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ホントにいいものを作ってる人って適当な人が多いんじゃないかと思うんですよ

MUSIC

否定されてもやり方を変えなかった。SPECIAL OTHERSの10年

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:森山将人(2015/10/13)

SPECIAL OTHERSほど音楽とファンとの理想的な関係を築けているバンドは他にいないと言ってもいいかもしれない。2006年のメジャーデビュー時、まだ一般的にはマニアックなものと捉えられていたインストバンドという形態をとりながら、自分たちのやりたい音楽を貫くことで、結果的に今では「インスト」の枠を超え、唯一無二のポジションを獲得している。もちろん、この背景にはフェス文化の浸透などが関係しているにせよ、スペアザが信念を持って活動を続けたこと自体が、現在の状況を作り出したことは強調すべきだろう。いや、信念というのはやや堅苦しいか。やはり、彼らの場合は「音楽愛」という言葉がしっくりくる。

今年の6月に行われた大阪でのワンマンで10周年イヤーのスタートを宣言し、3年ぶりのオリジナルアルバム『WINDOW』が完成。これまで常に10曲だった収録曲が、初めて11曲になったというトピックこそあるものの、今回もこれまでの作品の延長線上に位置する、最新にして最高のスペアザであることは間違いない。そしておそらくは、今もどこかで「11曲」という数字に対して、ファン同士が熱く意見をぶつけ合い、意味づけを行っていることだろう。そうやって「特別な他人」の人生とコミュニケーションをとりながら、この特別なバンドの10年は形作られてきたのである。

PROFILE

SPECIAL OTHERS(すぺしゃる あざーす)
バンド名の通称は「スペアザ」。1995年横浜の岸根高校の同級生にて結成。2000年頃よりストリート、クラブ、レストランバーなどで活動。2006年ビクターよりメジャーデビュー。以後、音源制作やライブツアー、様々なフェスへの出演。他アーティストとのコラボ等、活動を拡げる。2013年日本武道館でのワンマンライブを開催。ソールドアウトとなり、大盛況のうちに終える。2015年6月、来年のデビュー10周年に向けて、「10周年」イヤーを「キックオフ」することを宣言。第一弾企画として、3年ぶり、通算6枚目となる待望のオリジナルアルバム『WINDOW』を10月14日にリリース。11月からは全国23都市を巡るワンマンツアーを開催する。
SPECIAL OTHERS OFFICIAL SITE
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インストをフェスシーンに広げていくという意味では、もしかしたら僕らもちょっとぐらい貢献できたのかもしれない。(柳下)

―6月のワンマンから10周年イヤーがスタートしたわけですが、その少し前の4月に行われたインストバンドのみを集めたイベント『Sing Your Song! 2015』で、トリを飾られましたよね。インストのみのイベントって、10年前だと考えられなかったと思うんです。

芹澤(Key):「インストバンド」という言葉がオーバーグラウンドに浸透してきたのは、ここ数年ですよね。音楽通の人たちはもちろん知っていたし、シーンもあったけど、オーバーグラウンドに出てきたのは最近かなと思います。

宮原(Dr):その通りだね。昔は「インスト」って言っても言葉自体が通じなかったけど、今はわからない人がほとんどいないじゃん? それはでかい変化だよね。

芹澤:「言葉が知られた=存在も知られてきた」ということだから、ああいうイベントは俺らにとってもチャンスだと思いますね。「売れ線じゃないけどかっこいい音楽やってる」って思いながらインストやってるような若い子が、どんどん裾野を広げて行けば、いつかインストが歌もののポップスに対抗できる日が来るんじゃないかな。

左から:芹澤“REMI”優真、宮原“TOYIN”良太、柳下“DAYO”武史、又吉“SEGUN”優也
左から:芹澤 "REMI" 優真、宮原 "TOYIN" 良太、柳下 "DAYO" 武史、又吉 "SEGUN" 優也

柳下(Gt):インストの認知度が上がったのは、フェスが普及したことと関係あると思っていて。お酒を飲みながら楽しんだり、音楽を聴いて空間を楽しんだりするようなフェスって、インストとすごく組み合わせがいいと思うんですよ。インストをフェスシーンに広げていくという意味では、もしかしたら僕らもちょっとぐらい貢献できたのかもしれない。

又吉(Ba):フェスの話に加えて、ネットで音楽を拾えるようになったのも大きいんじゃないですかね。10年以上前はまだネットがそれほど発達してなかったから、レコ屋でCDをジャケ買いしたりしてたけど、今はいろんな音楽に触れやすくなった。それにネットで映像が見れると、ライブの雰囲気もなんとなくわかるから、僕たちがやってるような音楽も人目に触れやすくなったんじゃないかと思いますね。




物事に対して、自分たちで決めてしまわない。それってたぶん重要な感覚だと思うんです。(又吉)

―スペアザは10年前から「ジャンルレス」の感覚を持っていたバンドで、いろんな音楽に対してすごくフラットに接してきたバンドだと思うんです。そういうスペアザが、ジャムバンドもクラブジャズもポストロックも区分けすることなく、多様なインストを集めた『Sing Your Song!』のトリを務めたというのは、まさにリスナーの聴き方の変化を象徴していた気がします。

宮原:今はみんなすごくジャンルレスに聴く耳になっていると思いますね。昔は「オシャレな音楽と、そうじゃないJ-POP」という関係があって、オシャレな音楽を聴いてる人にとっては、J-POPを聴くのがかっこ悪いという風潮があったけど、俺らは若い頃からそこに対してアンチだったんです。例えば、タンポポ(モーニング娘。から派生したユニット)の“恋をしちゃいました!”もいい曲だと思って聴くし、Medeski Martin & Wood(アメリカのジャズファンクバンド)も聴くような耳を持ってたんですよね。

又吉:僕ら「インスト」って言われてますけど、それを自分たちで意識したことはないですからね。物事に対して、自分たちで決めてしまわない。それってたぶん重要な感覚だと思うんです。決めるとそっちに寄って行っちゃって、それがいい方向に働くこともあるだろうけど、基本的には「なるようになる」の積み重ねが僕たちのやり方というか。

左から:柳下“DAYO”武史、又吉“SEGUN”優也

―途中で話に出たように、フェス文化やネットの浸透ももちろん大きかったと思うんですけど、器以上にそこに出る人が重要だったりもするわけで。その点、ジャンルレスな感覚を持ったスペアザが、メジャーで10年やり続けたことで与えた影響はやっぱりすごく大きいと思うんです。

宮原:そう言ってもらえるとありがたいですし、自分たちでもちょっとそう思ってますね(笑)。まあ、俺たちを聴いて、もっとディープなバンドを聴くようになってくれたら嬉しいと思います。

芹澤:歌のあるバンドを「歌ものバンド」ってわざわざ呼ばないように、「インストバンド」って括りがもっと当たり前に存在するようになったらいいなと思いますね。元を辿れば、クラシックはすごくポピュラーな音楽で、歌がないのが当たり前だった。なのに、近代になって、歌のない音楽がなぜか敷居の高いものになっちゃってるから、そこは「違うのに」って言いたい。もう俺たちもいい歳なんで、そういうことを教える側になってもいい頃なのかなって思ってます。


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