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超音速機が「空を引き裂く」画像を、NASAはどうやって撮影したのか

超音速機の飛行中に発生する衝撃波や、高速道路を走るトラックのエンジンの煙など、空気密度の変化を安価な装置で簡単に撮影できる手法を、米航空宇宙局(NASA)が開発した。

 
 
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VIDEOS BY NASA ARMSTRONG FLIGHT RESEARCH CENTER
PHOTOGRAPH COURTESY OF NASA
TEXT BY K.G ORPHANIDES
TRANSLATION BY TAKU SATO, HIROKO GOHARA/GALILEO

WIRED NEWS(UK)

カリフォルニア州にある米航空宇宙局(NASA)アームストロング飛行研究センターの研究チームが、超音速衝撃波を画像で捉える新しい手法を開発した。明るい光源か、小さな斑点模様を背景にして超音速飛行機を撮影することで、衝撃波を容易にとらえられるという。

NASAが特許を出願している「Background-Oriented Schlieren using Celestial Objects」(天体を用いたバックグラウンド志向シュリーレン)という新しい手法では、カメラと背景の間を通過する衝撃波の空力的な流れによって生じるひずみを視覚化できる。

この手法で必要になるのは、単純な光学装置と、適度な模様がある背景のみだ。背景は、クレーターがあちこちに空いた月面でも、一定のフィルターを通して黒点などが見えるようにした太陽でもよい。画像は、特殊な数学的画像処理アルゴリズムによって、さらに見やすく加工されるという。

場所により屈折率が違うとき、その部分にしま模様やもや状の影が見える「シュリーレン現象」をとらえる従来の「シュリーレン法」では、複雑で注意深く位置合わせをした光学装置を使用して、超音速物体の周りにある空気の密度の違いによって生まれる屈折光線を撮影する必要があった。この手法ではたいていの場合、別の飛行機にカメラを据え付け、眼下の砂漠を模様のある背景として利用できるように設定して、衝撃波が通過するところを撮影することになる。

また、過去に何度も利用された地上ベースのシュリーレン撮影システムでは、太陽の縁を光源として利用する必要があったため、飛行機が太陽面に入るときと太陽面から出るときの二度しか衝撃波を観測できなかった。

これに対し、アームストロング飛行研究センターのエンジニアであるエドワード・ヘーリングは、カルシウムK(CaK)線フィルターを使用して太陽の不均一な彩層が見えるようにすれば、超音速衝撃波によって生じるひずみを簡単に捉えられることを発見した。このおかげで研究チームは、「1つの衝撃波を多数回とらえられるようになったため、カメラシステムの速度と精度が大幅に向上した」という。

「太陽のような天体を背景に使用することは、飛行中の飛行機を撮影するときに大きなメリットがある」と、アームストロング飛行研究センターの調査員マイケル・ヒルは言う。

「地上で画像システムを使用すれば、フォーカスが合う距離にいる限り、対象の飛行機がどのような高度にあっても構わない」(ヒル氏)

チームが撮影した衝撃波の映像や写真は、眼を見張るほどの出来栄えだ。さらに、システムも安価で、研究チームの試算によれば、同じようなシステムをつくるには3,000ドルほどあれば十分だという。

このシステムを利用すれば、亜音速機や高速道路を走るトラックなどさまざまなものを対象に、翼の渦やエンジンの煙といった他の空気密度の変化を捉えることも可能だ。

 
 
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