閣僚ですら理解していない
第3次安倍改造内閣が発足した。党役員と主要閣僚10人を留任させる一方で、初入閣を9人誕生させたが、マスコミ各社の論評は「目玉に乏しい」といったものが目立った。
そんな中で唯一新しさと言えたのが「1億総活躍担当相」。安倍晋三首相に近く、主要閣僚への起用が噂されてきた加藤勝信・官房副長官が当てられた。
安倍首相が自民党総裁再選に際して打ち出した「アベノミクス第2ステージ」の中核を成すのが「1億総活躍」というコンセプトである。「目指せ『1億総活躍』社会」として、「家庭で、職場で、地域で、誰もがもっと活躍できる社会」を作るとぶち上げた。それを実行に移す担当大臣が「1億総活躍相」というわけだ。
だが、「1億総活躍」と言って、具体的に何をやろうとしているのか。現段階では、まったく分からない。
地方創生担当相に留任した石破茂氏ですら、記者会見で、「(1億総活躍は)最近になって突如として登場した概念。国民の方々には『何のことでございましょうか?』という戸惑いみたいなものが、全くないとは思っていない」とまで述べたと報じられた。つまり、閣僚にすらきちんと理解されていないという代物だというわけだ。
そもそも「3本目の矢」はどこへ?
その1億総活躍社会の、実現に向けた「新3本の矢」にしても勢いに欠ける。「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」という、具体策に乏しい標語を並べただけ。
これまで世の中の期待を盛り上げてきた「アベノミクスの3本矢」を、一気にかすんだ存在に変えてしまったと言っても過言ではない。
新3本の矢の目標も「GDP(国内総生産)600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」としたが、では、どうやってGDPを600兆円にしていくのか、という具体的な政策は、まったく見えない。単に数字を掲げるだけなら誰でもできる。
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