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【世界記憶遺産】
ユネスコ分担率、日本トップも影響力なし 米は支払い停止中
米国の復帰のきっかけは、99年に事務局長に就任した松浦晃一郎元駐仏大使による事業計画の見直しなどの改革の実現が大きかった。だが、後任のボコバ事務局長(ブルガリア)になってから、「松浦氏が行った改革の精神が引き継がれているのか」(日本政府関係者)と懸念する声もある。米国などもパレスチナ問題などを例に挙げ、目的以外の案件に焦点を当て政治利用しているなどと批判している。
今回、記憶遺産事業が中国によって政治利用されたことについて、日本政府関係者は「中国だけでなく、韓国も歴史カードがどう使えるかを常に考え、ユネスコ内部から情報をつかんでいた」と分析する。
幹部ポストに中韓
ユネスコの主要幹部ポストには中国人と韓国人がいるが、日本人は現在、ゼロだ。また、記憶遺産事業では、中韓はアジア太平洋地域委員会のレベルで活発に活動しているのに対し、日本の存在は確認できない。
地域委員会は、記憶遺産の登録の可否を事実上確定する国際諮問委員会(IAC)の下部組織、登録小委員会と連携があるとみられ、今回の「南京」の登録には「小委員会レベルでの中韓の影響力が大きかった」と見る政府関係者もいる。