「強烈な右派」の勝利
翁長氏の国連演説は戦略的に失敗だったのではないか、という見方はまだある。会場にいた外務省職員は帰国後、番記者たちにこんな話を漏らした。
「欧州に押し寄せるシリア難民の問題が今回の国連理事会のメインテーマだったにもかかわらず、会場の隅っこの方にいた翁長知事と我那覇真子さんを、日本のマスコミがカメラでバシャバシャ撮っている。こんな光景を各国の代表は、『いったいこの大事なときに何をやっているんだ』という目で見ていましたよ」
我那覇真子は、名護市出身の26歳で、文化放送チャンネル桜の沖縄支部キャスターをつとめている。8月に発足した「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」の代表運営委員も務めるなど強硬な右派として知られる彼女は、「基地移設賛成派」代表の一人として国連人権理事会に参加していた。
そして、翁長氏の訴えについて、こう反論したのだ。
「日本とその地域への安全保障に対する脅威である中国が、選挙で選ばれた公人やその支援者に『自分たちは先住民族である』と述べさせ沖縄の独立運動を扇動しているのです」
ほとんど根も葉もない内容だが、彼女は国連人権理事会の場で、堂々と翁長氏への反論演説をやってのけたのだ。辺野古移設に反対する県内のある保守系議員はこうぼやく。
「これで翁長知事が我那覇のような人物と“同格”に扱われてしまった。もう少し別のやりかたはなかったのか」
そして、こう続けた。
「この『国連演説対決』の“勝利者”は、『先住民族』を主張する一部の民族派と、一部の強烈な右翼だけだ」
沖縄県庁内の不満
もう一つ、県内メディアでは報じられないが、触れておかなくてはならない事実がある。知事のお膝元、沖縄県庁内でくすぶる翁長体制に対する不満の高まりだ。
翁長氏は昨年12月に知事に就任すると、手足となる副知事に安慶田光男氏を起用した。安慶田氏は、翁長氏が那覇市長を務めたときの那覇市議会議長であり、知事選では選対本部長をつとめるなど、翁長氏の側近中の側近だ。
しかしこの安慶田氏の県庁職員に対する態度やメディアへの対応などについて、記者は良い評判を聞いたことがない。
その最たるものが、又吉進・前知事公室長の早期退職の一件だ。
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