新国立競技場:2グループが応募 公募締め切り
毎日新聞 2015年09月18日 20時29分(最終更新 09月18日 21時49分)
2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の計画見直しで、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は18日、設計と施工を一括して担う事業者(グループ含む)の公募を締め切った。関係者によると、ゼネコン大手の大成建設と、竹中工務店・清水建設・大林組3社による共同企業体(JV)をそれぞれ中心とした2グループが応募した。
JSCは「公正な競争の妨げになる」として、応募した事業者の数や名前を明らかにしていない。
大成建設は旧計画でスタンド部分を施工する予定だった。既に作業員や資材の手配が進んでいるため、業界内で本命視されていた。梓設計と組む。
竹中工務店は旧計画で屋根部分を担当。清水建設、大林組と組むのは、人手や資材確保の負担を分散する狙いがある。旧計画のデザインコンクールで最終審査に残った建築家の伊東豊雄氏や日本設計も加わるという。
旧計画をデザインしたザハ・ハディド氏の事務所と旧計画の設計を担った日建設計は、チームを組んで参加意向を表明していたが、施工を担う建設会社とのJV結成に至らず、参加を断念した。
今回の公募は、日本建築家協会が「施工会社とチームを組めない国内外の設計者、設計事務所の応募が事実上困難。十分な競争原理が発揮されない」との意見書をJSCに提出するなど、応募できる事業者が限られていると批判されていた。
また、旧計画は総工費高額化の一因として情報公開が不十分な点も問題視され、新計画では透明化が大きな課題だった。しかし、JSCや所管の文部科学省は、入札の秘密保持を定めた官製談合防止法を理由に挙げ、応募した事業者を公表しないとしている。
新計画は総工費の上限が1550億円、完成期限の目標は20年1月末。応募者は11月16日までに計画を提案し、JSCに設置された専門家グループによる審査などを経て、12月末に事業者が決まる。【山本浩資】