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異能のノンキャリ、情報政策に精通 逮捕の中安容疑者
収賄容疑で逮捕された中安一幸容疑者は、ノンキャリアながら民間の医療関係者やIT関係者に太いパイプを持ち、その服装や言動などから「異能の官僚」とも呼ばれた。
13日朝、ウエーブのかかった髪に鼻まで下がった眼鏡。白いジャケットで警視庁に出頭する中安容疑者の姿は、およそ一般的な官僚のイメージとはかけはなれた姿だった。
中安容疑者は高校卒業後の平成3年、国立病院の事務官として採用され、17年に係長として厚生労働省の本省に転任。19年以降は部署間を大きく異動することはなく、システムの導入や企画立案を担当した。医療分野のIT化の旗振り役として、政府の医療情報政策を主導してきた。
「情報を電子化することで将来の医療の質は間違いなく高まるはず」。雑誌のインタビューにもこう持論を展開した。大学の客員准教授を務めるほか、贈賄側のIT関連会社なども入っていた産官学による研究団体にも所属していた。
中安容疑者と一緒にシンポジウムのパネリストを務めたことがあるIT業界の関係者は「自分の考えを持って明快に説明していくことから業界内にファンも多かった」と振り返り、「厚労省の中でも医療とITに関する一番の専門家と聞いていたが、まさかこんなことになるとは」と話す。
だが、省内では別の側面も見せていたようだ。