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商社マンの社畜日記

社畜になってしまった商社マンによる会社非難

実録:海外で残業200時間するとこうなる。

仕事について 商社マンライフ

トピック「残業」について

 

僕もこの社畜自慢の悪い流れに乗ろうと思う。月300時間残業した人もいるみたいで、流石にそれには勝てないけれど、僕は海外で残業した経験があるので、それでこの流れに乗る。

 

前提:残業代はゼロ

海外にいる間は残業代はゼロ。そもそも定時という概念が海外に出ると消失するので、残業はない。故に残業代もゼロという魔境。

ちなみに僕は、海外出張に出る前も国内で月100時間以上の残業を6ヶ月以上連続で行っていた。産業医からは部署に対して改善命令が下っていた。「法に反しているし、このままだと心身に深刻な影響をおよぼす」という感じだ。

でも上司からの言葉は、「もう早く帰れ」ではなかった。「お前残業時間そろそろヤバイだろ?海外に避難しろ」そんな有難いお言葉を賜り、僕の「目的不明」の海外出張が決定した。

時は年明け直後。こういう時の出張では、帰国時期を未定で申請するのが慣習である。何故なら、年度明けになって年度残業時間がリセットされるまでは帰国許可が下りないからだ。僕は日本にいては法に触れる存在なのだ。こうして僕はサウジアラビアへの片道切符を受け取った。

 

見た目を気にせず生活できる。

日本でなぜ多少なりとも身なりに気を使うかと言えば、それは女性がいるからだ。対男性を意識してオシャレにカネを使うことはまずない。男の消費には8割以上女性が絡んでいる。これは世の常だ。

しかし、サウジには日本にいる可愛い一般職の女の子たちはいない。というかアジア人の女性を目にする機会がそもそもない。国の規制で大人の如何わしいサイトも見れないから、日本人女性はもはや漫画のキャラクターと同類項、想像上の生物だ。

僕は寝癖を直すのも、ワックスを付けるのも辞めた。ヒゲを剃るのも一週間に一回だ。外見を気にしなくていいって何て楽なんだろう。海外出張最高だ。 

 

憧れのホテル暮らしを経験できる。

何とオフィスからの距離、徒歩2分。休日も駐在員から「お前どうせオフィスの目の前に住んでるんだからすぐ出てこられんだろ?」と気軽に呼出がかかる環境。もう最高!ベランダで涼めば愛しのオフィスがこんにちは。本当に至れり尽くせりで、こんな環境で3ヶ月も過ごせるなんて天国とはまさにこの事なんじゃないかと思ってしまう。

 

財布がペラペラになる(1:残業代0)

上記のとおり残業代をこれ以上払わないために海外に出されているので、残業代は当然ゼロだ。日本にいる間は全額残業代を貰っていたので、相対的に超マイナスになる。ツラいわー。

 

財布がペラペラになる(2:食事)

サウジは飯がマズイ。不味すぎる。だから昼は一箇所しか無い日本食屋で、大して上手くない焼肉丼に4000円払う。これは毎日のMUSTだ。だいたいドレッシング無しでこんな萎びたレタスや渋いトマトをどうやって食えっていうんだ、ふざけるな、いい加減にしろ。

夜はこれまたこんなジャンクフードに3000円払う。退社はいつも真夜中だ。レストランは全て閉まっている。ホテルのルームサービスを利用せざるを得ないのだ。

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財布がペラペラになる(3:カラオケ)

歌うカラオケを想像したキミはまだまだウブだ。これは隠語だ。この凄まじくカネのかかるカラオケという趣味が如何なるものか教えてやろう。

サウジは最もイスラム教の戒律が厳しい国だ。酒は当然飲めないし、30歳以下の日本人女性は基本的に入国すら出来ない。そこで欲求不満な駐在員のジェントルマンたちはどうするか?

答えは隣国イエメンだ。(サウジからは陸路で簡単に入国可)

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イエメンやドバイにカラオケがあるのだ。手順を説明しよう。まず若手は好きな曲を入れまくり、ひたすら歌いまくる(ちゃんと日本語の歌もある)。しかし、これは真の目的を隠すためのイチジクの葉に過ぎない。僕の歌のテンションが最高潮に達した頃、胸がはだけた、ミニスカートでスタイル抜群のお姉ちゃんたち(東南アジア系)が番号札を付けてぞろぞろと入場してくるのだ。後は上司から好きな子を指名して、各々の家orホテルに消えていく、というわけだ。

言っておくが、僕は変態ではない。日本ではまず大人のお店などにはお世話にならない。いいか、海外にいる間は強制なんだぞ。僕は仕方なく参加しているんだ。「お前、溜まっるくせに。一人だけ聖者ぶるなよ。」みたいな感じだ。 いいか、これは仕事だ。仕事なんだ。

 

24時間・週休0日で働けるようになる。

これが何より素晴らしいところ、本当に。イスラム圏は金土が休日だ。でも日本からの出張者である僕は日本に合わせて働くから、金曜日は当然出勤しなくてはならない。そして唯一の休養日である土曜日は上司にオフィスに呼び出されるか、カラオケに連行かの二択。

加えてサウジアラビアとの時差(−6時間)がくせ者だ。会社の人間はもちろん、他社の人間まで日本時間ベースで容赦なく電話をかけてくる。特に、他社の人に対しては「気付かれない限りさも日本にいるかのように対応しろ」って言い付けられているから、朝の3時に電話が鳴っても僕は寝ぼけながら「こんにちは!」ってベッドの上で営業スマイルを作るわけ。まさにサイボーグだな。

 

人間関係が崩壊する。

朝も夜も働き通し、休日もなし。常に東京の上司からもサウジの上司からもプレッシャーをかけ続けられるから、常に日々を生き延びることで必死。だから、忙しすぎて案外日本への望郷の念とかはわかないし、ホームシックなど全く無縁。むしろ、2ヶ月も経つと、日本が別世界のように感じてきて、日本で生活していた自分をリアルに想像できなくなる。「あれは夢だったのか?」というのは言い過ぎだが、まあそんな感じだ。

すると、人間関係を正常に保とうという気力が失われる。友達からのLINEは未読スルーして、友情がブレイクする。彼女の誕生日を忘れて炎上する。母からのメールを無視して「事故にでも巻き込まれたのかも」と会社に電話が行く。

これらを全部悪気なくやってしまう精神状態になるのだから驚きだ。そして日本に帰って我に返ってから泣く。 

 

その後

みんなの憧れ海外出張。しかし、そんなものには二度と行きたくなくなる。当たり前だわな。また、国内で残業の限界値を突破するとまた海外に行かされるわけだから、もはやサビ残になることを甘受して敢えてお持ち帰り残業を推進するようになるというおまけも付く。そして終いには、非人道的なペースで働かされると愛社精神が枯渇する。僕のような出世欲でギラギラしていた若者は、こうしてただ会社にぶら下がるだけのヒモになる。

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