鏡映反転−鏡の中の左右
 
  作成 平成27年10月5日 
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 本よみうり堂、ビタミンBook
 脳研究者 池谷 裕二氏の記事について意見を述べます。
 この記事は、『鏡映反転』(高野陽太郎、岩波書店)の書評です。
 ここには、次のように書かれています。
「鏡の中では左右が反対に見えます。しかし、なぜ反対に見えるのでしょうか?
 その理由については、紀元前のプラトンから現代にいたるまで、数多くの学者が説明を試みてきました。ノーベル物理学賞の受賞者も議論に加わっています。にもかかわらず、意外なことに、この身近な現象の原因については、未だに定説が確立していません。
 東京大学大学院人文社会系研究科の高野教授は、「鏡映反転は1つの現象ではなく、3つの異なった現象の集まりである」と考える独自の理論にもとづいて、鏡映反転にまつわるさまざまな事実を説明することに成功しました。」
*私の意見:
 「鏡の中では左右が反対に見えます。しかし、
  なぜ反対に見えるのでしょうか?」という問題は、簡単なことです。
 それは、鏡は「鏡面対称」に像を造るからです。
 これは、例えば、砂浜で大の字になって、身体を埋めるようにして自分の身体 の像を作るのと同じです。このとき、右手に棒きれを持っているとします。
 しかし、空を向いている像の顔を基準にすると左手に棒きれを持っていると判 断されます。
 鏡でも同じです、顔の右のホクロは、そのまま鏡の右側に写ります。しかし、 鏡の中のこちらを向いた顔を基準にすると、ホクロは顔の左側に写っています。 文字も同じ原理です。鏡文字、印鑑、版画、さかさ富士なども同じです。
 <<鏡は「鏡面対称」に写りますが、像の大きさは、対象と鏡との距離、視力など によって異なりますから、相似形に写ります。>>ここは削除。
 上記の私の説明は、簡明で中・高生でも充分分かるでしよう。
 Webを調べた所、説明が複雑で分かりにくいものばかりでした。
 高野教授の心理学的実験は、むしろ、被験者への「複雑な」説明が影響してい るのだと思います。
図1.鏡面対称 は、実像とそれが鏡に映る鏡像との関係を示します。
実像(A)と鏡像(A”)は鏡面(CD)によって、垂直に2等分されます。
三つの小さい黒丸は全て等しい角度を表します。
 したがって、実像からの光が鏡に反射して目に入るときの、入射角と反射角は等しくなります。
 また、視点(視線の向き:顔・身体の向き)も鏡面対称になりますから、
実像の顔・身体が鏡面を向いているときは、鏡像の顔・身体も鏡面を向きます。通常、顔・身体が北を向いたとき、東側を右とします。
 実像と鏡像の顔・身体が共に鏡面を向きますが、向かい合うので左右が逆になります。すなわち、実像の右手を鏡面に当てると、鏡像では左手が鏡面に当てられるのです。上・下が逆にならないのは、上・下(顔・身体)を基準にするからです。
 また、実像で鏡面に近いものと遠いものは、鏡像でも鏡面に近いものが鏡面に近く、遠いものが遠くなります。このため、「前後が逆になる」と表現する場合もあります。
 要は、鏡面から見て、実像と鏡像が重ね合うような対称関係にあるということです。
 鏡文字、印鑑、版画、さかさ富士なども、この鏡面対称で説明できるでしよう。   (図1および説明は、平成27年10月6日追加)
 
*鏡面対称の座標(上下、左右、前後)の例
 鏡面に対称であれば、これ以外、例えば、前後が逆でも良い。
 座標は回転して良いが、上下・左右は鏡面に平行。前後は直角。
*逆さ富士は湖面が鏡面だから、上下ではなく「前後」が逆である。
(鏡面対称の座標:H27.10.11追記)