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20年後にノーベル賞が出るか?

連日、日本人が受賞したノーベル賞。iPS細胞や青色LEDなども含めて、最近、日本人の受賞が増えているのは素晴らしいことですね。

その一方、現在の受賞の理由は20年、30年前の研究成果です。

大学の研究環境の悪化が伝えられているせいか、「20年後、30年後に日本からはノーベル賞は出なくなってしまうのではないか?」と心配する人も多いようです。

今回のノーベル賞を受けて、そのような問い合わせをメディアから受けましたし、昨年、NHKニュースの深読み「ノーベル賞受賞 "科学技術立国"ニッポンの未来は?」に出演した時も、番組の趣旨はそのようなものであったと思います。

私は必ずしも大学の環境が悪いばかりだとは思っていないので、「今の大学は悲惨だ」という一方的な風潮には違和感を感じています。

それは昨年のNHK出演後にもブログに書きました。

NHKニュースの深読み出演を終えて

論点はいろいろあると思いますが例えば、

・大学で配分される(競争的資金以外の)研究費は減る一方である

・画期的な研究成果はあらかじめ「世の中に役に立つ」とわかっていることは少なく、「選択と集中」の対象から漏れてしまう

・アメリカの大学では、事務スタッフが充実しており、大学教員が研究に割ける時間が多いのに比べ、日本の大学教員は事務仕事に忙殺されている

・国家財政が厳しく、少子高齢化で学生数が減る環境では、「選択と集中」で、競争的資金の比重を増やすことは仕方ない

・アメリカの大学教員は自分の給料の一部も外部資金で賄っているのだから、日本の大学教員も研究費獲得にもっと熱心になるべきだ

・日本の大学教員はパーマネントのポジションを獲得した後は競争がなさ過ぎる

などなど。この他にも色々な意見があるでしょう。どの意見も一理あるからこの問題は難しい。

私自身が日々感じているのは、国家財政が厳しくなればある程度の「選択と集中」は仕方ないと思いますが、問題はそのやり方ではないかと。

今の日本の国家プロジェクトは、流行っている研究テーマにどの省庁も集中的に投資する。しかも短期間に。

今なら、ロボット、AI、ビッグデータとかでしょうか。その結果、同じような研究プロジェクトが乱立する。

しかも、研究期間は長くて5年程度で、2-3年のことが多いでしょう。

研究というのは準備にも相応の時間がかかりますから、これでは短すぎるというのが実感です。

つまり、短期間に集中的に国の資金が投入される現在のやり方よりは、スモールスタートで最初は少額の資金からはじめる。成果が出るにつれて徐々に資金を増やす方が、研究者としてはありがたいのです。

あるいは、基礎的な研究分野で成果を出すのに長い時間がかかる場合は、短期集中よりは、そここその金額を長く提供した方が良い場合も多いでしょう。

現在もステップ・バイ・ステップのファンディングもありますが、採択数も金額も限られています。

結局のところ現状は、例えば首相が政策をぶち上げる、各省庁(文科省、経産省、総務省など)がそれに沿う形で研究開発プロジェクトを立ち上げる。その結果、似たようなプロジェクトが乱立する、ということになっているのではないでしょうか。

これだけで日本の大学の研究環境が良くなるわけではないでしょうが、少なくとも「選択と集中」のやり方は、考え直した方が良いのではないかと思います。

省庁の壁があって難しい、単年度会計では長期のプロジェクトは難しい、という声をよく聞きますが、何とかしなければいけないのではないかと。

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