LG経済研究院は12日、韓国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加する場合、米国や日本などと差別化を進めるなど将来像を描いておくことが重要だとする報告書を発表した。
同院は「TPPが目指す市場開放の特徴は開放する商品やサービスを細かく定めるのではなく、開放から除外する対象のみに言及し、そのリストに含まれなければ全て開放する方式だ」と指摘。その規定によれば、現在は存在せず、今後登場する新製品、新サービスの市場は無条件に開放しなければならなくなるとした。その上で、同院は「今後韓国の産業、企業が米国、日本との差別化に失敗した場合、大変困ったことになりかねない」と懸念した。
TPP合意をきっかけとして、参加国が関連制度の整備を求めてくる可能性が高いため、同院は「韓国はTPP参加に先立ち、社会的合意が必要だ」とも助言した。
同院によれば、TPPが発効すれば、製造業の世界的な生産分業がさらに活発化し、それに関する国家間規制や非公式な障壁の解消論争が激化する可能性がある。そうした論争は一時的には物流費用負担が小さい工程や高付加価値商品、ソフトウエアなどを中心に国家間の産業分業化交渉を促進し、その後は技術、知識、情報分野中心の中小企業による海外直接進出に向け、各国の関連制度整備を求める可能性が高い。
このため、TPP参加前の段階で韓国社会がそうした要求に耐えられるかどうか綿密に検討を行い、社会的合意を得る必要があるとの指摘だ。
一方、同院はTPPの今後を見通すため、参加12カ国による承認、発効の行方を注意深く見守るべきだと指摘した。各国の行政府から立法府にバトンがわ耐えれば、承認プロセスで産業別の利害関係によって対立が生じる可能性があり、そうなればTPPが合意の意味が色あせることになりかねない。
追加参加国に対するTPPレベルでの公式な立場を確認する必要もある。TPPは宣言文で追加加入を歓迎するとしているが、個別国の承認を受ける過程で予想外の「入場料」を求めてくる可能性があるからだ。同院は「TPP追加参加を希望する台湾、フィリピンなどと共同歩調を取ることも検討に値する」とした。
同院はこのほか、中国の反応をはじめ、ドイツなど欧州各国が今後の新たな世界経済秩序の形成過程で米中のいずれを支持するかにも注目すべきだと提言した。