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教研集会不許可、2審も「違法」 橋下・大阪市側の賠償責任は取り消し
橋下徹大阪市長の肝いりで制定され、労働組合への便宜供与を禁じた市の労使関係条例に基づき、市教職員組合(市教組)の教育研究集会に小学校を使わせなかった処分は違法として、市教組が市に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が13日、大阪高裁であった。角隆博裁判長は「不適正な組合活動があったとは認められず、労使関係を阻害するような便宜供与には当たらない」として1審大阪地裁判決に続き、処分を違法と判断した。
一方で、処分を決めた校長の過失については、労働組合の使用を一律不許可とするよう要請する市教委の通知があったことを踏まえ、「無理からぬ面があった」と国家賠償法上の責任は否定。市への約41万円の賠償命令を取り消し、市教組の請求を棄却した。
高裁判決によると、労使関係条例は橋下市長就任後の平成24年8月に施行。12条で「組合活動に関する便宜供与は行わない」と規定された。
市教組は遅くとも19年ごろから、市から学校使用の許可を受けて教研集会を実施。24年9月と25年9月も「在日朝鮮人教育」「平和教育」などをテーマにした教研集会で使用許可を申請したが、いずれも同条例を理由に不許可とされた。
判決で角裁判長は、条例12条は労働組合への便宜供与を一律に禁止したものではないと指摘。「適正かつ健全な労使関係の確保」という観点から、便宜供与の是非を個別に検討する必要があるとの判断を示した。
そのうえで教研集会について「教員の自主的研修の側面があり、適正な労使関係を阻害しない」と判示。学校使用の必要性などを十分考慮せず、校長が12条のみを根拠に今回の不許可処分を出したとして「裁量権を逸脱し違法だ」と述べた。