マイナンバー汚職 逮捕された中安容疑者、異能のノンキャリ

産経ニュース / 2015年10月14日 7時58分

出頭要請を受け、警視庁に向かう中安一幸容疑者=13日午前8時34分、さいたま市(橋本昌宗撮影)(産経新聞)

 ■派手な服装・人脈を吹聴

 中安一幸容疑者は、ノンキャリアながら民間の医療関係者やIT関係者に太いパイプを持ち、その服装や言動などから「異能の官僚」とも呼ばれた。

 ウエーブのかかった髪に鼻まで下がった眼鏡。白いジャケットを着て13日朝に警視庁に出頭した中安容疑者の姿は、およそ一般的な官僚のイメージとはかけ離れていた。

 中安容疑者は高校卒業後の平成3年、国立病院の事務官として採用され、17年に係長として厚生労働省の本省に転任。19年以降はシステムの導入や企画立案を担当した。

 「情報を電子化することで将来の医療の質は間違いなく高まるはず」。医療分野のIT化の専門家として中安容疑者は雑誌のインタビューに応じ、こう持論を展開していた。北海道大や東北大で大学院の客員准教授を務めた時期もあったほか、産官学による研究団体にも所属していた。

 中安容疑者と一緒にシンポジウムのパネリストを務めたことがあるIT業界の関係者は「自分の考えを持って明快に説明していくことから業界内にファンも多かった」と振り返る。

 だが、省内では別の側面も見せていたようだ。

 ある厚労省職員は、中安容疑者がワインレッドのシャツに黒のネクタイ、くるぶしまでの長いトレンチコートと派手な身なりで省内を歩いていたことを覚えている。「金回りがいい人だな」。この職員はそう感じたという。

 「外にパイプがあり、いつでも役所は辞められる」「自分に近い国会議員もたくさんいるし、人脈は持っている」。厚労省の中堅官僚は、中安容疑者がそう吹聴する姿が印象に残っている。「勉強家だが野心家でもあった」と振り返る。

 マイナンバー制度に消極的な上司にも積極活用を強く主張していた中安容疑者。別の厚労省職員は「能力が高く、代わりの人材もいないからずっと同じ部署に置かれていたのだろう。上司も彼があまりにベテランで、逆らえない雰囲気があったのではないか」と推測している。

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