インデックスファンドの10割すべてがインデックスを上回れない?(その3)

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前回の記事「インデックスファンドの10割すべてがインデックスを上回れない?(その2)」の続きです。

前回までの記事で見てきましたが、インデックス(指数)そのものではなく、信託報酬がかかるインデックスファンドとアクティブファンドとの比較でどうなのか?という疑問に対するデータがなかなかありません。ずっとモヤモヤしていたのですが、見つけました。

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モーニングスター [ アナリストの視点(ファンド) “アクティブVSパッシブ”新手法で検証、コストが明暗  2015-09-24] より引用

上記データは、モーニングスターが新たな手法で、インデックス vs アクティブを比較したものです。

何が新しいかというと、(1)インデックス(指数)そのものではなく、信託報酬を考慮したインデックスファンドとアクティブファンドを比較したこと、(2)存続すらできず償還されたアクティブファンドがデータ対象から除かれるおかげでアクティブファンドの成績がかさ上げされてしまう「サバイバーシップ・バイアス」を排除したことの2点のようです。

こういう一歩進んだ調査を待っていました!

結果は、「対象ファンド全体のサクセスレート」を見ていただければ分かるとおり、インデックスファンドに対するアクティブファンドの勝率は、全期間で20~30%台、つまり、

アクティブファンドの7~8割はインデックスファンドの成績を上回れない

ということです。データ上は、インデックスそのものとの比較よりも、アクティブファンドの勝率が低いことになります。しかも、モーニングスターの記事によれば、この傾向は日本だけでなく、米国でも同じであるとのことです。

これで、前回記事の記者さんが仰る、「インデックスファンドの10割すべてがインデックスを上回れないから、アクティブファンドより、実はインデックスファンドの方がダメなのでは?」という指摘は、的はずれであることが、よりよくわかると思います。

ただし!

このデータには、アクティブファンド側にとっても、見逃せない知見が含まれています。それは、「低コスト上位25%のアクティブファンド」の10年勝率だけは、62%とインデックスファンドを上回っている点です。

アクティブファンドでも、低コストであれば、インデックスファンドを上回る成績をあげる可能性が上がるということかもしれません

これは、アクティブ派にとっては福音です。そうであるならば、アクティブファンドも、インデックスファンドのようにだんだん低コスト化すれば、投資家のリターンも増えるはず。ところが、実際は……

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モーニングスター [ アナリストの視点(ファンド) お手軽なインデックス投資だが、償還リスクには注意  2015-01-06] より引用

ここ数年、インデックスファンドの信託報酬は年々下がっていますが、アクティブファンドの信託報酬は逆に年々上がっています。アクティブファンドは、年々、自ら勝率を下げてしまっているようにも見えます。

アクティブファンドの熱烈なファンの方々は、インデックス投資家に食ってかかったりする前に、運用会社に対してご自身が投資しているアクティブファンドの信託報酬の引き下げを要望した方が、より有意義ではないでしょうか。

ファンドの運用にはコストがかかるのは仕方がないことです。ゼロにしろとは言いませんが、現在のコスト水準が本当に投資家が負うリスクに見合っているのかは、よく考えた方がいいと思います。

運用会社はリスクを負いません。利益が出ようが損失が出ようが、信託報酬はしっかり取ります。すべてのリスクを負う投資家が受け取るリターンがよりマシになることが、インデックス派・アクティブ派を問わず、投資家にとってはよいことだと私は思います。

最後に、くりかえしになりますが、当ブログ記事は、「インデックスファンドを上回るアクティブファンドは絶対に存在しない」と主張しているわけではありません。あくまで「全体的な傾向」の話をしているので、ご了承ください。

(おわり)


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