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 動き始めたばかりの「マイナンバー制度」。その仕組み作りの段階で、準備に関わっていた厚生労働省職員の汚職事件が発覚した。個人情報の悪用や外部流出が不安視される中、業者との癒着が繰り返されていた可能性も強まっている。

 収賄容疑で警視庁に逮捕された厚労省情報政策担当参事官室の室長補佐の中安一幸容疑者(45)。関係者によると、医療や社会保障分野の情報化の第一人者で、厚労省幹部は「省内でもIT知識はずば抜けている。医療現場も経験し、その筋では有名人だった」と話す。

 高校卒業後の1991年に入省し、兵庫県内の国立病院に勤務。本省勤務となった2005年からは情報政策に携わり、医療機関が患者の診療情報を共有する情報ネットワークの立ち上げにも関わった。一方で、同省幹部は「上司が行動を把握できていなかった」と認める。最近は職場に現れないことも多かったという。