「地獄の商人が作った最高の発明品」と呼ばれるノーベル賞。今年のシーズンは、12日の経済学賞発表で幕を閉じた。今年も韓国は、自然科学分野で日本や中国の受賞をうらやんで見るしかなかった。ノーベル賞は、果たして誰が取るのだろうか。個々の自然科学者だけでなく国家間の競争も激しくなる中、ノーベル賞の単独受賞は一層少なくなり、共同受賞が大勢を占めている。「一人でやる科学」は居場所が狭くなったわけだ。大型研究機関にノーベル賞の受賞者が集中している点も、「自分一人の研究」より「一緒にやる科学」の方が重視されていることを示している。
■最近5年の共同受賞率は93%
自分だけの作品世界を重視する文学賞はほとんど単独受賞だが、ほかの分野では、このところ共同受賞が当然視されている。韓国科学技術企画評価院(KISTEP)が、1981年から2010年までの自然科学系のノーベル賞受賞者を分析した結果、共同受賞の比率は78.9%だった。1901年に初の受賞者が出てから10年間の共同受賞は、16.7%にすぎなかった。それが、50年代を起点に5割を超え、2000年代(01-10年)に入ると9割に達した。11年以降今年までの最近5年間は93.3%だ。
KISTEPが調査した1981-2010年の分野別受賞者を見ると、物理学賞の共同受賞比率が86.7%で最も高かった。物理学賞には、粒子加速器や宇宙粒子検出装置のような大型研究施設が必要な研究が多く選ばれたからだ。この期間の自然科学系ノーベル賞受賞者が所属した組織の数は計119で、大学(68)、研究所(40)、企業(7)の順で多かった。米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)とドイツのマックス・プランク研究所は、30年間で10回も自然科学系ノーベル賞を取った。次いで米国のスタンフォード大学が9回、以下ハーバード大学(8回)、カリフォルニア工科大学(7回)、ハワード・ヒューズ医学研究所(7回)の順となった。
■誤報が生んだノーベル賞
ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルが、1895年11月27日に作った遺言状から始まった。ノーベルは、当初から財産を寄付しようとしていたわけではなかった。1888年にノーベルの兄リュドビックが死亡したとき、フランスのある新聞がノーベル本人と錯覚し「地獄の商人が死んだ」と訃報を出した。これにショックを受けたノーベルは、自分の汚名を晴らすため、医学生理学・物理学・化学・文学・平和の分野で賞を作ると決心した。