紙をめくりながら繰り広げられるHondaの歴史。オートバイ、車、ボート、そして飛行機までと、エンジンを中心に今までに作られた製品が紹介され、会社の発展と開発の軌跡をわずか2分でじっくり見ることができる。特に、オープニングのシーンで見られる原動機付自転車、通称“バタバタ(爆音が由来)”は、本田宗一郎氏が妻である、さち氏の自転車に、陸軍の無線機発電用エンジンを搭載して作り上げた記念すべき最初の製品だ。また、途中で登場する、ギネス記録を持つ世界最速芝刈機や、二足歩行ロボットASIMO(アシモ)といった製品も顔を揃え、ラストは2016年に発売予定の新世代スーパースポーツカーモデル、新型NSXで締めくくられている。
Hondaの宣伝部の部長補佐Tom Peyton(トム・ペイトン)は、本作で紙をめくり動きを紡ぐアニメーターたちのことを“ペーパーエンジニア”と称する。それは、Hondaが今でも車や部品のスケッチに紙を使い、原点としていることから、紙から生み出される力を讃えているからなのではないだろうか。
「本作では、アニメーターそれぞれに任せることがすごく重要でした。自分が全てをコントロールするのではなく、ある程度任せることによって、アニメーター自身が自発的に動き、それが毎回のテイクでユニークなパフォーマンスをしてくれるのです」(PES)
2013年のアカデミー賞ノミネート作品「Fresh Guacamole」、ジュエリーデザイナーDelfina Delettrez(デルフィナ・デレトレズ)とのコラボレーション・ショートフィルム「Black Gold」と、見る者を唸らせ続けてきたPES。本作「Paper」のラストの一文に込められた“You never know where a dream will lead you(夢が運んでくれる場所は無限大)”からは、発想への勇気と信念を感じる。新境地に挑んだPESのクリエイター魂を堪能してほしい!
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