結論からいうと勤めていた約1年半に体重が30kg増え、髪は薄くなり、同居していた彼女は行方をくらませたことだ。関係ないがウンコも2回漏らした。もっとも紹介で入った上、業種的にはある程度納得して働いていたものの、あまりの劣悪な労働環境を訴えるべく味方に付けた社労士に裏切られハメられ、社内で村八分を受け、沈黙を貫いていた社長からはある日突然クビを宣告されるという顛末ではあったのですが...
任されていた月20本のアダルトビデオのパッケージデザインがどれほど大変かという話はさておき、参考までに申し上げると僕の定時勤務は9時から18時までで、毎日平24時退社が当たり前だったので6時間オーバー、平日5日で週30時間超。完全週休2日であるものの、金曜日は泊まりで土曜日の夕方まで残務整理でプラス1日時間。その大半の時間はエアコンのブッ壊れた生臭いオフィスでmacのディスプレイに映し出された人妻のマ◯コと格闘するのである。休日に会社の鍵を開けて仕事をしていると上の階の自室から社長が降りてきては、残業はルール違反であるのにスルーしてやっているのだよと恩着せがましくいわれる。イカしてる!
慣れてくると片手でイラレを操作しつつ、片手でAftereffectsのモーショントラッキングでマ◯コにモザイクを入れることが可能になり、時間当たりの生産性が大幅にアップ。ただし「残業は存在しない。ゆえに残業代も存在しない」その頃の手取りは15万円だったし、今日においてもその技術が何の役に立ったことは無い。全然関係ないが、この頃、会社役員と先輩デザイナーが同時に失踪するという事件が起こる。
心身の変化や生活の変化は以下のような感じ。
酒を飲む量が増える
家に帰っても寝れない。寝酒である。毎日駅前のコンビニでビールや缶チューハイを買っては、ベッドで横になりながら深夜アニメと酒を嗜み寝落ちするという生活に陥る。やがて普通の量では足りなくなり500缶の発泡酒、もはやビールではない金麦、TOPVALUのバーリアル、鬼ごろし、大五郎4Lボトルとランクが低下していく。質より量。酒は救い。
体調がおかしくなる
ちょっと太ってきたかな、と思ったところで体重急増。顎の下には肉がつき、頭頂部にハゲが出現。体中に老人のような脂肪できものが現れ、片足立ちで靴下が履けなくなり、地下鉄の階段で息が上がる。慢性的な下痢になり、夏の後半あたりからEDに、そして25歳にして帯状疱疹と不整脈を発症。最高血圧は189を超える。
急に暴力的になる
終電でトボトボ駅前を歩いていると、大量に並んだ違法駐輪されたママチャリを見ては、蹴り飛ばしたり、なぎ倒したりしたくなる。酔っ払いが喧嘩を売ってきた時も、帰った後に腹立たしく何度も何度も包丁でめった刺しにするシミュレーションとかしていたりした。誰にも心配されないからエラいことやってやろうという気になる。
見た目が残念になってくる
毎朝髭をそり、シャワーを浴び、アイロンを掛けたワイシャツで出社していましたが、いつの間にかそれをやらなくなりました。その頃には全自動人間イラレマシーンと化していたので、ヒゲは伸び、頭は洗わず、毎日便所サンダルで出社し仕事をする。食うことにしか娯楽を見出だせなくなり、やがて見た目が出家前の麻原彰晃みたくなる。
強烈なEDに襲われる
夏を過ぎたあたりから朝勃ちがなくなり、どんなエッチなAVを見てもチ◯ポが勃たなくなる。結局ありとあらゆるエロコンテンツの裏ではむっさいオッサン達があれやこれやと作っているんだという情景が脳裏に焼きつき、フラッシュバックし、最早エロビデオどころじゃなくなる。俺の十八番のピンキーWEBでさえだ。年中悟りの境地に陥る。即身仏だ。今でもスカとゲロ以外なら何でも大丈夫な気がする(スカとゲロが好きなわけじゃない。
長時間労働を強いられると、人は壊れます。アダルトビデオ会社だということを加味しても誰だって異常を来します。仕事が好きな人は、時間なんて関係なくどんどんやればいいと思いますが、それも賃金という見返りがあってこその話です。やりがいとか実現社会とか、そういう人たちが世界を変えていくのは事実なのですから、勤労を否定することはまたナンセンスでありますが、そうじゃない人は、無理して長時間労働する必要はありません。強制される必要もありません。残業何時間とこうやって笑い話にできるのはまだマシで、それより君の隣の人は大丈夫?
尚、今日においても私の未払いの残業代は支払われないままである。
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