ノーベル経済学賞:消費通じ貧困分析 受賞のディートン氏
毎日新聞 2015年10月13日 13時05分(最終更新 10月13日 13時24分)
【ロンドン坂井隆之】スウェーデン王立科学アカデミーは12日、2015年のノーベル経済学賞を、米プリンストン大のアンガス・ディートン教授(69)に授与すると発表した。授賞対象は「消費、貧困、幸福に対する分析」。人々の消費行動の分析を通じて、経済政策の効果や、途上国の貧困の度合いを測定する新たな手法を構築し、社会の発展に寄与した功績が高く評価された。
ディートン氏は、1980年代、所得や物価の変化が、個人の消費行動にどのような影響を与えるかについての独自の分析手法を開発。さらに詳細な経済統計の解析などを通じて、個人の消費行動が、経済全体に与える影響についても理論的分析を進めた。これらの分析手法は、増税や減税といった経済政策の効果を測定したり、予測したりする際に不可欠なものとして、現在でも活用されている。
さらに、ディートン氏は研究領域を広げ、消費行動の分析が、途上国の貧困や豊かさの程度を測定することにも有用であることを示した。同氏は理論の構築にとどまらず、インドなどでの世帯の調査を通じて途上国の統計データの整備にも貢献し、政府や国際機関の貧困対策の立案を後押しした。
ディートン氏は英スコットランド出身で、ケンブリッジ大で博士号を取得後、83年にプリンストン大教授に就任した。専門は公共経済学で、米国の市民権も持つ。経済成長と健康との関係を過去の歴史から解き明かした近著の「大脱出」は、日本でも翻訳されている。
授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金800万スウェーデン(約1億1700万円)が贈られる。