北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が10日、朝鮮労働党の創建から70年の記念日を迎え25分間の演説を行った。金第1書記が対外的に生中継された中で不特定多数を相手に公開演説をしたのは、祖父・金日成(キム・イルソン)主席の生誕100年記念軍事パレードが行われた2012年4月に続き、事実上2回目となる。韓国の専門家が、その肉声から心理状態や性格、健康状態などを分析した。
■心理:声のトーンと力強さは3年前の約2倍
12年の演説と比較した最も顕著な「音声の変化」は、声のトーン(高さ)と声量が約2倍になったことだ。忠北道立大のチョ・ドンウク教授(生体信号分析)によると、金第1書記の声のトーンは、前回の演説では成人男性の平均(100-150ヘルツ〈Hz〉)だったのに対し、今回の演説では平均217Hzに上昇した。「国の指導者が自身のカリスマや自信感を示そうとするときに演説のトーンを上げる」(チョ教授)傾向があるという。
声量も増した。崇実大ソリ(声)工学研究所のペ・ミョンジン教授は、金第1書記の声の大きさが前回に比べ84%増したとし「一般的に声量が大きくなったということは心理的な余裕と自信感が生まれたことを意味する」と説明した。
ただ、今回の演説の声量は成人男性の平均よりはやや小さい。チョ教授は、成人男性の声量は一般的に70デシベル(dB)ほどだが、金第1書記は平均66 dBだったと説明。「成人男性に比べ、声のトーンは2倍高いが声量は小さいというアンバランスな声では、聴衆に感興を呼び起こし信頼を与えることは難しい」と指摘した。また、演説で人民に言及したときには声量が平均して2 dBほど上がったとし「人民を強調したいという意図が明確に感じられた」と述べた。