鬼怒川からの大規模な水害が発生した茨城県常総市若宮戸で、川沿いに建設されたソーラー発電施設が越水原因と住民が訴えている問題で、業者が掘削し、国交省が土のうを置いた部分のすぐ上流と下流に残された自然堤防では、越水は起きていなかったことが、国交省への取材で14日、分かった。
施設が建設された場所には木に覆われた砂丘があったが、ソーラー業者が延長約150メートルにわたり、砂丘を掘削。住民の要請を受け、国交省がソーラー業者に土地を借り、大型土のうを置いていた。しかし、水害時にはこの部分を、鬼怒川から流れてきた大量の泥水が通っていた。
国交省は13日、掘削工事前の自然堤防の平時の水面からの高さは、低いところで21・36メートル、高いところで24・21メートルだったと発表。水害時の水位は約22メートルだったといい、掘削工事がなくても、22メートル以下の地点では越水は発生していたと見ている。発表資料によると、22メートル以下だった部分は総延長150メートルのうち、3分の1以下とみられる。
国交省によると、土のうの高さは2段重ねで約1・6メートル。平時の水面からの高さで言うと21・3メートルだったという。住民らによると、川に向かっての奥行きも土のう2つ分で2メートル程度だった。自然堤防の上流側の掘削断面は、高さは川に向かって徐々に低くなるが、奥行きは土のう2個分の少なくとも3倍以上はあった。
土のうの水害に対する強度が、掘削前の自然堤防と同等以上だったかどうか、国交省は「分からない」としている。水害時に土のうが何個流失したかについても分かっていない。
国交省によると、この地点より約600メートル下流部では別の自然堤防の越水があり、地表が深さ6メートル掘られていた。掘削工事がなければ、自然堤防の低い部分を泥水があふれる程度だったのか。別の自然堤防の越水部と同様だったのか。延長150メートルに渡って泥水の通り道になっていたのか。掘削工事や土のうの積み方が、泥水の量や勢いに与えた影響は、分かっていない。