北海道旅客鉄道(JR北海道)は13日、2016年3月26日に開業する北海道新幹線(新青森―新函館北斗)の運賃を発表した。首都圏と結ぶ東京―新函館北斗間の普通車指定席は特急料金と合わせて2万2690円と、競合する航空路線より2割弱安くした。ただ、海底トンネルなどの整備コストでJR他社の新幹線より割高なため、集客面に課題がありそうだ。
新青森以南は東日本旅客鉄道(JR東日本)が運行する東北新幹線と直通運転する。東京から新函館北斗までの運賃は、ビジネス客らが使う羽田―函館間の航空運賃(早期割引の中心価格帯)より2割弱ほど安く設定しており、利用客を取り込む狙いだ。
仙台から新函館北斗までは1万7310円、新青森からは7260円とした。ファーストクラスに当たる「グランクラス」は、東京から新函館北斗までで3万8280円となる。
ただ、JR他社の新幹線に比べると割高だ。JR北海道によると、北海道新幹線の1キロあたりの特急料金は東北新幹線の1.52倍で全国で1番高くなった。
理由は整備コストの高さだ。積雪寒冷地のうえ、営業区間の5割以上を貨物列車と共用で走る特殊な線路で、安全のために新しいシステムを導入。通過する世界最長の海底トンネル・青函トンネルも、開業から約30年が経過し、老朽化対策が欠かせない。
社内では国に支払う線路などの使用料を見込み、特急料金をより高くする議論もあったという。札幌市の本社で記者会見した三浦雅行営業部専任部長は「航空機と全く勝負にならないような価格にしても(乗客を確保できない)という議論があった。およそこのくらいと値ごろ感を見いだした額」と、料金設定の難しさを強調した。
競合する航空業界では運賃について「影響は限定的」との見方が多い。一般に移動時間が4時間を切ると航空機より新幹線が有利とされるが、東京―新函館北斗間は微妙なライン上にある。航空大手の間には「開業効果で旅客需要が喚起されれば、共存は十分可能だ」との声もある。
大手旅行会社の担当者は「飛行機に比べて大量に送客できる」と期待する一方、「運賃は割高感がある。飛行機を意識して旅行会社の仕入れ価格に柔軟に対応して欲しい」と注文をつける。
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