ストップモーションアニメーションの魔術師、PESが創り上げるHondaの世界!オール手描き&手作業の紙めくりCM「Paper」!!

2015.10.14 Wed

 

Honda「Paper」
dir: PES|a: RPA|prod co: RESET|ex pr: Jen Beitler, Jeff McDougall|pr: Stan Sawicki|DoP: Eric Adkins|prod de: John Joyce|ed: Stewart Reeves|sound de: Factory UK
今までに、トリックアートが際立つ「An Impossible Made Possible」や、クロースアップマジックのような「Hands」、そしてドロステ効果を用いた「Endless Road」と、実に様々なCMを作り続けているHonda。映像表現にもこだわる世界的機械工業メーカーが次なるCMに選んだのは、ストップモーションアニメーター、Adam Pesapane(アダム・ぺサペイン)こと、PESの世界。時代を代表するストップモーションの魔術師だ。そんなPESが描くHonda「Paper」は、PESお得意の“身近なモノ”の代名詞、“紙”にひたすらこだわるペーパーストップモーションアニメーションで創り上げられている!

紙をめくりながら繰り広げられるHondaの歴史。オートバイ、車、ボート、そして飛行機までと、エンジンを中心に今までに作られた製品が紹介され、会社の発展と開発の軌跡をわずか2分でじっくり見ることができる。特に、オープニングのシーンで見られる原動機付自転車、通称“バタバタ(爆音が由来)”は、本田宗一郎氏が妻である、さち氏の自転車に、陸軍の無線機発電用エンジンを搭載して作り上げた記念すべき最初の製品だ。また、途中で登場する、ギネス記録を持つ世界最速芝刈機や、二足歩行ロボットASIMO(アシモ)といった製品も顔を揃え、ラストは2016年に発売予定の新世代スーパースポーツカーモデル、新型NSXで締めくくられている。

Hondaの宣伝部の部長補佐Tom Peyton(トム・ペイトン)は、本作で紙をめくり動きを紡ぐアニメーターたちのことを“ペーパーエンジニア”と称する。それは、Hondaが今でも車や部品のスケッチに紙を使い、原点としていることから、紙から生み出される力を讃えているからなのではないだろうか。

「Paper」のメイキング映像
PESにとってはこれまでのストップモーションとは趣の違う手法を取り入れた本作。4ヶ月という制作期間を経て完成した「Paper」は、全て手描き、そして手作業で行っている。予めCGIのプレビズでアニメーションの動きを確認し、大勢のアニメーターとイラストレーターで絵を描く。その数なんと約3,000枚!紙質も、時代が進むに連れ、色あせたものから新しいものになっている心憎い演出だ。それを、アナログでワンフレーム毎、手で動かしカメラで撮影。最後のロゴのシーンは、6~8名のアニメーターによって紙がめくられている。まさにチームワークと入念なるプリプロによって成し遂げられた映像だ。

「本作では、アニメーターそれぞれに任せることがすごく重要でした。自分が全てをコントロールするのではなく、ある程度任せることによって、アニメーター自身が自発的に動き、それが毎回のテイクでユニークなパフォーマンスをしてくれるのです」(PES)

2013年のアカデミー賞ノミネート作品「Fresh Guacamole」、ジュエリーデザイナーDelfina Delettrez(デルフィナ・デレトレズ)とのコラボレーション・ショートフィルム「Black Gold」と、見る者を唸らせ続けてきたPES。本作「Paper」のラストの一文に込められた“You never know where a dream will lead you(夢が運んでくれる場所は無限大)”からは、発想への勇気と信念を感じる。新境地に挑んだPESのクリエイター魂を堪能してほしい!
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