ギフト券が当たる! ニュースサイト毎日新聞 アンケート実施中

軽減税率:安倍首相、導入固める 消費増税と同時検討 

毎日新聞 2015年10月14日 08時30分

安倍晋三首相
安倍晋三首相

 安倍晋三首相は13日、食料品など生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率を導入する意向を固めた。2017年4月に予定される税率10%への引き上げと同時の導入を目指す。首相は近く、自民党税制調査会に具体策を検討するよう伝えるとみられる。軽減税率の導入を求める公明党と慎重な自民党との税制協議は難航していたが、首相が導入の意向を固めたことで、協議が大きく動き出すことになりそうだ。

 菅義偉官房長官は13日の記者会見で、軽減税率について「消費税引き上げの際に同時に導入するのは極めて自然なことだ」と強調した。財務省はマイナンバーカードを活用する還付金制度を提案していたが、菅氏は「少なくとも財務省の案ではない」と撤回することを明言。「できるだけ速やかに方向性を決めることが大事だ」と述べ、自民党に具体策の検討を促した。

 軽減税率を巡っては、自民党内では事業者の経理事務負担が重いとして慎重論が根強く、与党協議が難航。自公両党の税調幹部が財務省に指示して作成したのが還付金案だった。ただ、与党は昨年12月の衆院選の共通公約で軽減税率の「17年度からの導入を目指す」と明記した。過去3回の国政選挙で「軽減税率実現」を訴えた公明党は猛反発し、還付金案にこだわる自民党の野田毅税調会長との溝が深まっていた。

 首相は野田氏を事実上更迭し、後任に宮沢洋一前経済産業相を充てる人事を内定しており、軽減税率を巡る協議の行き詰まりを打開させる考えだ。公明党も、軽減税率の導入が担保されれば、対象品目の線引きなどについて柔軟に協議に応じる意向だ。

 与党は合意が得られ次第、年末の16年度税制改正大綱に軽減税率を盛り込む。対象品目などについて一定の周知期間が必要で、来年の通常国会に軽減税率を導入する消費増税法の改正案を提出。夏の参院選までに成立させる方針だ。

 宮沢氏は13日、高村正彦自民党副総裁らと会談。「インナー」と呼ばれる非公式幹部会の人選などについて意見交換した模様だ。週内に税調の幹部人事をまとめ、来週以降、公明党との協議を再開させる見通し。自民党内には財源面などから異論も残っており、具体的な制度設計を巡る自公両党の綱引きが続きそうだ。

 麻生太郎副総理兼財務相は13日の記者会見で「与党税制協議会でそういう結論(軽減税率導入)に達したというなら、それを受けてわれわれは作業する」と述べ、与党の結論を尊重する考えを示した。【高本耕太、大久保渉】

 ◇軽減税率

 食料品など生活必需品に限定して適用される標準より低く抑えた消費税率。低所得者ほど税負担が重くなる逆進性の緩和が目的。日本の消費税に相当する付加価値税を導入している欧州では、食品や新聞・書籍などに適用している。消費税は2017年4月に10%に引き上げられる予定で、軽減税率は15年度与党税制改正大綱で「17年度からの導入を目指す」と明記された。対象品目を幅広く取ればその分、家計負担は軽くなる一方、消費税の税収は減る。

最新写真特集