなラノベアニメよりも場合によっては劣る出来であり、WEBにいるちょっと面白い技術の無いのがいまや日本最高の原作に必要だったアニメートを為されているのが、すごく皮肉です。
ドラゴンボールがひどい扱いを受け、インターネットのおもしろがメジャーにまで浮上しやけに好待遇なヒカキン時代の構図。そこには世界への面白くなさというものが凝縮、虚無という虚無が集約されています。限りない孤立を感じるほどです。「オッスオラ悟空」「またワンパンで倒しちまった」くらいの原作になぜこんな気持ちになっているのでしょうか?このエントリを読む者に永遠の虚無あれ。いつになくひどい記事になりました。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。
このページを読む者に永遠の呪いあれ(ラテンアメリカ文学選集 1)
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