東証は「及び腰」?
東芝 <6502> は9月14日、東京証券取引所から翌15日をもって株式を特設注意市場銘柄に指定する旨の通知を受けた。理由は「内部管理体制等に深刻な問題を抱えており、その改善の必要性が高いと認められる」というものである。
これにより東芝株式の当面の上場廃止回避が事実上決定された。1年後でもなお内部管理体制等に問題があると認められる場合や、特設注意市場銘柄指定中であっても内部管理体制等の改善の見込みがなくなったと認められる場合には上場廃止となるが、東芝に関しては、おそらく最終的には上場廃止を免れることになるだろう。
このような通知に対しては、ライブドアが即時上場廃止となったこととの違いを挙げて批判する声がある。また、旧日興コーディアル証券やオリンパス <7733> が上場廃止を回避した例を挙げ「東証は大企業の上場廃止に及び腰である」「対応が甘すぎる」という批判もある。なぜ上場廃止となる企業とそうでない企業があるのかを考えるには、上場廃止で一番困るのは誰かということを考える必要がある。
上場廃止で一番損をするのは既存株主
仮に東芝が上場廃止処分となれば、信用力やレピュテーション(世評)が低下する。マーケットからの資金調達が困難になるという不都合を与えることにもなる。悪質な「不適切」会計事件を起こした以上、そのくらいの罰を与えるべきという主張もある。
しかし、上場廃止されて一番困るのは既存株主である。既存株主は何らの罪もないのに虚偽記載による株価下落の損失を被った上、保有株式をいつでも自由に売ることができる流動性を失い、それに伴う一層の株価下落の損失を被るという、ダブルパンチを受けることになる。
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