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【世界記憶遺産】
ユネスコ分担率、日本トップも影響力なし 米は支払い停止中
国連教育科学文化機関(ユネスコ)で、日本は分担金の比率では事実上のトップだが、それに見合う影響力を行使できていない現状が浮き彫りになった。かつては日本人外交官が事務局長ポストに就き、組織改革を進めたこともあるが、下部組織にも人脈を広げる中国への対抗措置は喫緊の課題だ。
国連分担率は3年に1度、国連総会で見直され、今年は2016年から18年までの3年間の分担率が決められる。分担率はその国の経済力などを勘案して算出され、ユネスコなど関係機関に適用される。日本の分担率は10~12年は12・53%で、13~15年は10・83%となった。中国は経済成長に伴い、3・18%から5・14%に引き上げられ、今後も上昇するとみられる。
最多の分担率である米国は支払いを停止中だ。イスラエル寄りの米国は、11年のユネスコ総会でオブザーバー資格だったパレスチナの正式加盟が認められたことから国内法に従い、支払いを停止した。
米国は1984~2003年の約20年にわたり、脱退したこともある。原因は1970年代のムボウ事務局長(セネガル)体制下でのユネスコの政治化や放漫経営、縁故人事の蔓延(まんえん)だったとされる。英国も米国に追随し、85年に脱退(97年に復帰)。日本や西ドイツ(当時)なども脱退を検討した。