教科書:国定化で支持率低下のおそれ、朴大統領はなぜ決断したのか

「今やらなければ機会を逃すと判断」

 12日、韓国史教科書を国定化する方針が発表されたが、大統領府は特に発表することもなかった。だが、大統領府内部のムードは「国定化を揺るぎなく進めていく」というものだ。大統領府のある関係者はこの日「学界や教育界、野党の反発は予想されたことだ」と語った。いかなる困難があっても正面突破で臨んでいくというわけだ。そこには朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の強い意志が影響していると考えられる。

 大統領府には「国史教科書戦争」を負担に感じている関係者もいる。ある関係者は「保守派の一部でも国定化に対する拒否感はあり、そのため朴大統領の支持率を下げる可能性もある」と述べた。それにもかかわらず朴大統領はなぜ、国定化に固執するのか。大統領府のある幹部は「今(国定化を)やらなければ、この先韓国史教育を正常化する機会はないというのが大統領の判断だ」と話した。

 与党側では「朴大統領は現在の国史教科書がこき下ろしている『建国勢力』と「経済開発主導勢力」の復権を念頭に置いているようだ」という見方が有力だ。朴大統領を国会議員時代から見てきた人たちは「そのような側面がなかったわけではない。一部の国史教科書が朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領に下した評価を、金日成(キム・イルソン)主席に関する記述を比較すると、あまりにもバランスを欠いていると感じられる」と語った。

 一方、大統領府の関係者たちは別の見解も示した。ある関係者は「統一時代を目前にした時点で、青少年の歴史認識が相当歪曲(わいきょく)されているというのが大統領の判断だ。とりわけ現在の国史教科書が、統一を主導していく大韓民国を誇りに思う気持ちを十分に植え付けられていないことが問題だという認識を大統領は持っている」と話した。その上で「現在の教科書検定制度を補完する方策も検討したが、執筆者が限られていることなど、構造的な問題があるため、最終的に国定化という結論を下した」と述べた。また、2017年度の大学修学能力試験(日本の大学入試センター試験に相当)から韓国史が必修科目となることも、受験生や保護者の負担や混乱を軽減しようという観点から、国定化の決定に影響を与えたという。

崔宰赫(チェ・ジェヒョク)政治部次長
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