October 13, 2015
■今日のお題・・・・・・・・・・『第四の核』(1986年 英)
(原作:フレデリック・フォーサイス 監督:ジョン・マッケンジー 出演:マイケル・ケイン ピアース・ブロスナン ジョアンナ・キャシディ ネッド・ビーティ他)
1987年、晩冬のモスクワ。KGBの非合法活動局に所属するバレリー・ペトロフスキー少佐(ピアース・ブロスナン)は、KGBの書記長であるゴボルシン(アラン・ノース)の密命を帯び、ジェームズ・ロスと名前を偽ってイギリスへの入国を果たす。一方、英国情報局保安部“MI−5”に属する工作員、ジョン・プレストン(マイケル・ケイン)は、手柄を立てたにも関わらず、度重なる上司との衝突から閑職である港湾担当へと左遷されてしまった。そんなある日、プレストンはソビエト人船員の事故死を切っ掛けにして思いもしない物を手に入れる。どうやらそれは小型核爆弾の一部らしく、“MI−5”は英国を舞台にするであろう、恐るべきテロ計画の断片を見るのだが・・・
本作は世界的なベストセラーとして映画化された事でも有名な「ジャッカルの日」、「オデッサ・ファイル」、「戦争の犬たち」で知られるジャーナリスト出身の作家、フレデリック・フォーサイスによる同名小説を原作とし、フォーサイス自身が脚本も担当して、『ジャック・ルビー』(1992年)のジョン・マッケンジー監督の演出で映画化されている。秘密裡に英国に入国したKGB工作員を追う英国情報局保安部“MI−5”所属のジョン・プレストンに原作者と共に製作総指揮にも名を連ねるマイケル・ケイン、そして英国を舞台に恐るべきテロ計画が企てるKGB書記長直属のバレリー・ペトロフスキー少佐にはピアース・ブロスナンが扮した、日本劇場未公開のスパイ・ドラマ。
で、銃器ネタ・・・この作品が公開された頃は未だソビエト連邦が崩壊していなかったと思うのだけれど、そんなんだから劇中に登場するマカロフPMを何度も巻き戻しては眺め、マガジンに大きなスリットが入っている事にウットリした記憶があります。またimfdbなんかをチェックしてみると西側のメジャーな作品で初めてマカロフが登場したのが『007 オクトパシー』(1983年)と記され(ほー)、そう云えば“オクトパシー”って本作の主人公が使用するワルサーP5も初出だった記憶があるなぁ・・・案外、小道具屋さんが同じだったのかも知れないねぇ。にしても序にP5のフィルモグラフィーを見てみるとかなり少ないと云うか、残念ながら、これでは日本で玩具銃が出なかったのも仕方がないと云うモノだ(号泣)。
上画像:KGBの秘密施設を警備するソ連兵達が使用するのはAK47&AKS47アサルトライフルだ(残念ながら発砲は無し)。
上画像:またKGBの少佐が使用していたマカロフPM。んで、実際のキム・フィルビーって、どんなふうに死んだんだろ。
上画像:英国に入国したKGB工作員が使用するマカロフ。異国に来てまでマカロフである必要もないと思うなぁ(笑)
上画像:右が主人公、ジョン・プレストン役のマイケル・ケインが持つワルサーP5(左はブローニング・ハイパワー)。
上画像:残念ながらP5もハイパワーも発砲シーンは無く、その代わり、マガジン(P5)へ弾を込めるシーンがあります。
上下画像:テロリストを制圧すべく投入された英軍コマンドゥ部隊員(多分、SASなのだろう)。上の髭さんは暗視スコープ?が乗ったらしい設定のFN社製FAL L1A1アサルトライフル、その他大勢(下)がH&K社製MP5A3短機関銃でした(MP5は発砲あり)。
それで大昔、「このビデオを見ろ!アクション篇」に紹介されていた輸入盤ビデオのページでその存在を知り、日本版がレンタルされるのを首を長くして待っていました。そんな風にして初めて観たのだけれど(レンタル・ビデオ)、今回はイマジカBSのハイビジョンで観られる事が出来て嬉しかったなぁ・・・正直、使用された銃器以外、あまり憶えていなかったんだが(笑)、綺麗な映像によるオリジナルの態を知る事が出来て良かったよ。で、原作、脚本、製作にまでフォーサイスが関わり、ソ連崩壊直前の諜報戦をクールに見せてくれていて、MI‐6在籍ながらソ連に亡命してしまったキム・フィルビーが登場し、その粛清から物語は始まるのだけど、フォーサイスらしいジャーナリスティックな切り口と冷徹な諜報戦が垣間見られるような仕掛けには大興奮。ただ“007”的要素は一切なく、ゴージャスな美女が妖艶に振る舞うと云う訳でもないので、その点を踏まえ、これはこれ、それはそれ、と割り切って楽しまれたし。まぁ、それにしても主演のマイケル・ケインのクールな事、また“5代目007”に抜擢される前のピアース・ブロスナンのイケメンな事、この二つの魅力が交わり、俳優にも魅せられる作品となっております。あー、それから当時、“第四の核”とか“第三の選択”とか流行ったような記憶があるのだけれど(笑)、話変わって兎に角、戦後70年、このようなテロ事件が起こらなかったのは本当に良かった。独特の選球眼から創り出された社会派であり、スパイ物でもあった物語、国際情勢を語る道具として良く出来た手法の一つだと思われ、思うような華はなかったんだが(ハハハハハ)、一部、歴史を回顧するのにもピッタリな作品でしたな・・・お薦め。