消費者物価:2年4カ月ぶりマイナス 8月0.1%下落
毎日新聞 2015年09月25日 08時51分(最終更新 09月25日 13時01分)
総務省が25日発表した8月の全国消費者物価指数(2010年=100、価格変動の大きい生鮮食品を除く)は前年同月比0.1%下落の103.4となり、日銀が大規模金融緩和を始めた13年4月以来2年4カ月ぶりにマイナスに転じた。原油価格の下落が主因。
日銀は「デフレ脱却」を掲げ、2%の物価上昇率を目指しているが、緩和開始直後の13年5月以降で初めてマイナスに陥り、2%目標達成の道のりが険しいことが浮き彫りになった。
品目別にみると、上昇は339品目、下落は131品目、横ばいは54品目だった。昨年秋から続く原油安の影響で、エネルギー関連が軒並み下落。電気代が前年同月比5.1%、都市ガス代が9.5%、ガソリンが17.8%それぞれ下落し、いずれも下げ幅は7月より拡大した。
一方、円安で輸入価格が値上がりした影響などで、菓子類や油脂.調味料などの食料(生鮮食品除く)は1.8%上昇した。テレビや洗濯機などの耐久財も上昇した。
消費者物価指数は13年4月までマイナス基調が続いていたが、翌5月に横ばいになり、6月からプラスに浮上した。14年4月には上昇率が1.5%(生鮮食品と消費増税の影響除く)に達したが、原油価格が下落に転じた14年秋以降は上昇率が縮小していた。
先行指標となる東京都区部の9月の消費者物価指数(中旬速報値、生鮮食品を除く)は、エネルギー関連の値下がりを主因に前年同月比0.2%下落し、3カ月連続のマイナスだった。
総務省は、今後の見通しについて「原油安の影響を除けば物価の上昇基調は続いている」と説明している。しかし、市場では「日銀が目指す2%の物価上昇を1〜2年で安定的に達成するのは難しい」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)との見方が強い。【和田憲二】