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日本人墓地は友好の象徴…豪州カウラ市、特例で掘り起こし許可
カウラ市の日本人墓地は1964(昭和39)年に整備され、オーストラリア各地にあった旧日本兵や民間人ら約500人の遺骨、遺灰を集めて埋葬された。
同市で1944年、収容所から日本人捕虜が脱走を企て約230人が死亡、豪州人にも死者が出た。しかし戦後、退役軍人の地元組織が手入れを行うなど墓地は丁重に扱われてきた。周辺に日本庭園や桜並木も整備され、両国友好の象徴になっている。
同市は当初、若麻績通明さんの遺灰を分骨目的に掘り起こすことに慎重だった。めいの林康子さんらが市長と面会して遺族の思いを伝える手紙を渡し、在日豪州大使館に陳情した結果、同市は人道的な特例として認めた。
誤って他の遺骨を掘り返すことなどを防ぐため、レーダー調査で若麻績さんの場所を絞り込んだ上で、考古学者が約9時間かけ、慎重に掘り下げた。
康子さんは「大切に扱ってきた墓地を掘り返すことを快く思っていない方には申し訳ない。オーストラリアには感謝の気持ちでいっぱいです」と話した。