【北京=大越匡洋】中国の国内需要の鈍化が鮮明になった。中国税関総署が13日発表した9月の貿易統計によると、米ドルベースの輸入は前年同月比20.4%減と、2割を超える落ち込みとなった。原油などの資源価格の下落も輸入額を押し下げた。輸出は3.7%減と3カ月連続で前年水準を下回り、中国景気の下振れ圧力はなお強い。
1~9月の累計でも輸入は前年同期比15.3%減となった。原油や石炭、鉄鉱石などの資源価格の下落が輸入額を大きく落ち込ませているのに加え、鋼材や自動車関連部品、液晶パネルなどの輸入も減るなど国内生産の鈍化が響いた。資源国だけでなく、日本の輸出企業への影響も大きい。
1~9月累計の輸出は1.9%減に沈んだ。輸出と輸入を合わせた貿易額は8.1%減り、中国政府が今年の貿易額の伸びの目標とする「6%前後」の実現はほぼ不可能となっている。
9月単月の輸出の減少幅は前月(5.5%減)より縮小した。中国は8月に人民元相場を切り下げており、税関総署の報道官は13日の記者会見で「元相場の下落によって、輸出にプラスの影響があった」との見方を示した。輸出の減少幅よりも輸入の減少幅が大きくなっているため、9月の貿易収支は603億ドル(約7兆2千億円)の黒字となった。